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法人クレカ【UPSIDER】の特許分析

おそらく日本で一番スタートアップ・ベンチャーの知財活動の立ち上げをしているarisadaです。
これまでにLINEとメルカリの知財立ち上げに従事し、現在は複数のスタートアップ・ベンチャーで知財活動立ち上げを支援しています。

株式会社UPSIDERの特許を分析してみました。

※本noteに記載の解釈・見解・意見・認知等は筆者個人のものであり、筆者が所属・参画・支援等する法人・団体等のものではありません。

UPSIDERの基本情報

UPSIDERは2018年5月に創業され、法人向けクレジットカードを軸として法人向けにFintechサービスを提供するスタートアップです。

STARTUP DBによれば評価額は約400億円で合計資金調達額は600億円超えです。(2023/06/17時点)

UPSIDERは利用金額上限の高さを売りにしており、1億円以上の設定も可能とのことで、法人として支払いをクレカで行いたい場合には重宝しそうです。
(私も創業したては法人クレカの上限が個人クレカの上限より低かったです、、)
年会費、発行手数料は完全無料で、手続きは全てWeb上で完結したり、明細がリアルタイム反映されたりと、Web前提でスピーディーに動きたいスタートアップやベンチャーにとっては最適な法人カードとなりそうです。

また、法人カードの「UPSIDER」に加えて、支払い. comという法人向け後払いサービスも提供しています。
請求書をカードで支払えるようにして、実質的な支出を先延ばしにするサービスです。(最近三井住友銀行?カード?も始めていた記憶です)
今後も法人クレジットカードを主軸に置きつつ、法人向けFintechサービスを厚くしていく香りがします。
独自に貯めた信用で貸金とか始めそうな気がします。そうなってくると法人向けということもあり金額も大きいと思うので、利益に繋がってきそうです。

UPSIDERの特許分析

Jplat Patで調べると5件の特許出願がヒットします。
旧法人名の「株式会社Project Jam」も含まれています。
5件中3件が登録済みです。
2018年5月創業で2023/06/18までに5件の特許出願が完了しているので、単純計算すれば年に1件出願しています。

J-Plat Pat

長くなるので個別の特許分析は後日にしますが、上記の特許出願は自社のビジネスモデルや機能の特徴をベースに特許出願をしており、主な発明は下記の3つです。

①プリペイドと後払いの枠を合算する発明
②カード利用の会計処理の発明
③請求を分割して複数のクレジットカードで支払う発明

①③の発明は面白い発明だと思いました。

所感

スタートアップとしては、ある程度しっかりと出願している印象です。
しかし、Fintech分野は多くの会社が特許出願を行っており、それらを侵害する可能性もあります。
特に管理会計分野は特許出願は多く、マネーフォワード vs Freeeの特許侵害訴訟も有名です。
他社特許の侵害は気を使ったほうが良さそうです。

そのため、
・分割出願を継続して、自社のサービスを模倣できないように権利範囲を広げる。
・出願自体を増やして、自社が独占可能な発明を増やす。

という活動が重要になります。

今後UPSIDERがより広く使われるようになれば、法人間取引をUPSIDERのプラットフォーム上で行うという構想もありそうです。(PayPayやメルペイなどの法人版イメージ)
ざっと見るだけでも、複数の出願ポイントはありそうなので今後も継続してウォッチしたいと思います。

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