夏
夏日。
昼ごはんは食べていない。
友だちはいる。家族もいる。
好きな音楽、愛読書、お気に入りの服。
それは何かと聞かれたら答えられる。
それでも今、マンションの屋上でひとり。
階下を見下ろしている。
空は青い。
薄くてちぎれた雲が少し。
汗が垂れる。
ビーチサンダルがコンクリートと擦れて、ザリッザリッと音を立てる。
地べたに座る。
両の手のひらをコンクリートにつける。
強く、押し付ける。
あつい。
我慢できなくなるまで、押し付けていよう。
あー、あつい。
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