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IQの低い物書きのアリさん(19)境界知能・ホームレスの問題について

【完全に創作のフィクションとしての読み物も書いていくことにしました。創作ですので、当たり前ですが登場する人物は実在しません。モデルとなった人物も当たり前ですが実在しません。ものすごくテキトウに書いている「落書き」に近いものだからです。文脈を深く考えず、ただ直感的に「息抜き」で書いているものです。】



穴田魔絵は聞いた。
「今日のアリさんはどうされていますか。」
秘書の智子@は答えた。
「いつもどおり、何やら、いかがわしいこと以外 、これといったことはしてません。」

智子@は、特大の望遠レンズのような超ハイテクな文明の利器で空間に映し出されたアリさんを、つま先から頭頂まで舐めるように見て言った。
「いつもどおり、何やら、いかがわしいこと以外 、これといったことはしてません。」
穴田さん(穴田魔絵)は、空間に映し出されたスクリーンで、自室で独り、何やら、いかがわしいことをしているアリさんの様子を見た。


次の日、穴田さんは聞いた。
「今日のアリさんはどうされていますか。」
智子@は答えた。
「いつもどおり、何やら、いかがわしいこと以外 、これといったことはしてません。」


さらに、次の日、穴田さんは聞いた。
「今日のアリさんはどうされていますか。」
智子@は答えた。
「いつもどおり、何やら、いかがわしいこと以外 、これといったことはしてません。」


穴田魔絵は聞いた。
「今日のアリさんの物書きは順調ですか。」
秘書の智子@は答えた。
「いつもどおり、ちょっと書いて寝ています。さっきまで儀式のように厳か(おごそか)に書いてました。」
穴田さんは空間に映し出されたスクリーンで、自室で独り、ちょっと書いて寝ているアリさんの様子を見た。

智子@は呟いた。
「アリさんは大変、恥筆(ちひつ)で、なかなか原稿が進みませんね。やっぱり、IQ(知能指数)の問題もおありなのでしょうね。
アリさんは、7人に1人の割合で居る【境界知能】※といってもいいようなIQではありませんでしたか。」

境界知能

穴田さんは、ちょっと書いて寝ているアリさんを尻目に、儀式のように厳か(おごそか)に書いていた原稿を、特大の望遠レンズのような超ハイテクな文明の利器でクローズアップして言った。
「んん、、、これといった内容のものは何も書けていませんね。
….以前、アリさんが弊社の入社を希望していた時期に、アリさんの無意識を操作して、実費にてIQ検査を受けて頂いています。IQは87でした。
境界知能(グレーゾーン)は、IQ70から85の間の人をいうのです。
アリさんは境界知能には該当しません。」


穴田さんは、アリさんの遠い昔の記憶にアクセスして、なんとなく言った。
「アリさんは小学生低学年くらいまでの頃、通信簿はほぼ、エントツ(評価がいちばん低い1)だけしか並んでいませんでしたが、絵を描く能力だけは平均か、平均以上だったのです。
何かの絵画のコンクールでは楯や表彰状を幾つも貰っていたりもしたのです。ゆえに工作だけは3(評価がいちばん高い)でした。」

「まあ、アリさんは素行が悪すぎて、誰が見ても知的障害(重度の発達障害)か、精神障害があるお子さんにしか見えませんでした。
そんなアリさんが絵だけは平均か、平均以上に描けたものだから、当時の大人たち(学校の先生)は、アリさんが将来、自己評価の高い人間になれるよう、必要以上に賞状を与えたりして、類いまれではない絵の才能を褒め称えたのでしょう。」

智子@はなんとなく言った。
「アリさんは境界知能ではないということではありますが、現実問題として、境界知能の人が生きていくのって、本当に大変ではないでしょうか。
仮に軽度知的障害といったレベルのことを国から認定されることが出来たなら、経済的な支援(金銭的な手当て)を受けられ、生きやすいでしょうに。」

穴田さんは淡々と言った。
「そうです。そのような知力に微妙にハンデがある(それゆえにグレーゾーンといわれる)生きづらい人は、なんと7人に1人の割合で居ると云われているのです。
まず、そのような人達は不本意にも、何をさせても、文字通り、人並み以下(平均以下)なのです。
そのような人達が、中小企業の製造業の単純肉体労働の職種に就いたとしましょう。
まあ、そのような人達はそういった中小企業の職種にしか就くことが出来ませんが、そういった職種でも、決まった時間内に、製品を出来るだけ早く、そして、出来るだけ多く製造できて、なんぼのシビアな世界なのです。
境界知能の人は、ほかの平均的な人より明らかに仕事が遅く、数をあげることが出来ません。
平均的な(あるいは平均以上な)社員から見ると、それだけの量の仕事しか出来ていないのに、なぜ、自分と同じ金額の給与(時間給)を貰って居るのか?となってしまうのです。
そこで、社員の間で、なぜこんなポンコツ(人並み以下)な人間と自分が同じ扱いをされなくてはいけないんだ、という、やっかみ(そねみ)や、僻み(ひがみ)のようなものが発生し、境界知能の人を除け者(のけもの)や、イジメの対象にしたりしてしまいがちです。
境界知能の人は、そのような状況を否応(いやおう)もなく体験せざるを得なく、自己評価は必然的に低くなってしまいます。
ゆえに、人並み以下の劣等感による負い目といったものから、人と対等の成熟した人間関係をうまく築いていくことが難しく、生きづらい人生となるのです。」

「…..そして、さらに悲しいことに、境界知能の人はたいてい、知力だけでなく、体力(健康)さえも人並み以下(平均以下)なのです。
体調の自己管理も、知力のハンデにより、うまく出来ないからです。欠勤や遅刻も多くなります。毎日の残業にも耐えられません。
仕事がうまくいかないので、結婚も難しいでしょう。
仮になんらかの天恵により結婚できたとしても、それから先の人生も苦難の連続でしょう。」

智子@は気の毒そうに言った。
「ほんと、イバラの道の人生ですね。
生家がそこそこ裕福で、理解のある親御さんが居て、引きこもりやニートで人生を終えれる人はまだ全然、幸せですね。」

穴田さんは冷徹な面持ち(おももち)になって言った。「世の中は綺麗ごとでは出来ていません。
境界知能の人は、この現代の日本社会のシステムにおいては、救いの無い過酷な人生を強いられるのです。
経営者の立場になって、考えてみて下さい。
会社に損害を与えて去っていくだけの可能性が極めて高い、境界知能の無能な人をわざわざ選んで雇いますか?
日本は一応、自由な言論と表現が保証されている民主主義であり、資本主義という形態ではありますが、その実、優生思想と、その無慈悲で溢れているのです。」

智子@はなんとなく言った。
「左翼(共産志向)の人達が声高に唱えている、全ての人が平等で、差別も偏見もない社会を作るんだ!というキャッチフレーズも微妙に分からなくもありませんね。
左翼の人は、IQが低い人が多いと云われる所以でもありますね。
左翼の人達が最も渇望しているのは、銀行券(お金)ではなく、愛です。
ある意味、正しいです。」

穴田さんはさらに淡々と言った。
「境界知能の人は、紆余曲折の末に、世間一般的な仕事に就けなくなったとして、おそらく、カン拾いなどで日銭を稼いで生計を立てて、ホームレスとなって生活することも出来ないでしょう。
ホームレスは、特殊な技能や才能が必要なのです。
ホームレスに元自衛官の人が多いのは自明の理です。道端で生活ができる訓練を受けているからです。」

智子@は納得したように言った。
「ホームレスの人達の、ボランティアの人から無償で炊き出し(食事)を受け取ったり、赤の他人から無償でなんらかの施しを受け取ったり出来る行為というのは、ある意味、才能ですね。
ゴミ箱から拾った残飯だけで生きている人もです。
プライドや羞恥心で、出来ない人が多いと思います。」

「アリさんは生まれつき、虚弱体質で、ホームレスになる才能が無さそうですね。1週間で死んでしまいそうです。
アリさんは、低賃金の雇われ人の不安定な生活の中で、将来が不安になり、最悪の状況のホームレス生活について色々と調べていたようです。
いよいよ、他人事ではありません。」

穴田さんは言った。
「ホームレスにも色々な形態があります。
ホームレス生活を、誰にも気を遣うことも遣われることもない、しがらみが全く無い自由な生活として、仙人のように優雅にホームレス生活を楽しんでいる人も中には居るのです。
生き方の達人ですね。野垂れ死にするのも一興です。

また、寝床すら持たない流浪の修行僧みたいな人も居れば、いわゆるアーミッシュ※のような、半分、自給自足の半農みたいな人も居ます。もちろん、畑は自分のものではありません。テキトウな原っぱで食べれる植物を採ったり、勝手に栽培して収穫したり、川で魚を獲ったりして生活しているのです。
どちらにしろ、ホームレスになるには才能が必要ですが、貧しいことには変わりはありません。」
※(アメリカ合衆国のペンシルペニス州や中西部、カナダのオンタリオ州などに居住するドイツ系移民(ペンシルペニス・ダッチも含まれる)の宗教集団である。アメリカのキリスト教者共同体であり、 移民当時の生活様式を保持し、農耕や牧畜によって自給自足生活をしていることで知られる。原郷はスイス、アルザス、シュワーベンなど。2020年時点での推定人口は約35万人とされている。
中略:アーミッシュは移民当時の生活様式を守るため電気を使用せず、現代の一般的な通信機器(電話など)も家庭内にはない。原則として現代の技術による機器を生活に導入することを拒み、近代以前と同様の生活様式を基本に農耕や牧畜を行い、自給自足の生活を営んでいる。自分たちの信仰生活に反すると判断した新しい技術・製品・考え方は拒否するのである。
wikipediaより引用抜粋)

智子@は言った。
「ホームレスとなってしまわれる人の傾向をアリさんはネットにて、熱心に調べていました。
全体的なだいたいの傾向と致しましては、年齢的には意外に若く、40代半ばくらいでホームレスとなってしまう人が案外、多いようです。
(50代後半とか60代以降になられる人は、経済的理由や老齢による身体上の理由とかもありますが、どちらかいうと仏教的にいうと『解脱』に向かうような、精神的な諦観の要素のほうが強いのではないかと思われます。)
また、両親との不仲などの家庭環境の不幸で、家族から離反、あるいは絶縁し、遠方の地方(田舎)からひとり飛び出して、都会に出稼ぎに来た人が多いです。
いわゆる天涯孤独の人です。
選んだ職業は、過酷な重労働の日雇いの建築関係が多いようです。
ちなみに女性のホームレスは非常に少ないです。男性に囲われて生きていくことが出来るからでしょう。」


穴田さんは黒ダイヤのような黒目の大きな瞳をうっすら閉じて言った。
「境界知能の人の問題に、ホームレスの人の問題、、、一部の例外を除き、いずれにしても不幸なことに違いはありません。

人類(日本民族)の中に一定数(いっていすう)、このような人達が居るという事実は、人類全体(日本民族全体)の問題でもあるのです。祖先は、ほんの数世代を遡れば、みんな同じ、親兄弟なのです。
神(創造主)の目から見ると、誰がホームレスとなる運命であってもおかしくありません。
不完全な存在である人類(日本民族)が、この地上で生存している状況下において、誰かがホームレスという役柄を担当しなくてはいけません。
ホームレスの人は【選ばれし人】なのです。
最も、神様に近い人なのです。
だから、古今東西に伝承されている神様のお姿は皆、ボロ切れ一枚の衣だけを羽織った乞食(こつじき)のお姿をしているのです。」

「スピリチュアルを唱う偽善の人が居るでしょう。
生き方をエラそうに語るくせに、本当に不幸な人を一切、救おうとはしないのです。
実際のところ、同じ地上に居る人に対して、エラそうに生き方を語れる資格がある人というのは、イエス・キリストぐらいなものなのです。
なぜなら、キリストはその人の身代わりとなって死ねるからです。だから、『これはしてはいけない、あれはしてはいけない』と、上から目線でエラそうに言えるのです。
スピリチュアルを語る偽者は、身代わりとなって死ぬことが出来ません。その人が死のうが死ぬまいが知ったことではないのです。その人の命に対して、一切の責任を持たないのです。ゆえに、生き方を語る資格がありません。一定期間経つと死ぬ、有限の生の、同じ穴の狢(むじな)でしかありません。
.....イエス・キリストが、この地上に本当に居たかどうかはまた、別の話です。」

穴田さんは神妙な面持ち(おももち)となり、さらに長い話をした。
「遠い昔の話です。
じつは、私の母は、衣食住が満たされていない不幸な人達のために、簡易組み立て式のダンボールハウスを提供する会社を作ったのです。
雨風を凌ぐ特殊な素材のダンボールで、ホームレスの人でも購入できる安価な商品でした。
ですが、ボランティアの人達がホームレスの人達に無償で提供するために身銭をはたいて購入したため、実質的には、ホームレスの人達にはタダで、そのダンボールハウスは提供されたのです。

衣食住が満たされていない人に、無償で衣食住を分け与えてあげること。この世でこれ以上に、本当に徳を積む行為はありません。これは比喩とか暗喩とかではなく、本当のことなのです。
真逆のことをしている悪徳政治家が居ます。文字通り、地獄に堕ちるでしょう。自分がした行為は、必ず自分に返って来るからです。命の摂理です。
生き物は100%の確率で死ぬのが運命(さだめ)です。いずれ100%訪れ来る『死』が、恐くて恐くて仕方がないことでしょう。

また、自己憐憫の人で、マントラ(お経)を唱えたり、礼拝で祈ったりすること、、、それで、衣食住がままならない極貧の人達が救われましたか?
今も至るところに、あなたより遥か不幸なホームレスの人達が、町にごまんと溢れているではないですか。
マントラとか祈りとか、そんなものは自慰行為でしかありません。自分しか救われないような行為なぞ、神の意志に反しています。」

「母のダンボールハウスはホームレスの人達に大好評で、あるホームレスの人は泣いて感謝の念を述べたそうです。
母のダンボールハウスは世界中を席巻しました。
それにより、母は巨万の富を築いたのです。
やがて母は巷(ちまた)で『ダンボールハウスの神様』と呼ばれるようになりました。
そんな母の元で生まれ育った私は幸せ者です。」

智子@は感嘆して言った。
「社長(穴田魔絵)は、そうやって、お母さまからビジネスのイロハを学ばれたのですね!」

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