かわいい息子

わたしのかわいい息子はちょっと変わっている。

自分が好きなものにしか興味を示さないから

友達を作ろうとしない。

だから出かけるのもいつもわたしと一緒。

お山にどんぐり拾い

江ノ電乗って江ノ島探検

街の中の路地をあるいて街探検

手を繋いでいないとどこかへ行っちゃうから

いつも手を繋いでいろいろなところへ行ったね。

小学校に入学してからは、一人じゃ危ないから

毎日一緒に歩いて学校に行った。

その後学校に行きたがらない時期があった。

その時も手を繋いで、毎日学校まで一緒に行ったね。

お母さんといろいろなことを話しながら行くのが楽しいんだって

息子は言った。

二年生の一学期までそれは続いた。

いつまで続くんだろう・・・

不安でもあったし、でも行かなくなるのは寂しくもあった。

その日は急にやってきた。

息子が「家のかぎ」を持っていたいという。

下校時はいつも私がいるし

鍵は落としたら大変・・・と最初は戸惑ったが

パパが持たせたらと言ったので、

ランドセルにしっかり括り付けて持たせることにした。

それからだ。

「朝学校に一人で行く」

といい、もうそれ以来私がついていくことはなくなった。

初めは不安でたまらなかった。

もし、道に迷ったら・・・

もし、横断歩道で車にはねられたら・・・

もし、誘拐されたら・・・

やっぱり友達はいないので、一人で登下校しているのだから

余計に不安。

そんなある日。

それは、またまた突然やってきた。

息子が友達を8人も連れてきたのだ。

我が家で遊ぶ約束をしたらしく

ちゃんと一緒に仲良く遊んでいた。

今までは一人でいるか、トラブルばかりで

先生から何度も電話があったり、面談したり、

ほんとうに大変だったのだ。

だからこんな日が来るなんて思わなかった。

急に成長してすごく驚いたし

うれしくもあった。

それからは、毎週一人で少し遠い公園に行って友達と遊んだり

うちで待ち合わせてみんなで遊びに行ったりしている。

わたしと繋いでいた手を離して

独り立ちしていく息子。

小さかった手はいつの間にか大きくなっていて

あっという間にわたしの手を超える。

支えていた息子が、支えてくれる日も来るだろう。

息子はひとと違う、と焦る毎日だったが

あっと驚くほど急に成長する時が来るんだと思った。

今、子育てで悩んでいる人へ

焦らなくってだいじょうぶ。

安心して子どもの成長を待ちましょうよ。

かわいい時はあっという間ですよ。




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