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社会とつながる選択肢を ~分身ロボットカフェ DAWN~

分身ロボットの開発を通じて社会課題の解決に取り組んでいるオリィ研究所が、分身ロボットを通じて難病や障害で外出困難な人々が働く実験常設店 DAWNをオープン。
6月末に行ってきました。

分身ロボットカフェとは?

「分身ロボットカフェ」とは、株式会社オリィ研究所が主宰・運営する、ALSなどの難病や重度障害で外出困難な人々が、分身ロボット「OriHime」「OriHime-D」を遠隔操作しサービススタッフとして働く実験カフェです。

きっかけ

Twitterで吉藤オリィさんのことを知り、ツイート内容や取り組みに惹かれ、著書を拝読しました。

発達グレーでこれまで生きにくさを感じていたこともあり、オリィさんの人生観、思想、研究内容にとても感銘を受け、オリィさんの活動を応援したいと思うようになっていました。
そんな折、Twitterで分身カフェ常設店開店に向けたクラウドファンディングの情報を知り、活動を支援できるチャンス!と思い、食事ができるダイナー席の予約チケットを購入。
(講演会にも申し込んでいたのですが、直前で都合が合わずこちらは残念・・・)

1チケットで4名まで入店可能とのことで、職場の知り合いを誘って行くことにしました。

訪問レポ

分身ロボットカフェはいくつかのエリアに分かれています。
今回の訪問のメインは食事が取れるダイナー利用。ダイナーは時間入れ替え制で、最終回の17:30スタートに予約しました。

ダイナーの他、予約不要で軽食や飲み物が飲食できるカフェエリアやOriHimeパイロットにコーヒーを入れてもらえるテレバリスタ(予約要)、物販エリアがあります。

ダイナーの予約時間までカフェスペースで仕事をしようと、少し早めにお店に行きました。
バリアフリーなお店の入り口入ってすぐに、カフェエリアのカウンターがありそちらでカフェラテをオーダー。コーヒーの種類(浅煎り、深煎り等)が選べるのですが、なんとその中にディカフェが!

人間ドッグで引っかかり、再検査時に「カフェインは取りすぎないように」(検査結果は水分不足が原因)と言われて以来、家でコーヒーを飲むときはもちろん、外出先でも選べる時はディカフェを選択しているので、普通にディカフェが選べるのはとっても嬉しい。

カフェエリアはオープンスペースと仕切りがついたスペースがあり、電源・無料WiFi完備でパソコン仕事ができるようになっています。

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(かわいいハートのアートがされたカフェラテ。仕切りのついたスペースを利用。デーブル全体の写真を撮ればよかった。。。)

お店のシンボルツリー。

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こちらも入り口入ってすぐのところに配置され、存在感たっぷり。本物の木の枝と造花(葉)で作られていていました。(本物の木だと成長してお店突き抜けちゃうもんね)このツリーを囲むようにソファが配置されていて、ダイナー時間前はここで待ちました。

ダイナー時間になると、お店のスタッフさんにダイナー席に案内されます。
テーブルの真ん中にはコロナ感染症対策として大きなアクリル板が。この日は知人含め4人で利用したのですが、実はアクリル板が立派すぎて向かい側の人の声がなかなか聞き取れず。。。(後にお店にいたオリィさんがその点お話しされてました。改善検討中だそう)

各テーブルにはテーブル担当がついていて、席についてしばらくすると、テーブル横のOriHimeが動き出しました。
この日の担当パイロットはマサさん。後に頂いたお店のパンフレットのパイロット紹介を読んだところ、マサさんはSMA(脊髄性筋萎縮症)という難病のため寝たきりの生活をされているとのこと。(SNS等への写真掲載の許可を頂いています)

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マサさんから料理の紹介を受け、迷った挙句ロービーバーガーとルイボスティーを注文。ローストビーフの増量もおすすめされたけど、今回は普通盛りで。
せっかくなのでプチデザートもオーダー。

4名分のオーダーを丁寧に復唱して確認して頂き、内容も完璧!
オーダーの後はトークタイム。
出勤時は2〜3時間仕事をされること(ヘルパーさんが来る時間帯があるので、それ以外の時間でお仕事)、趣味のこと(PCを使って絵を描かれていて、イベントにも参加されているそう!)や、ロボットアームを使った料理作りに挑戦されていて、最先端の失敗してます!と笑いながらOri-Himeの腕を動かしながら(恥ずかしいのポーズとか、とってもかわいい^^)その奮闘を伝えてくださいました。

ロボットアームの件はTwitterで見ていたので、「あれに挑戦しているのがマサさんなのか!」と挑戦の日々を直接聞けたことが嬉しかったです。

マサさんとのトーク後、しばらくすると、OriHime-Dを操縦するパイロット なおきさんが、オーダーした飲み物をトレーに乗せてサーブしてくれました。
(このトレーは飲み物がこぼれないよう、立体的な作りになっている)
一方で飲み物と同じくトレーにセットされた、砂糖、ミルク、スプーン入れは空っぽ。
OriHime-Dから手元は見えないんだなー。OriHime-Dはどのような視界になっているのだろう?と興味津々になりました。

料理はOriHimeパイロットではなくお店の人がサーブしてくれました。

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肉好きオリィさんがこだわったというロービー(ローストビーフ)バーガー!
見た目からボリューミーなのだけど、食べてみるとローストビーフがしっかりたっぷり入っていて、食べ終わる頃にはお腹いっぱい。
付け合わせのピクルス、焼き野菜も歯応えしっかりでとてもおいしかったです。

閉店間近になるとオリィさんが前方スクリーン脇に出てきてご挨拶。
なんでも開店と閉店の時間帯は朝礼・終礼と題し、OriHimeパイロットが挨拶をすることになっているそうで、この日はバリスタのさえちゃんがバックヤードから出てきました。

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さえちゃんは身体表現性障害と診断される前はバリスタとして働いていたとのこと。
今はOriHimeパイロットとして、OriHimeやOriHime-Dを操縦してオーダーを取ったり、飲み物をサーブする他、テレバリスタでコーヒーを淹れてくれるそう。

OriHime-Dの操縦はOriHimeより操作が複雑だそうで、さえちゃんは私たちのテーブルに何度も来てくれました(笑)

印象に残っていること

テーブル担当のマサさんがロボットアームによる料理に挑戦している話をしているときに、「最先端の失敗をしています!」とお話しされていたことがとても印象的でした。

実は職場でとあるプロジェクトに参画していて、知見や経験が少ない領域の仕事に挑戦しているのですが、「うまくいかなかったらどうしよう」と後ろ向きに思うことが多々ありました。

でも、社内でその取り組みを行なっているスタッフはいないので、うまくいかなくても「最先端の失敗」だな、と。そう考えると「うまくいかなくても落ち込む必要はなく、要因分析をして次の手を考えるだけ」と失敗に対するハードルを下げることができました。思えるようになりました。

もう1つ印象に残ったことは、パイロットの皆さんが本当に活き活きしていて、とても楽しそうに仕事をしていたこと。
楽しそうにしている人を見ると、こちらもとてもワクワクした気持ちになり、自然と笑顔になります。

そして、従業員の7割超が障害者である日本理化学工業の大山泰弘会長が、お寺の住職さんに言われた「4つの幸せ」の話を思い出しました。

「人間の究極の幸せは、『①愛されること、②褒められること、③役立つこと、④必要にされること』。施設や家庭でできるのは①だけで、②や③や④は働くことでしか得られない」

難病や重い障害で外出できず働けなかった人たちがOriHimeのパイロットとして「働く」を実現できることの意義を実感します。

最後に

家族も含め自分だって今は病気も障害もなく暮らしているけれど、いつ病気にかかったり障害を持つか分からない。(数年前に難病を発症し治療中の親族がいます)

誰にとっても「社会とつながる選択肢」があることは、自分を助けることであり、自分の人生の選択肢を広げることなんだと思います。

障害者が、自分らしく社会参加し、仲間と出会い、お給料をもらうこと。
健常者が、自宅にいながら新しいコミュニティを見つけ、参加すること。
もはや障害者と健常者の区別なく、出会い、語り合い、楽しむこと。

これは分身ロボットカフェDAWNトップページの「Introduction」に記載されているものです。
DAWNはまさにそれが実現する場所だということを体感しました。

8月の予約が始まったので、今度は子どもたちを連れて家族で行きたいと思います。

このnoteを読んでくださった方も、百聞は一見にしかず。
ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

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