カピバラの思いとは

基本的に水族館とか動物園のアンチで、進んで行くことはしない。しかし先日、付き合いでとある動物園に行くことになった。

ちょうど我々が入園した時間帯にカピバラとの触れ合い体験が催されていた。連れが大はしゃぎで参加申し込みし、自分も一緒に参加することになった。

動物園のアンチを自認しているもので、触れ合い体験というものに抱く印象もかなりこじらせている。

なんか・・・自分がカピバラだったら・・・見知らぬ人間が押し寄せて・・・キャァキャァ言って触ってきたらめっちゃイヤだし・・・とか思って。カピバラたちと仲良くする人々の輪の中でひとり棒立ちになっていた。せめてこの時間内、カピバラに課せられた強制接待が私の分だけでも免除されますように・・・とか思って。後方彼氏面のカピバラバージョンやってる自覚はあるのだが、どうしても、初対面のカピバラとの距離を測りかねてしまって。

連れには「ぜんぜん怖くないよー?」と再三カピバラ撫でをオススメされた。こちらがぜんぜん怖くないからと言ってカピバラがそう感じているとは限らないだろう・・・と、連れからしたら訳の分からないであろうそんな内心の理由を明かすわけにもいかないので、曖昧にヘラヘラして、「でも遠慮しとくぅ・・・^^」と返事をしていた。

そうしていると1頭のカピバラがノッス・ノッスと歩いてきて、私の太ももにゴッツリとぶつかってきた。もしかしてカピバラ本人は私が心配するほどに強制接待感を感じていないのか・・・?

私相手にぶつかり稽古をシバくそのカピバラに係の方が近づいてきて、ニンジンを与え始めた。カピバラは私の脚にお腰をあてたままでむしゃむしゃニンジンを食す。連れも「あら」と近づいてきて、係の方に「(カピバラは人間に)噛みつきますか?」と質問し始めた。ちょ、そんな、こんなに温厚にしてる本人の目の前で、噛みつきますか?とか聞くの失礼じゃないか・・・!とカピバラの立場になって内心で焦る後方彼氏の私。「ものすごく危ない目に遭わされたとか、そういうことがない限りは噛まないですけどねー」と連れに回答する係の方。「犬とか猫ぐらいの知能はあるんですか?」と尋ねる連れ。いやだから本人を前にして、失礼じゃないかー!と焦りつつヘラヘラしている私。「いやぁ・・・そんなには賢くないです」と答える係の方。目の前で「賢いですか?」「賢くないです」のやり取りをされて、カピバラが受けるであろう精神的ショックが気にかかる私。それで「おっとりさんなんですね」とカピバラへのフォローのつもりで言ったが、係の方と連れは何か別のことで盛り上がっていて完スルーされた。カピバラもモー………とした顔でモムモムとニンジンを食べ続けるばかりだった。独り相撲する私。

内心アンチとは言え、連れの手前、楽しかったぞという素振りで動物園を後にした。

そして今もカピバラのあの何も読み取れない表情が忘れられない。カピバラ・・・いったい何を考えているの・・・カピバラ・・・。

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