見出し画像

発売当時2歳だった人間が2020年になって初めてmoonに触れた話

こんにちは。
アリクイドウ ミチです。

みなさま、「ラブデリック系」と呼ばれるゲームをご存じでしょうか。
かつて存在したラブデリックという会社の流れや雰囲気を汲んだゲームのことをそう呼んでいるようです。
3作だけをこの世に残し消えてしまったラブデリックのデビュー作が今回記事で触れている「moon」なのです。

実はラブデリックという会社の存在を私が知ったのは、このゲームがNintendo Switch に移植されると聞いてから。
周囲があまりに色めき立っていたので、そんなにすごいゲームなのかと調べたところ、「こんなすごいゲームが97年にあったの!?」と衝撃でした。
それからラブデリック系という言葉に辿り着き、私がかつて遊んでいた「ちびロボ」や、入手困難で仕方なく実況動画履修した「チュウリップ」もその系統だと知ってなおさらそれらの源流、「moon」を遊びたいという気持ちが強くなったのです。

https://www.youtube.com/watch?v=6832gkaqkpk


とりあえず、ダウンロードして衝動のままに起動してみましたが……
何をして良いのかまったく分からない。

このゲームの根幹にあるのはRPGの主人公・勇者の普通だったら許されない行動あるある(勝手に人の家の物を漁る、無抵抗のモンスターを倒すなど)への問題視と、「ラブ」です。

最初に謎の存在からムーンワールドの住人を助けたり、勇者に殺されたモンスターの魂をキャッチしたりすることによってラブを集めなさいという啓示があるのですが、それでも何をして良いか分からない。

今までご丁寧にチュートリアルが用意されているものやUIが親切なゲームばかりやってきたせいか、そういった流れを読み取る力がないのかもしれません。

でも、だからこそ楽しい。

攻略サイトなんて普及していなかった時代、発売当時の子どもたちはああでもないこうでもないと試行錯誤してラブを集めていったんだろう……と想像し、自分も攻略を見ずにやってみようと思ったのですが……結局後半はサイトに頼ってしまいました。(みなさん限界まで自力でやることをオススメします)


こんな方にオススメです。

・レトロな雰囲気のものが好き
・王道RPGに違和感を覚えたことがある
・常識を押しつけられることが苦手
・謎解きが好き
・優しくありたい
・コンプ癖がある

みなさんぜひ遊んでみてくださいね。
今後もラブデリック系のゲームが移植されることを願って。


※ここから先はネタバレとなります。





さて、一応エンディングまで至ったのですが……
おとぎ話のようで、かなり現実を突きつけられるゲームだなと個人的にはそういった印象を抱きました。

勇者ってゲーム内では特別な存在だけれど普通に考えたらやってることヤバいよね、とか。
大事なのは現実だよね、とか。

そう言われているような気がしました。

ラブを集めた主人公でしたがそれも月に到達するためにしかならず、ムーンワールドを救うという「扉」を開くことができませんでした。

そうしてゲームオーバーになった主人公は、ゲームを「続ける」か「やめる」かの選択を迫られます。

クリアした方はご存じだと思いますが、これは「やめる」を選択しないとムーンワールドに平和が訪れないんですよね。

現実世界からゲームの世界に入る、異世界転生するという創作物が巷に溢れていますが、そういったものへの風刺にも思えます。
結局私たち人間は現実に存在していて、その現実世界で行動を起こさなければ何も変わらないのと同じだと。
ゲームはあくまでゲームなんだと。

心に刺さるゲームだったなと振り返りつつ、そういえば真エンディングの最後「10月に発売される予定だったゲームステーションのソフト『moon』の販売は中止になりました」って画像で終わるじゃないですか。

あれって、主人公が現実の扉たちを開けたことでムーンワールドの住人が飛び出しゲーム自体がなくなった、という解釈で良いんでしょうか……。
後味が良いのでこういう解釈でいかせてくださいね。

ラブデリックにお勤めだったみなさん、素敵なゲームをありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?