東大SPH受験体験記/戦略記・書類審査編

今日から心機一転大学院生活が始まるので、一応受験体験記のようなものを書いてみようかと思います。

2020年のイレギュラーな入試で参考にできる情報が少ない中、自分なりに戦略をたて、なんとか1年コースに合格することができました。
2021年実施の試験がどうなるかは、おそらくまだ誰にもわからないと思いますが、先輩方の体験記に救われた身としてこの体験記が誰かの参考になればうれしいです。

本題に入る前に、自分のバックグラウンドですが…

病院薬剤師、医学博士、自分も高額医療にひっかかる患者 です。
薬学部卒業後に病院薬剤師として勤務して6年目、入職時から社会人大学院生として研究を続け、5年かけて博士号を取得しました。研究内容はパブリックヘルスとは関係のない、患者の血液検体を扱うような、いわゆるウェットな研究です。

また、大学生の時に発症した病気の治療のため定期的な免疫抑制剤の自己注射が欠かせません。注射の日程をしょっちゅう忘れて2,3日遅れになってしまうので、薬剤師としては真面目に「お薬忘れないでね」っていうのに患者としては問題児です 。ちなみに、自己注射の手技の指導は異様にうまいです。腹肉のつまみ方と離すタイミングからお伝えできます笑


●小論文

添削をお願いしている方も多いとききましたが、私は誰にも見せずに、一人で読み返しながら作成しました。驚かせたかったというか、一種の願掛けというか、頑なに家族にも秘密にしていたので(笑)

一番困ったのは字数制限が厳しかったことです。書きたいことをわーっと書き出した後、泣く泣く削ったり切り貼りする作業にものすごく時間がかかりました。

形式は奇をてらったりせず、オーソドックスな小論文の形式を守りました。
大学時代に部活で英語即興ディベート(パーラメンタリーディベート)をやっていたので、ディベートにおける基本的なスピーチの組み立て方を踏襲しました。

具体的には、
第一段落で現状の問題点と主張を述べ、それをサポートする理由を3つあげる。続く段落で理由の一つ一つについて、簡単なロジック(あるいはエビデンス)とイラストレーション(実際に体験した事例等)をつけ、最後にまとめ+インパクト(その主張を達成したらどんなに世の中に良いことが起こるか)で〆る。

内容は、今にして思えば、もう少し練った方がよかったかな、と思います。誰かの意見に影響されたり、陳腐な主張になってしまうのを恐れて、あまり背景や既報について調べなかったので、議論が浅かったなと反省しています。

ただ、これは私の感覚なのですが、東大SPHの受験はすべて基礎というか、入学して先生方から色々な知識を教わり積み上げていく、その土台をはかる試験な気がしているのです。だから、素晴らしい議論や知識、リサーチや考察があればもちろん加点ですが、いわゆる“アカデミックなエッセイを書くお作法”がわかっている、というのが基礎点としてあるのではないかと感じました。

なので、内容については現時点の自分の持てる知識と理論を総動員しつつ、形式は古典的なお作法をきちんと踏襲する、というのが私のとった戦略です。


●活動報告書

ガイダンスで先生がおっしゃっていたようにアドミッション・ポリシーを熟読し、少しでも関連づけられそうな内容は盛りこもうという気持ちでつくりました。
指定のあった「英語」「統計」以外に「実務経験」と「多様性への関心」という、自分をアピールできる大項目をつくり、箇条書きで内容を埋めました。
小論文以上に文字数制限が厳しいため、一文字ずつ数えながら練り続けました。

添付資料はTOEICの点数(前年受験したときの920点)と研究業績をA4にまとめたもの(科研費を申請するときの業績欄を流用)の2点。

私のとった戦略は、添付資料から自明なことはあえて多くを語らず、意外性のある側面をアピールすること。

人間が好き、好奇心旺盛で、ときどき自分とは違う文化に浸りたい発作がでる、どっちかというと文系寄りの人間という、本来の自分らしさが伝わるように書きました。
パブリックヘルスにも、データサイエンス的な側面から人類学寄りな側面まで幅広くあるように、活動歴にも「南米のペルーで遺跡発掘ボランティア(唯一の日本人メンバー)」とか「人類の歴史への関心からアウシュビッツを訪問」など、少しキャッチーで個性がでるような字面を意識し、幅広さをアピールしました。

実際、最初は生真面目に原著論文、国際学会発表歴、国内学会受賞歴、研究助成金獲得歴などを記載していましたが、それらを並べたところで「研究をがんばってきた人」という情報しか与えないと考え、まとめて1つの添付資料としたことで、結果的に文字数を自分らしい活動歴のアピールに回せたと思います。

統計に関しては、全然得意ではなく検定なども受けたことがなかったため、「統計・研究の素養」というふうに曲解して(笑)、博士論文で使ったSPSSや学部時代のメタ解析などに言及しました。学部の統計学の成績はすべて再試験だったため、あえてそこには触れずに…。

活動歴は総じて、英語・統計という指定に縛られず、自分がいかに「公衆衛生学的な人間」かを総合的に伝えられるように意識する戦略でした

小論文よりも活動歴の方が手応えがあったので、、、もし参考にされる方がいたらその辺もご承知おきください♪

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