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(試し読みアリ)「ようかいとりものちょう乙 古都怨霊篇 第二幕」と「絵素材をバンク化することについて」

 以前はお知らせや裏話のようなものをTwitter(現・X)のモーメントにまとめていたのですが、現在は編集も更新もできないので改めてnoteに投稿、以降はnoteの方でpostをまとめます。


 「ようかいとりものちょう」は1~4巻が【妖怪お江戸篇】、5~8巻が【天怪篇】で、9巻からは新シリーズ「ようかいとりものちょう乙(おつ)」となり【古都怨霊篇】がはじまりました。

 今回は前回の第一幕につづき、第二幕冒頭の試し読みです。

古都怨霊篇壱 第二幕 冒頭

試し読みここまで

新キャラ「出町の妖巳」登場!

 古都怨霊篇では、新キャラ「出町の妖巳」が登場します。
彼女もコン七と同じく岡っ引きで、つくも神のワビ助を連れています。蛇妖怪のヒロインをどう魅力的に描くかいろいろ試行錯誤しましたが、これは次回の更新で大ラフからキャラデザ完成までを紹介しようと思います。

試し読み最後のページのワビ助と妖巳

デジタル作画の利点のひとつ

 キャラクターはレイヤー別で描き誌面では見えないところまで線が入ってたりします。(顔のアップやバストアップなどは流石にそれ以上描かないですが)
 なぜ見えないところも描いてるかというと、キャラ、効果、背景などの絵素材が揃ったあとにレイヤーを移動してレイアウトを調整することがよくあるからです。この「完成後にも調整できる」ことはデジタル作画においての利点のひとつです。
 見えないところも描く、というのはゲームを作ってた頃にキャラと背景を別々に描いていたことから繋がっていて自分にとっては違和感が無いのですが、連載漫画を描いていた頃に手伝いに来てくれたアシスタントさんたちの多くは「見えないところまで描いてね」と言うと「それって意味があるんですか??」と、戸惑っていました。
 意味あるよ!見えないところまで描いてくれないとキャラも吹き出しもエフェクトも位置調整ができないじゃん!

絵素材のバンク化

 原稿を描きながら「この絵は汎用性が高そう」と思った絵のグループレイヤーはクリスタの素材フォルダに入れて、いつでも呼び出せるバンク素材としてシリーズや舞台毎にストックしています。

背景バンク一部 ゼロ吉の実家まわり

 再利用するバンク素材はシリーズが進むことで貯金が増えて少し気楽になってきます。だいたいそのままで使う事はできなくてもいちから描くよりかは断然助かるわけです。
 そして時短ができたぶん、新刊の新背景や新キャラ、新エフェクト作画に時間を割くことができるようになります。

背景バンク一部 奉行所での芝居はキャラが複数出ることが多いので
背景は素材にしておくと凄く気が楽なのです

 とりものちょうは画面の密度が高い上に、作画時間がそれほど多く使えないので(大崎さんからのシナリオとコマ割が届いて私が描く頃には発売日や刊行スケジュールがほぼ決まっていて、だいたい作画する時間は満足に取れないことが多い)こういう素材管理は作画する上でかなり重要になります。

そのまま使わない絵であっても、次に描くときの原寸お手本データとして
線の太さだったり密度だったりグレーの位置などを迷わずに済む

 シリーズが終盤まで進むと背景もキャラもエフェクトも素材が潤沢にあるのでその分、ラスボスや情感的なシーン、キャラが大量に出てくるシーンの作画に時間を割くことができます。
 一方、新シリーズのスタート時は新キャラ、新舞台の新背景、新技の新エフェクトで考えることも描くことも多くて時間がどうしても足りなくなってきて毎度てんやわんやになります。

 古都怨霊篇の壱を読み返すと…コミスタからクリスタへの切り替え、新舞台の絵をどうするか、コン七の等身変化、新衣装、新キャラデザインでドタバタしながら描いていたのを思い出します。

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