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星屑へリオグラフという乙女ゲームをリリースしました! / 042

先日、2年にわたりコツコツ作っていた乙女ゲームをリリースした。

リリースしたと言っても、全キャラリリースできたわけではないし、本来の目標であるアプリにはまだ出来ていないので、課題は山積みだ。

だけど、一つの形にはできた気がしていて、少しだけホッとしている。

いつもは、運営しているサークル『あにまるぷらねっと』のFANBOXで作品について書いているけど、ここでは制作の裏話というか、作業しながら思ったことを書いてみようと思う。

プロットについて

ゲームを制作するうえで、一番難関になるのは、シナリオのプロットだ。

プロットは、シナリオの筋や構成で、どういう出来事を経て、エンディングにたどり着くかを示した地図みたいなものだ。地図がないと当然キャラもプレイヤーも迷子になる。かと言って、細かく書きすぎるとシナリオライターさんが遊ぶ余地がなくなり、物語の中を歩かされてる気がして面白くはない。

迷子にさせず、かと言って強制させないで導く。このバランスがとても難しい。

プロットを書く時は、大体終着地点であるエンディングを先に決めて、そこにどう辿り着けばいいのかを考えることが多い。辿り着くための過程に、ヒロインやキャラの心が動くような出来事を作る。人の心は出来事を通して変化したり、それがきっかけになって動き出すと思ているので、その心が変化したり動くに値するようなイベントを少しずつ散りばめていく。

一目惚れのようにある日突然、一気に燃え出す恋もあれば、長い時間の中で少しずつ燃える恋もある。

一気に燃え出す恋はインパクトが大きい出来事を数回、少しずつ燃える恋は小さい出来事を何度も何度も積み重ねる。キャラの性格などで、どちらにするのか決めて、物語の構成を作っていく。

だけど、出来事に意識をとられすぎると出来事を並べただけの日記みたいな物語になってしまい、今度は気持ちが置いていきぼりになってしまう。

特に私が作る作品は日常を舞台にしているから、ファンタジー作品のように特別な魔法もなければ、ミステリー作品のように解かないといけない謎もない。なんてことない日常の中で、出会い、時間を重ねた男女の話なので、だからこそ恋する過程がおざなりになってしまうとひどく退屈な物語になってしまう。

乙女ゲームは、恋を描く。だからこそ、心情の変化だけは丁寧に描きたいと思うけど、うまくできているかは未だに自信がない。

昔から説明し過ぎる癖があるので、なるべく説明し過ぎないように心がけてはいるのだけど、これもまた伝わっているのか不安になることもあって難しい。

昔は短く物語を作れていたのに、最近はどんどん長くなっていくのをどうにかしたいと思っているけど、どうしても長くなってしまい、反省点であり今後の課題だ。

シナリオチェックについて

なんとか最初の難関を超え、シナリオを書いてもらった後に待っているのは、シナリオチェック。文字通りライターさんに書いてもらったシナリオをチェックする作業だ。

この作業は物語の完成形が見えてくるのでとても楽しいし、ライターさんが書いてくれたシナリオは自分でプロットを書いているのにも関わらず、シナリオが出来上がってくる頃には自分が書いたプロットを忘れているので、まっさらな状態で読むことができて、ある意味ファン目線で楽しめる。一度で二度おいしい感じだ。

シナリオを読みながら……「そういえばこんな事をプロットに書いたな」と思いだしていることはよくある(笑)。

作業自体は、シナリオの流れの調整やキャラの捉え方が若干食い違う時があるので、それを調整することがメインになる。食い違いは私のプロットの書き方がお粗末だったばかりに、ライターさんに伝わらなかったことで起きるので、毎回申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

あと言葉の捉え方の違いでも起きる事が多い。日本語は一つの単語で複数の意味を持つ言語なので、例えば「クール」という言葉だけでも「不愛想」「スマート」「口数が少ない」「冷たい」と様々な印象が浮かび上がるわけだ。私は「スマート」な様子を伝えたくてクールという言葉を使ったつもりでも、受け取り手は「冷たい」と捉えてしまったと言えば、少しは伝わるかな。本当、日本語は難しい。

プロットとシナリオチェックはゲーム制作の醍醐味なので、うまくできなくて逃げ出したくなる事もあるけど、なるべく自分でやりたいと思う。

たまに時間がなくてシナリオを書く時もあるけど、自分が思い描くものはできても、自分が思い描いたもの以上のものはできないので、なるべくなら信頼できるライターさんの遊びを入れてもらい、キャラや物語をより魅力的にしていきたいな。

星ヘリについて

今まで勤めていた会社を辞めて、気の合う仲間と始めたサークルで、最初に作った企画が『星屑ヘリオグラフ』なのもあり、なるべく完璧に作らなくてはと、変にプレッシャーを感じていた。

つまらなくないように、飽きられないように、キャラを好きになってもらえるように、完璧に作らなくてはいけない。そう思うのに、プロットを書けば書くほど、それができているのかわからなくなり、シナリオをチェックしていてもその気持ちが残っていて、今思うと自信を失くしていたのだと思う。

正直に言って、それで手が止まってしまった期間もあった。

そんな中でイベントに出展して、言われた「楽しみにしてます」「待ってます」という言葉。こんな自分の作品でも待っていてくれている人がいるんだと思ったら自信を失くしてる場合じゃないと思った。

それによくよく考えてみれば、完璧にゲームを作れたことはなかった。今まで作ったどの作品も見返すとどこかしら直したいと思ってしまう場所があって、落ち込むので、過去作はあまりプレイできなかったりする。

だけど、間違いなくどの作品もその時のベストを尽くした作品で、それだけは自信を持って言える。

年齢を重ね、経験を積んだからこそ見えてくるものもあるけど、勢いと情熱でしか作れないものもある。するべきことは、完璧な作品を作ることではなくて、カタチにして、その時のベストを出すことだと思ってからは、フリーになって時間の制約があまりなくなったのもあって、一気に作業を進めることができた。

昴が、波智が、理音が、星真が、夕月が、ゆっくり時間が流れる日常の中でくるくる笑ったり怒ったり落ち込んだり悲しんだりしている。

それらを見ていると、自分も同じ空間にいるみたいでなんだか楽しい。立ち絵と背景と音楽と時々声で構成された世界は小さく、狭い。けど、画面の向こうには確かに彼らの世界が広がっていて、生きている。もしかしたらこの日常の先に彼らの日常もある気がして、それがなんだか嬉しい気持ちになる。

私は、こういう気持ちを感じたくて、ゲームを作っているのだと思う。

そんな事を感じながら、星ヘリを作っていました!!

よかったらぜひ、プレイして、彼らと同じ時間を過ごしてみてください!!!

『星屑ヘリオグラフ』公式サイト


まずは最初の昴と波智が出せたので、次の理音と星真にバトンタッチ!

これもまた同じようにプロットで大苦戦をしてますが、その時のベストを尽くせるように制作していくのだ~~~!!

プロット書く度に自信失くして、世に出すのが怖い病にかかるのマジでどうにかしたい。



ゴリラにバナナを買うための愛の手を(*ノωノ)