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どうして乙女ゲームを作ってるんだろう? / 049

どうして乙女ゲームを作っているんだろう?

たまにスランプに陥ると、考えている事でもある。

確かにノベルゲームやアドベンチャーゲームは好きだけど、めちゃくちゃ乙女ゲームをするかって言ったらそうではない。乙女ゲームの何倍もRPGやアクションゲームやシミュレーションゲームをやっていることの方が多い。

でも、それらのゲームを作りたいかって聞かれたら答えはNO。作りたいのは、圧倒的に乙女ゲームなのだ。

先日『どうして乙女ゲームをするんだろう?』と疑問に思い、下記のような記事を書いたのもあって、今回はあらためて考えてみようと思う。

まずは、作り始めた経緯について書いてみようと思う。

▶なぜ作り始めたか

ありがたい事に、環境があったからだ。

大学を卒業して入社した会社で広報をしていたのだが、入社当時から未経験にも関わらず、BLCDの収録の立ち合いやBLCDの台本を書くように言われ、BLを知らなかったけど何とか独学で勉強しこなしていた。

それを繰り返していたら上司からCDを作ってみないかと言われ、興味があったのと元々人見知りこじらせていたので「広報向いていないな~」と思ってた事もあり承諾。囁きCDを数枚出した後、上司と出版社を回った帰りに「新しい企画を出せ」と言われ、その際にゲームをCDを一緒に発売できないかと考え、出した企画がきっかけで本格的に乙女ゲームを作り始めた。

当時、親会社が18禁ゲームを作っている会社だったこともありゲーム開発をするにはこれ以上ない環境があった。(ちなみに私は最初、親会社の方に就職の面接に行っていた(笑)。本当はギャルゲーの広報になりたかった)。

環境があったからこそできたことだ。

▶どうしてゲームを作るのか

これはもう単純に、ゲームが好きだから。

世の中には、アニメ、マンガ、ゲーム、小説などのたくさんのメディアがあるけど、幼い頃からゲームを遊び続けていたからこそゲーム以外は考えられなかった。

視覚と聴覚で楽しめて、自分の行動が反映されるゲームが好きなのだ。

せっかちなのもありアニメ観てられないんですよね。ゲームなら自分で進行速度を操作できるのも合っていたんだと思う。

▶どうして乙女ゲームなのか

これに関しては、ギャルゲーの影響がめちゃくちゃ強い。

私は小学生からずっと女の子と恋愛するギャルゲーをプレイし続けていて、いろいろヤンチャしつつ、大学生になるまでギャルゲーをプレイしていた。

その経緯は下記の記事にまとめているので、よかったら読んでください(笑)。

中学生くらいからずっと「絶対大人になったら絶対ギャルゲーを作るんだ!!!」って思ってた。

だけど、どんなにギャルゲーが好きで作りたくても私は女性で、男性の性嗜好とはズレがあるのを自覚していた(私は程よい胸のサイズが好きだけど、男性向けは巨乳が好まれる、ベッドシーンでの会話の傾向等々)。

だからギャルゲーは作れないだろうなと思っていた時に『ときめきメモリアル Girl's Side 2nd Kiss』や『乙女的恋革命 ラブレボ!!』にハマり、乙女ゲームを作りたいと思ったのだ。

自分が女性だからこそ女性の好みはなんとなくわかるので、乙女ゲームなら作れるんじゃないかと思ったわけです。


と、こんな経緯があり乙女ゲームを作ってます。それからは、女性向けCDや乙女ゲームを専門に作ってきました。

環境があったのが本当に大きかったのですが、今から約3年前に勤めていた会社を退職し、作る環境はなくなってしまった。

でも、今も作っている。

▶どうして今も乙女ゲームを作っているのか

正直に言えば、私は天才じゃない。

悲しい事にどこまでも凡人だ。その人にしか作れない個性あふれるキャラや、誰も想像できないような眩い世界観を作れるわけでもない。

0から1に出来る方ではあると思うけど、1を10にすることは得意ではない。たまに自分が作った作品の同人作品を目にすると、みんな天才なんじゃないかって思う。私より全然キャラを動かすのが上手くて嫉妬するし、面白いしで「続き書いてくだせえ(´;ω;`)」とむせび泣いている。素晴らしい才能の持ち主が世の中にはたくさんいる。世界はすごい。

その0から1にする企画作業も、世の中にいるたくさんの天才たちが作った作品に影響を受けたり、ヒントを得たりして、できているようなものだ。才能がある人を羨んでばかりの時もあったし、向いてないなと思うことも多々ある。

それでも、今も乙女ゲームを作っている。その理由を考えてみた。

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考えた結果、伝えたいことを伝える手段が、私には乙女ゲームが一番合っていたのだと思う。

私の母はくも膜下出血で大学生の時に亡くなった。バイトが終わって弟からの電話に気づき病院に駆け付けた時には意識はなく、そのまま数日後に亡くなった。早くに幼なじみとルームシェアするために家を出た私は、最後に母と交わした会話を覚えていなかった。当たり前に続くと思っていた日々は、当たり前なんかじゃなく、たくさんの奇跡の上で成り立っている事を知った。

どんなに悲しみの底にいたって人は忘れるようにできていて、その人の仕草や表情、声をゆっくりと忘れていき、ぼんやりとした優しい思い出だけが残る。だけど、悲しい事ばかりじゃなかった。

母との思い出は、長い人生を歩いている中で、くじけたり落ち込んだりした時に背中を押してくれる。それを実感する事があったからこそ、プレイしてくれた人の記憶に残り何かあった時に背中を押せるような作品を作れたらと思った。母が亡くなった当時はすごく悲しかったけど、この経験があったから作品作りをできている気がする。

人の心はすごく脆いから、支えが必要なんだと思う。そういう支えがない人のために、作品やキャラが支えになれたらいいなとも思う。「彼が頑張ってるから、あの子が頑張ってるから……自分ももうちょっとだけ頑張ってみよう」と、その”もうちょっと”のきっかけになるような作品を作るのが目標でもある。

あとは、ゲームをしながら感じた気持ちは私にとっては宝物で、とても大切なものになったから、そういう気持ちを感じてもらえるような作品を作りたい。主人公を通して、キャラと一緒に笑ったり泣いたり胸がギュッとしたり怒ったりしている瞬間は、確かに自分の心が動いているのだから。そういう気持ちを感じられるだけで、人生はちょっとだけ豊かになる。自分が作ったゲームを遊んでくれた人の人生をちょっとでも豊かにできたら、こんなに嬉しいことはない。

当たり前はない事。
大切な人がそばで笑っていてくれる奇跡。

そういうのを少しでも伝えられて、思い出した時にひだまりのようにじわっと心を温めてくれる作品を作りたい。

乙女ゲームでそれを表現する理由は、乙女ゲームは恋愛を描くからだ。

恋愛は人の最も弱い部分をさらけ出してするもので、人の心の深い部分や人と人の繫がりを描ける。そういうものを通して伝えていきたいので、今も乙女ゲームを作っている。

友情では足りなくて、夫婦では満たされ過ぎている。なので、恋人同士の関係を描きたいのだ。

ぶっちゃけ……!!!

カズアキさんのイラストを見たくて作っているところもあります!!!!

いつも企画や物語を考える時は、このキャラをカズアキさんが描いたらどうだろう、この物語をカズアキさんのイラストで表現したらどうだろうって考えている。カズアキさんとの出会いは一生分の運を使ったんだとしても、余りある恩恵を受けているので後悔はないですね!

それから、ギャルゲ畑で蝶よ花よと我儘放題に育てられたため性癖にこだわりがあるので、性癖と一致した作品に出会えることが稀なので「ないなら作ってやろうホトトギス」という気持ちもあります!

探してもないなら、生み出すしかないのです!!

あとは、青春をしていたいんです。

ゲームの中ではキャラたちと。
ゲーム制作ではスタッフや力を貸してくださる人たちと。
外では作品を好きだって言ってくれる人たちと。

いつも一緒に青春をしているような気がしている。

ゲームを制作していなかったら出会えなかった人たちがいて、制作していたからこそ生まれてきたキャラや作品がある。天才でもないどこにでもいる凡人が、ゲーム制作や作品を通して世界と関われていて、人に伝えたい事を伝える事ができる。それが幸せなのだ。

自分の中で生まれたものが、多くの人に助けられ力を借りて世に出て、受け取ってくれた人たちの宝物になる。そうやって青春しながら、受け取ってくれた大切な人たちの心を動かし、あたためる事ができるって……こんなに嬉しいことってないと思うんだ!

ゲームはなくても、生きるのに支障はない。だけど、ただ毎日の日課をこなして生きるだけじゃつまらない。そこにゲームがあることで人生がちょっとだけ楽しくなる。生きる楽しみが増える。そういうものを作っていきたいし、関わってくれる人たちや遊んでくれる人たちの笑顔を一つでも多くできるように力を尽くしていきたい。

好きなキャラのことを語ってくれる表情が、私は好きなんだ!
すごくキラキラしてる。

「お前にそういう表情をさせてるのが俺だって思うと嬉しい」ってイケメンがよく言うけど、その気持ちめちゃくちゃわかるわ~~!!

とまあ、つらつらと書いてきたけど、結局はそういうのを全部ひっくるめて楽しいから作っているんだと思う。

作品を作っていなければ出来ない体験をたくさんさせてもらって本当感謝しかない!!

作りたい作品や伝えたい想いは、キャラや作品でも変わってくるし、それとは別に年齢を重ねていくことで変化をすると思うので、その都度お話させていただこうと思います。

まあ、何が言いたいかって言うと、乙女ゲームを作るのも好きなら乙女ゲームを楽しんでくれる子たちも好きだって話です。

いつもありがとう!

余談ですが、ギャルゲーを作る夢はhoneybee+で制作した『青春はじめました!』という作品で叶える事ができました(笑)! 有栖ルートも吉野ルートもことりルートも気合いを入れて作ったし、有栖ルートに関してはシナリオも書きました! やって欲しいけどバグが多くておすすめできません(´;ω;`)悲しい。


あと何度も宣伝しますが、私が作った乙女ゲームで遊んでください(笑)!


ゴリラにバナナを買うための愛の手を(*ノωノ)