バッド・スパイ

おバカ女を見くびるな

 世界は女で回っていると言うが、正確には、おバカ女が回している、というのがこの映画のメッセージだ。そして悲しいけど、半世紀も生きていると、このメッセージを認めざるをえない。

 主人公は仲良しの女2人。その一人の夫がスパイで、テロに関わっている。そんなこんなで、機密情報の入ったUSBを持ったおバカ女が、テロ組織と戦う。

 この手の映画に、ストーリーは何の意味もない。理屈の通らないおバカ女が、なんでか課題を解決していく。架空の話のおもしろだとは思うけど、現実の世界でも時々こういう不思議なことが起こる。ダメ人間だと思われてる人が、まじめに仕事をする人の難題を、何の気なしに解決したりする。

そんなことはあってほしくないけど、世の中は理不尽だ。努力している人が必ず成果を上げられるわけではない。誰もにバカと認められる人が、時にバカ力を発揮する。「誰にも役割がある」という言葉には嘘臭さを禁じ得ないが、無能と思える人が実際になんでか役に立っているのを目にすることはある。

賢い・愚か、有能・無能……。人と会うごとにその人の力を判断しながら生きていかねばならないのが現実なのだが、人間の能力の差などたかが知れている。同じ人間の中で力の違いを争ったところで、どんぐりの背比べにすぎない。おバカ女はそんなことを教えてくれる。

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