いざ開業

前回のnoteから気付けば10日くらいが経過しましたが、特に飽きたわけでもありません。時間が無いという言い訳で更新しておりませんでした。

前回の「奥が深いよありがとう」にて、浜田さんの事をイジっているように書きました。しかし誤解のないようにお伝えすると、私はとても浜田さんを尊敬しております。教養のない私にとって大人になって出会った教師のような存在です。私に足りないもの、分からない事、色々な事を教わっております。ある程度長い時間をかけて気付いた関係もあるので軽口を叩きますが、これが私の浜田さんへの思いです。

開店

2002年秋に開店への準備を始め、年明けにはある程度形は出来ました。

風営法の申請期間にその他の準備(看板作成、オシボリの業者、ゴミの業者、ジュースサーバーの業者、その他備品)をし、警察からの許可が下りるのを待ちました。

そして、2003年3月14日正式に麻雀アリスがオープンしました。

始まりは本当に自分一人でした。セット専門店なので自分一人で店を回しておりましたが、そんなに大変ではありませんでした。店から離れることは殆どありませんでしたが、スタッフルームに布団もあり不規則ではありましたが睡眠時間も問題なく、お風呂も銭湯に通い、食事も問題なく。

たまには外に出て気分転換したかったけど、とにかく1年くらいは我慢して店を安定させることだけを目標に頑張っていた記憶があります。

集客方法

学生街にお店を構えましたが、当時の白楽は大学の近くも含めると10件以上の麻雀店がありました。麻雀する人なら分かると思いますが、基本的に麻雀する時っていきつけの麻雀店ってありますよね?フリーの方がまだいくつかのお店に行ったりしますが、固定面子のセットをする場合って同じお店に通う事が多いと思います。そんな状況でアリスにどうやって足を運んでもらうか?

まず取り組んだのがビラ配り。お客様が居ない時間にお店の下にコードレスの電話だけ持っていき電話対応も出来るようにしてビラを配りました。ビラは印刷屋で作ってもらったA4の用紙の青いビラ。これがハッキリいって大失敗。

それもそのはず。自分が道端を歩いていて配られるビラ受け取ります?私は99%受け取りません。たまにティッシュなら受け取ることはありますが、それでも50%くらい。しかも麻雀店という、特殊なお店。飲食店のように誰でも足を運ぶお店とはわけが違います。

ビラを配る事2時間×2日間。結局受け取ってもらえたの10枚も満たなかった記憶があります。

いくら暇な時間とはいえ、睡眠時間を削ってまでこんな効率の悪い事をするのもどうなのか。効率の良いビラの配り方を考えるのも一つではあるが、私の出した答えは、

「諦める」

そう、私はこのやり方は無駄だなと思いビラ配りを止めた。しかし、ただ止めたわけではない。店の下にある看板に「御自由にどうぞ」と書いてビラを何枚も置いておいた。

これは私の感覚なのですが、麻雀をする人って「麻雀」という2文字に特別な感情が湧くと思うのですよ。もう少し言うと、どんなシチュエーションだと「麻雀」の2文字に反応するか。これが、今皆さんのように私のnoteを見ているような状況やTwitterなどSNSで麻雀に関わるものを見た時は単なる漢字2文字。特別な反応は無いと思います。しかし不意に訪れる「麻雀」の2文字。この不意に訪れる2文字は特別な感情が湧きませんか?!

例えば、電車に乗っている時。外の風景をボーッと眺めていたら「麻雀〇〇〇」というお店が目に入ると、「こんな所に麻雀店があるんだ!!」と気になりませんか?これがガソリンスタンド、銀行、コンビニ、自分が普段利用するお店であっても「こんな所にセブンイレブンがあるんだ」なんて心を踊らされませんよね?これが「麻雀」の2文字になるとどうも心が踊りだす。(私だけでしょうか)

心が踊りださないにしても、意識はすると思っているので後は看板に任せました。商店街を歩いている学生や地元の人、小さな街に突如現れた「麻雀」の2文字。大体の人は「新しく麻雀店が出来たんだ!?」と思うはず。そしてその2文字を共感できる同じ麻雀仲間へ伝えたくなる。看板にある麻雀の2文字と口コミで広がるのを待つことにしました。

そんな事でビラを持って行ってもらえるのか?

それがビラが無くなるのですよ。不思議ですよね。これには理由があって、ビラには「このチラシをお持ちのお客様はセットの料金が1h無料」とあったのです。これは新規の方だけではなく、来店したことがあっても来店の度に看板から取り出し持参すれば何度も使えるのです。OPENして2ヶ月くらいずっとやりました。もうお店に10回以上来ている人達もずっと使っていました。そうやって少しずつ色々な人達に足を運んでもらいそこから勝負しました。

今でこそ検索サイトなど便利なものがありますが、当時は広告と言えば近代麻雀でした。しかし小さな街のセット専門店に全国紙は向いていないし、何より費用が高いので選択肢にすら無かったです。

コミュニケーションが全て

こうして少しずつアリスに足を運んでもらえるようになりましたが、これでやっと土俵に上ったところ。ここからが勝負の始まりです。

とにかく徹底したのは、コミュニケーションを取る事。顔を覚えることは当然ですが、とにかく「会話」をすること。そしてこの人(この人達)とどんな会話をしたかも事細かく覚えました。

そして相手に「入る」事。些細な事で良いのでこちらから「関心」を持って話しかける。勿論必要以上に詮索はしませんし相手を見極めてやります。麻雀中も特に多くは話しません。入退店と適度な合間を見つけて相手の懐へ入る。

「好きの反対は無関心」と言いますが、裏を返せば「相手に関心を持つ」事は好意的に受け止めるのではないかと思います。これも私の感覚なのでよく分かりませんが。

言葉で上手く説明できませんが、長くお店を続けてこれた理由はこの辺が自分に向いていたのだろうと思います。但し、このやり方が嫌いな人も居るであろうことも間違いないので、全ての人に受け入れられないものだと割り切って続けてきました。

私は麻雀店を始めたいと思いアリスをOPENしました。しかし出来上がったものは麻雀店というより、麻雀店という名の「コミュニティ」を作っていて、それこそがとても重要だと17年間アリスを続けて分かった事の一つであります。

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