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暁山瑞希から「暁山瑞希」という記号を剥ぐ

こんにちはアリアです。
やっぱり来ましたね……混合瑞希。
来月のニゴイベも瑞希☆4濃厚な気がするんですけど……?

さて、まずは今回の感想から。
クッッッソ丁寧ですね。こんなに丁重に扱われてるのほんとプロセカ運営ありがとね……。

なんかもう瑞希の物語に関しての不安は何もないです。あと一山あるんだろうけど、それが配慮に欠けたものになるとは思えないですね。ぶっちゃけ今回のイベストは配慮のためだけのストーリーな気すらしてます。

では本題に。

Ⅰ.クローゼットと東雲絵名

さて、クローゼットとという服と関わり深い単語が暁山瑞希の秘密の在り方と同一であるという点はかねてから私の中で評価が高いのですが、瑞希のクローゼットを〈開ける〉役割としての東雲絵名の存在は、今回のストーリー、ひいてはこの一連の瑞希の物語において何よりも重要です。

瑞希のイベではお馴染みの、外に連れ出す役割を担う人間が絵名なの最高ですね……。

そしてそれに対する瑞希の思考がこれ。

断った方がめんどくさいから。
とてつもなくネガティブな理由でピクニック行きを了承しています。

そもそもこのピクニックの目的が「余計にあれこれ」聞くためなことを考えると、このモノローグはあまりにも無慈悲です。

今までの態度から見ても瑞希は「秘密」に立ち入られることを良しとしていません。
しかし、「秘密」に立ち入ろうとすることを咎めることもせずにはぐらかすだけです。「秘密」の存在自体を隠したい、というのが本音でしょうか。それにしては大多数に悟られすぎですが……。

瑞希と秘密に関しての話は当記事のイベストのお話を参照していただけると幸いです。

さて、ここで重要なのは瑞希の「秘密」に関わる複雑かつ抽象的な問題が絵名が瑞希の「秘密」を知ることができるかという単純かつ具体的な問題へと昇華されていることです。

本来カミングアウトは秘密を聞き出すことに困難、問題があるわけではなく、むしろカミングアウト後に適切(この言葉自体が適切ではないですが)に受容できるかの方に困難、問題があるわけです。

しかし、瑞希及び絵名の姿勢、そして読者側は瑞希の「秘密」を知っているという構造により、瑞希の「秘密」の内容は焦点から外れ、絵名が瑞希の「秘密」を聞き出せるかどうかに物語はフォーカスされています。

この構造作ったのって結構すごいんですよね。正直今までの無理矢理聞き出そうとする絵名の姿勢って批判の対象になりかねませんし。

聞いたところで絵名が受容できるかできないかという議論も出てきますし。

でも、執拗に逃げようとする瑞希と執拗に聞き出そうとする絵名という構図がとことん描かれることで、瑞希の「秘密」の内容とその受容が読者にとって重要度が低くなっているんですよね。
これにより絵名の聞き出しは、単に殻にこもりがちな瑞希の手を引くという行為へと転換され、「秘密」を暴く以上の意味を持つようになっています。

また、瑞希の「秘密」が読者に公開されていることによって、瑞希が「秘密」を隠す重大さに関しても担保されていて、ひた隠しにしようとする瑞希を鬱陶しく感じることもありません。

ともすればどちらかが〈悪者〉になってしまいそうなこの物語の均衡を保っているのは配慮の塊と言わざるを得ません……。

もうあとは絵名が瑞希のことを引っ張り上げるだけです。

土俵は整って、あとは何の気兼ねもなく立ち合いを見るだけです。

Ⅱ. 「暁山瑞希」という記号

交わる 線と線
着飾る 大好きな
アレ コレ ソレ
そう いつだって
譲れない アイデンティティ

           ーーアイディスマイル

ほんといい曲ですよね、アイディスマイル。ミク・リンverも全人類聴いておきましょうね。

さて、暁山瑞希を「暁山瑞希」たらしめているのは何でしょうか。
そうです、「アレ コレ ソレ」です。

暁山瑞希にとって「譲れないアイデンティティ」になっているメイクや服。

いくつもの壁を越えて、自信を持って身に纏う瑞希はきっと真に笑えていると思います。

しかし。

瑞希は着飾っていないと「暁山瑞希」でいられないのではないでしょうか。

今回のイベストで交流が生まれた雫は瑞希とは対照的に着飾らなくとも「日野森雫」でいられる、むしろ隠そうとしても「日野森雫」が主張されるような、ありのままを体現したキャラクターです。

彼女と対比されることで、瑞希からメイクや服を剥いだ、暁山瑞希のありのままが想起されてしまいます。

そしてこのイベントでは実際、暁山瑞希からその記号を剥ぐ「大雨」が登場します。

個人的な話なんですけど、雨、昔は好きだったんですよね、傘なんて滅多にさしてませんでした。バカかな。

ただ、メイクするようになってから、メイク落ちるわ前髪崩れるわ服濡れるわで嫌いになってしまいました。

まあつまり、雨という舞台装置は暁山瑞希から「暁山瑞希」という記号をものの見事に剥いでくれるんですよね。

瑞希が今日のために着てきたお気に入りの服も、きっと気合を入れてきたメイクも全て。

そうして「暁山瑞希」として着飾っていたものが全て落ちた時にとった瑞希の行動。

瑞希にとっての「暁山瑞希」は「今」のために振り払われます。
暁山瑞希から「暁山瑞希」という記号を剥いだ時、そこに残ったのは底知れない強さと優しさ。キャラクターとしての魅力がどんどん深くなりますね……。

類からも「今まで見たことがない」と評されるくらいの必死さで他人のために駆けることのできる人間。

今回のイベストは「暁山瑞希」という記号から離れた暁山瑞希を、垣間見る形で描くものでした。

Ⅲ.救うということ

今回のイベストを「丁寧」と表現しましたが、その根拠は暁山瑞希を救う側にしたストーリーを作ったことにあります。

今までのままだと瑞希は絵名の姿勢をうとましく思うだけで進展が生まれないんですよね。

ですが、今回のイベストを通して「救う側は必死になる」という経験を瑞希にさせることで、瑞希が絵名を受容できる土俵を整えたんですよ。

アフターライブを見る限りまだ立ち入りを許してはいませんが、次回のイベントで今回の助ける時の必死な自分のことを瑞希は絶対に思い出します。思い出さなかったら桜の木の下に埋めてください。できれば廃校横の。

舞台は整いました。

見届けましょう。瑞希とみんなの物語を。

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