「複数の軸を持つ」ということ

人生において「複数の軸を持つ」ことは非常に重要です。
ITエンジニアの世界には「SPOF(Single Point of Failure:単一障害点)」という用語があります。これは、何か1つのものに障害が起こることにより、すべてに影響を及ぼす(動かなくなる)ことを指し示します。情報システムを安定稼働させるためには、その中に単一障害点を作らないことがもっとも重要と言われています。
しかし、人生の中で「単一障害点」を排除する努力をされている方は非常に少ないのではないでしょうか。たとえば、多くの方が正社員(またはそれに準ずる労働環境)として週40時間同じ企業で働きます。企業の業績悪化などの理由から、給与の支払いが行われなかったらどうなるでしょうか?もしくは、さまざまな要因によって減収となる可能性もあります。これらに対し、直近では「複業」という言葉が生まれているように、生活基盤を支える収入において単一障害点を排除する流れが活発です。(※ただし、ライフスタイルや体力などご自身を取り巻く環境を総合的に判断する必要があり、必ずしも複業が正しいとは言えません。)

ここで取り扱いたいのは、収入の話ではなく、自身の価値基準から単一障害点を取り除き「複数の軸」を持つということです。

複数の価値基準を持つ

社会人であるあなたが「社内」だけに価値基準を持っていたとしたら、会社からの評価があなたのすべてになります。
人生は決して順調な時期だけではありません。人生がうまくいかないときは会社から低評価を受けることもあるでしょう。そんな時「自分はなんてちっぽけな人間なんだ、生きている価値なんてあるんだろうか?」と悩むかもしれません。しかし、あなたは本当に価値のない人間なのでしょうか?絶対にそんなことはありません。あなたが望みさえすれば、あなたはいくらでも社会に価値を提供することができます。

ITエンジニアの世界は助け合いに満ちています。
多くの素晴らしいソフトウェアが無償で提供され、それらを使って星の数ほどのビジネスが生まれて成功を遂げています。あなたが今この記事を読んでいる端末も、数えきれないほどの無償ソフトウェアによる恩恵を受けて動いているはずです。
私たちは助け合うことができます。
たとえば「被災地に1000円寄附する」という行為は、勇気を出せばほとんどの社会人が達成できるのではないでしょうか。休日を使い何かしらのボランティアをすることもできるはずです。世界の貧困を救うための活動をしている方のツイートをリツイートするだけでも、小さな貢献です。

あなたの本当の価値は「会社の中」や「家の中」にあるのではなく、あなた自身の胸の中にのみあります。これを価値観と呼びます。
価値観を養うためには、いまいる世界から外に目を向ける必要があります。そうすることで、自身を測る際の視点が増え、視座が上がり、多くの学びがあるでしょう。あなたが踏み出した世界に対して生み出すことができる価値を「貢献」と呼びます。
1つだけの世界で自身を決めつけないでください。あなた自身の価値観を特定の何かに委ねないでください。関わる世界を増やし、その1つ1つに小さな貢献をしてこそ、あなたが自身を認められるようになります。

それがあなたの「」です。
軸が少なすぎても多すぎてもバランスをとれません。

最後に

これは、あなたへのメッセージであり、私へのメッセージです。
どれだけ多くの世界を知ろうとも、ある一瞬に押し寄せてくるすべての絶望を拭い去ることはできません。しかし、忘れないでください。
私も、あなたも、決して不要な存在ではありません。

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