悩み好転！『禅語の智慧』の物語　No.14

　　　　　　　　【夫婦編】

　　　悩み事：夫婦関係の新たな調和を求めて

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2023年11月13日(月)
　
　　目次
1、あらすじ
2、禅語『水到渠成（すいとうきょせい）』の解説
題名：静かな流れの向こう側
1、序章：静かな家
2、第一章：変化への第一歩
3、第二章：日常の小さな変化
4、第三章：心の変化
5、結章：新しい流れ
6、まとめ
7、ごあいさつ
＊新コーナー＊　柔海 剛山（じゅうかいごうざん）の『禅語の俳句』

1、あらすじ
退職後の夫、雅彦との生活に息苦しさを感じ始めた雪路は、禅語「水到渠成（すいとうきょせい）」の教えに心を寄せる。これは、物事を自然に任せることの重要性を示す言葉である。雪路は、雅彦に家事に参加することを強制するのではなく、彼が自然と興味を持つような環境を作ることに努めた。彼女の計らいにより、雅彦は次第に料理に関心を示し始め、夫婦での散歩を楽しむようになる。この穏やかな変化は、二人の関係を深め、共に成長する新たな日常を築くきっかけとなった。雪路のさりげないサポートと雅彦の徐々に開かれる心が、彼らの生活に新しい流れと調和をもたらしたのである。

2、禅語『水到渠成（すいとうきょせい）』の解説
『水到渠成（すいとうきょせい）』は、中国の禅語であり、直訳すると「水が到着し、運河が形成される」という意味です。この禅語は、物事が自然の流れに沿って、無理なく、時間をかけて自然に成就することを表現しています。水が流れるように、物事もまた、無理に押し進めるのではなく、自然な流れの中でゆっくりと進むべきだという教えを含んでいます。
この言葉は、人生や物事に対する姿勢を示唆しています。無理に状況を変えようとするのではなく、物事が自然に成熟するのを待つことの大切さを教えています。また、自然界の法則や流れに順応し、それに対する抵抗を減らすことで、より円滑な解決や進展が見込まれることを示しています。この禅語は、ストレスや焦りを感じる現代社会において、心の平穏や柔軟性を保つための重要な教えとなります。自然の流れに身を任せることで、物事は最終的には正しい道へと導かれるという、穏やかでありながら深い洞察を提供します。

題名：静かな流れの向こう側

1、序章：静かな家
雪路は窓から外を眺め、夫の雅彦が定年退職してからの静かな家の中で、生老病死（しょうろうびょうし）の四苦という人生の不可避な実態に心静かに向き合っていた。彼らの共有された時間は、年齢と共に深い意味を帯び、同時に切実な現実感をもたらしていた。

2、第一章：変化への第一歩
「水到渠成（すいとうきょせい）」という禅語にインスピレーションを受け、雪路は夫婦の人生におけるこれらの困難に自然と向き合う方法を模索し始めた。彼女は雅彦に家事に参加してもらいたいと願いながらも、彼が自然に興味を持つような環境を整えることに努めた。

3、第二章：日常の小さな変化
雪路は、雅彦が好む料理を作り、彼にも手伝ってもらうようにした。料理を通じて、二人は生老病死（しょうろうびょうし）の四苦という現実に対する新たな心の準備を始めた。健康のための散歩も共に行うようになり、生活に穏やかな変化が生まれた。

4、第三章：心の変化
家事への参加を通じて、雅彦は雪路の苦労を理解し始め、夫婦の会話も増えた。二人は生老病死の現実という共通の課題に、より穏やかに向き合う心構えを築いていった。

5、結章：新しい流れ
時間が経つにつれ、雅彦と雪路の日常は新たな形を見つけた。家事への積極的な参加、健康のための散歩、そして共に過ごす時間が、彼らの生老病死の四苦に対する新たな理解と受容を育てた。二人は、自然な流れの中で互いを理解し、支え合い、人生の四苦に共に立ち向かう力を得たのであった。

6、まとめ
「水到渠成」という禅語のもと、二人は生老病死の四苦（しょうろうびょうし）という人生の重い実態に、自然体で臨むことを学んだ。雪路は、雅彦の小さな変化を見て、彼の内面に生じた変化を感じ取った。彼女自身も、夫との関係の中で新たな意味と目的を見出していた。
雅彦の家事への参加は、ただの日常の作業以上のものとなり、二人の間に新しい種類の対話と理解を生み出した。この変化は、彼らが生老病死の四苦という厳粛な現実に向き合う中で、心の支えとなった。共に過ごす時間が、かつてないほど意味深いものに変わり、それぞれの日々に新たな価値をもたらした。
結章では、夫婦の新たな日常が描かれる。彼らは互いに寄り添いながら、生老病死（しょうろうびょうし）という人生の不可避な側面を、より穏やかに受け入れるようになった。雪路と雅彦は、自然な流れに身を任せることで、人生の困難に立ち向かう内なる強さと平穏を見いだしたのである。
この物語は、夫婦が生老病死の四苦と向き合いながら、お互いを理解し支え合う過程を描いている。禅語「水到渠成（すいとうきょせい）」の教えが、彼らの心に平穏をもたらし、共に成長し続ける力を与えたのであった。

7、ごあいさつ
この物語は、退職後の変化に直面し、新たな生活のリズムを求める夫婦の日常を描いています。夫の雅彦が仕事から離れ、家に引きこもりがちになる中、妻の雪路は夫婦関係の調和と変化への対応に悩みます。この物語を通じて、私たちは人生の転機における心の動きと、それを乗り越えるための禅の智慧「水到渠成（すいとうきょせい）」の力を見つめ直します。読者の皆様には、この物語が日常生活の中で直面する様々な挑戦とその克服について考えるきっかけを提供することを願っています。

＊新コーナー＊
柔海 剛山（じゅうかいごうざん）の『禅語の俳句』
禅語のお題：「 水到渠成」（すいとうきょせい）」
「流れゆく 水の如くに 道開く」

「流れゆく 水の如くに 道開く」という俳句は、禅語「水到渠成（すいとうきょせい）」に基づいています。
この俳句は、自然の流れに身を任せることの美しさと、それによって自然に道が開ける様子を表現しています。
最初の句「流れゆく」は、水の流れのように、物事が自然に進行する様子を描いています。水は障害物に遭遇しても、その周りを流れ、自然と道を見つけるように、私たちの人生もまた、障害に直面しながらも自然に進むことを示唆しています。
中の句「水の如くに」は、水の流れが持つ柔軟さと順応性を強調しています。
水は形を変えながら流れ、自然界の中で自由に動きます。
これは、私たちが柔軟に状況に対応し、流れに身を任せることの重要性を教えています。
最後の句「道開く」は、結果として、物事が自然の流れに従って解決し、新たな道が開けることを示しています。これは、無理に事を進めるのではなく、時には流れに身を委ねることで、自然と解決の道が見えてくることを意味しています。