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空き部屋の取材アルバイト

東京ではいくつかのバイトを掛け持ちしているのだけど、メインは空き部屋の取材だ。

グッドルーム』という、ちょっと変わったお部屋探しのウェブサイト。お部屋を取材した人が想像をふくらませて書く「ストーリー」があるのが最大の特徴だ。もちろんお部屋の魅力を伝えることは大事なのだけど、率直に感じたことをかなり自由に書いていいことになっている。

写真は全てアイフォンで撮っており、構図の見せ方や垂直平行に撮るコツ、魅せるレタッチの技術などを学んでいる。

そしてストーリー。時間内にいかにチャチャッと納得のいく文章を完成させるか。これは私にとってかなりの難関だった。最初はものすごく時間がかかってしまい、残業ばかり。それでも足らずに、家に持ち帰って作業したりしていた。それが今や、気分が乗らなくてもなんでも、とにかくキーボードを叩き始めたら集中して校了まで持っていく心癖が、ようやく付いてきた。

このバイトのいいところは、好きな日に、好きな頻度でシフトを入れて、それが希望通りに100%通るところだ。私が高野山に行くため数ヶ月休むことも、嫌な顔をせず受け入れてくれて本当にありがたく思う。それから、学生や20代前半の若者が多く就職のために辞めていったりと新陳代謝がけっこうあるから風通しがよく、爽やかな社風だ。取材から渋谷のオフィスに帰ってきて掲載作業に取り掛かるのだけど、噂話や陰口などを言う暇はなく、みんなパソコンの画面と向き合い、それぞれの世界に集中している中、程よい雑談が聞こえてくる。

映画館で働いていた時は、周りがどんどんチケットやコンセッションへと仕事の幅を広げステップアップしていくのに対し、私はモギリと掃除しかやらせてもらえなかった。ミスが多くいつもあたふたしていたから、お金を扱わせることへ不安があったのかもしれない。グッドルームでも、相変わらず私の存在はちょっと浮いてるかもと思う。物件ピックアップや手配などはせず、取材だけしか任されなくなってきた。だけど、映画館の時のように怒られたり無視されたりして自信を失ってしまうことはない。時々褒めてくれたり、存在を認められ、必要とされているんだなと感じる。

そんな中、プロ意識を持って真剣に、そして瞳を輝かせて仕事に取り組んでいる人との出会いもあった。その人に、このnoteで高野山ブログを書くことも薦められたのだった。高野山に特化したブログを書くことなど考えてもいなかったし、正直ちょっと億劫だなぁと思った。調子よく書くと言って書かないパターンじゃないか、と自分で自分を訝ったりもした。けれども、これは自分の殻を破って一段上へと成長するチャンスなんじゃないかとも思った。直感で、これは人生の分岐点だ、絶対に逸してはいけないとも感じた。だから、どうにか自分を駆り立てて、こうして文章を書いている。

やってみて分かったのは、続ければ続けるほど自信がついてくるということだ。「私は書けるかもしれない」から、「私は書くことを生業にできるかもしれない」へ。高野山を始め、日本各地、それから世界に飛び出して、旅行記や街歩きの文章を書いてお金をもらえるかもしれない。好きなことでお金を稼げるかもしれない。

まだまだおぼろげながら、可能性としてそのことがあるだけで、心に月明かりが灯ったように感じる。「また夢みたいなこと言って」と笑う人もいるかもしれないけど、自分より他人を信じてせっかくの希望を曇らせたくはない。それに、この月明かりはなんだか、自分にとって信じるに値する神聖さを含んでいるように思うから。

この先も365日の勢いで、書くということに取り組んでいくつもりだ。

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ちなみにグッドルームは絶賛アルバイトスタッフ募集中。人手はあればあるだけいいという風潮なので、やりたい気持ちさえあれば挑戦できます!


ありがたく使わせていただきます。