耕耘機の代わりにクローバーの種を買った日
畑に関する本を読んでいると、野菜の育て方が知りたくて開いたページのすぐうしろに「環境」が潜んでいてびっくりする。農業と地球環境が近しいテーマだということを30年以上生きていて初めて知った。
土壌改良に興味があって『土を育てる』(著:ゲイブ・ブラウン)を読んだときも、そう。そこで出会ったのが「自然農」「リジェネラティブ農業(環境循環型農業)」「不耕起」だ。
「不耕起」とは字の通り、土を耕さずに作物を育てる方法を指す。土を掘り起こすと、地中生物の住処を荒らしてしまい生態系が壊れる、できるだけ耕さずに育てましょうという考え。
耕すことで土が柔らかくなって野菜は育ちやすくなるけれど、土の中の栄養分や炭素や微生物は次第に減少し、最終的には土地が瘦せてカラッポになってしまうらしい。肥料や農薬を投入して栽培は続けられるが、土自体のポテンシャルが戻ることはない。
問題はどうやって耕さずに土をやわらかくするか。
そこで登場するのが、植物や微生物。植物が土の中で根を張り、根で土を耕してくれるという仕組み。根には微生物が集まり、土をゆっくり肥やしてくれる。植物の根は土壌流失や風化を防いだり、保水性や地中の温度が安定したり、土を守る役目も果たす。
畑を始めたころ、手押し式のトラクターがあるといいなと思ってホームセンターによく見に行った。手ごろな価格の製品もあり、よし買おう!という気になっていたけど、置き場所は?メンテナンスは?そもそもわたしに使えるのか?と買うのを躊躇・・・。(というか夫に止められていた)
今年、耕耘機を買わうかわりに、麦とクローバーの種を買った。緑肥と呼ばれる土壌改良や雑草対策に使われる植物、まずは畑のわきにぱらぱらと。
野菜を育てながら、もう少し地球のことを知りたい。
わたしの畑のテーマはこれにする。
「小さな変化を起こしたいならやり方を、大きな変化を起こしたいなら見方を変えましょう」『土を育てる』の中で何度も紹介されていた言葉。変化を起こそうとか、そんな大それた気持ちはまったくないけれど、少しずつ種をまいてみようと思う。
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