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出産体験記-52時間53分の戦い その1

突然ですが、私は痛いのが大嫌いです。注射が嫌いすぎて学校勤務のくせにインフルエンザの予防接種しなかったり、健康診断の前日は採血のことを思って憂鬱になったり…。そんな私にとって、出産という未知の痛みは恐怖以外の何物でもありませんでした。せめてメンタルを作って臨もうとしても、古から伝えられている例えは「鼻からスイカ出すくらいの痛み」。出したことないよ!どんな痛みよ?!

そんな不安を抱えながら迎えた臨月。夫は赤ちゃんは予定日より早く生まれるものだ、という謎の認識を持っており、臨月に入ると毎日「まだ兆候ない?」を何回も聞いてきます。そのプレッシャーたるや。しかし、検診に行くたびに「まだ生まれませんね」的な診断を受けるので、赤ちゃんが早く生まれるジンクスみたいなものを片っ端から試すことに…。肉を食べるといい→うまい、スクワットをする→きつい、雑巾がけをする→きれい。そしてどれも効果なし。

出産の3日前の夜、いわゆる「おしるし」というのがきました。ということは生まれるのでは!と早合点して翌朝産院に行くも、赤ちゃんの位置的にはまだまだ、だそうで。早く出てこいとプレッシャーをかけられても、お腹の子はマイペースに私の腹を蹴飛ばすばかり。

なんの兆候もないままにその日も終わり、翌日の夜、ついになんかちょっと痛いかもしれない…という症状が出始め、日付の変わるころに産院へ。まだ赤ちゃんの出口が全然開いてないので、お産スタートとはいかないのですが、どうやらこの痛みは軽い陣痛らしいので、入院することに。ちなみにこの頃のお腹の痛みは生理痛みたいなもんでした。これがもっと強くなってくると本番らしいのですが、それより脚とか腰とかがやたら痛くなってきます。産院のパラマウントベッドがすごく硬く感じられ、寝てても痛くて既に辛い。たまに助産師さんが来てお腹と出口の様子をチェックするのですが特に変化もなく。そんなふうにして丸一日ずーっと地味に身体中が痛い状態が続くばかりで。同じような症状の人をネットで検索しまくって心を慰めながら、他の部屋から赤ちゃんの泣き声が聞こえるたびに、なんで私はこんな状態なのだろう…という気持ちが募り、徐々に色相が濁ってきます。ちなみに産院のご飯はやたら豪華なのですが、それを楽しむ心の余裕もございません。そしてこの頃から排泄が止まるという症状も出始めます。尿を取ってもらう経験を初めてしましたが、なんか人間らしさみたいなものを喪失した心地がしました。

入院から1日経過した朝のこと。私がモニター検査(陣痛のリズムをはかる検査ですね)を陣痛室でしていたとき、隣の分娩室では別の人がお産の真っ最中でした。励まされていきむ声が何度かしたのち、生まれた赤ちゃんの泣き声が響き渡ります。その声を聞いたとき、私の目からは涙が溢れ出しました。どうして他の人は産んでいるのに、私は未だにゆるゆるとした痛みを抱えてここに一人で転がされてるんだろう。どうして私の子は出てきてくれないんだろう。基本的にメンタル弱いのでもう完全にこの辺で闇落ちしてました。

そんな私の様子を察してか、その後、陣痛促進剤の投与をする旨を提案されました。薬を投与すれば今日中には産まれるのではないかという話を聞いた私はなんでもいいから早く産ませてくれ!と承諾。立ち合い出産の関係もあり、14時に投与開始することが決まります。

さて、薬を投与してから本当のお産がスタートするわけですが、書くのに疲れてきたのでここで一区切り。出産体験記のくせに痛みにメンタル折られて転がってただけの話だわこれ…。




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