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夜市/有賀 籐

弾けた風船をまたぐ
ふと軽くなる 予感が薫る

ここにはいられぬ どこか
彷徨うのなら 恥じらいを捨て

洗った水がながれだしたら
裏路地は灯 湿り気を嫌い 塩を撒くのか
疑えば 我が目がぼやけるから
どうにもなれず タイルの継ぎ目を伝って

戻り香は 絡まる蔦 息など忘れ 
降り捨てた後も回るタイヤ 
見上げたまたたきの 
折り忘れたつめを折る

渡った橋は人で溢れている
寝床について 手をつく曲げガラス
破裂して散らばる光の粒
どうにもなれず 流れ出す管 蓋が外れて
どこへ行こうか どこへでも
ならば行こうか どこへでも

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