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円グラフの落とし穴

はじめに

Excel(エクセル)などの数値データを分かりやすく表現するグラフは便利ですが、種類がたくさんあって迷ってしまいますよね。

グラフの特性を知らずに、なんとなく選んでしまってはいませんか?
そのグラフ、読み手に誤解を与えている可能性があることに気づいていますか?

グラフにはちゃんと特性があり、これを知っておくだけで、迷うことは少なくなるのです。
ここでは、代表的なグラフの特性と、誤った使用例を紹介します。

グラフの特性

早速ですが、代表的な「円グラフ」、「棒グラフ」、「折れ線グラフ」の3つのグラフの特性を紹介します。

1.円グラフ

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円グラフは全体を占める構成比を表現するときに使います。
面積の大きさで全体に対する割合を表現することが出来ます。

2.棒グラフ

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棒グラフはデータを比較するときに使います。
棒の高さで大小を表現することが出来ます。

3.折れ線グラフ

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折れ線グラフは、データのトレンドを見るときに使います。
ある期間のデータの増減を表現することが出来ます。

円グラフの落とし穴

これまで、グラフの特性をそれぞれ紹介してきました。
これらの特性を無視して誤ったグラフの使い方をした場合、どのような不具合があるのでしょうか?
円グラフを例に紹介します。

1.円グラフで比較した場合

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20代の社員は男性と女性どちらが多いでしょうか?
正解は男性です。

一見、男性50%、女性60%と女性の方が10%多いように思われます。
なぜ、男性が多いと言えるのでしょうか?

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実は母数が異なっていました。

男性は全体で100人、女性は全体で50人なので、そのうちの20代の人数は男性50人、女性30人となります。
このように、円グラフでは総量が分からないので比較することには向いていません。

では、上図のように割合ではなく具体的な数値(例では人数)の円グラフで比較してみてはどうでしょうか?
男性社員と女性社員の20代の人数を確認し、どちらが多いか判断しますね。
それでは本末転倒です。グラフは視覚的にデータを分かりやすく表現するものです。

そのため、この場合は無理に円グラフを使わなくて良いのです。

2.円グラフでトレンドを表現した場合

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日本で飼育されているペットのトレンドは犬ですか?猫ですか?2011年も2014年も犬が過半数を占めており、日本のトレンドのように思われます。

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実際は、市場規模が縮小しており飼育頭数は120万頭も減少していました。
そのため日本のトレンドであると言い切ることができません。
このように円グラフでは総量が分からないので、トレンドを見ることには向いていません。

円グラフ使用時の注意点

円グラフを例に、特性に沿って使わなかった場合の危険性を紹介してきました。
これさえ守っていれば大丈夫!と思っていませんか?
実は、特性を守ったうえで気にかけてほしい点が2つあります。

1.3Dの円グラフは誤って判断しやすい

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3Dの円グラフはBの面積が大きく見えますが、実際の割合を見て分かる通りAが一番大きいです。

これは遠近法により、手前にある項目の面積が大きく見えているのです。
3Dは誤解を与えやすいので、あまりおすすめできません。

2.項目が多い場合や数値に差が無い場合は見づらくなる

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これらのグラフは、一瞬でどの項目の割合がどれだけ大きいかを判断しづらいですよね。

このような場合は、棒グラフにすると各項目の大小を並べてみることが出来ます。

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また、円グラフと棒グラフでは視線導線が異なります。

円グラフは上から時計回りに視線が移動し、棒グラフは上から下、左から右に視線が移動しますが、後者の方が人間の自然な動きだと思います。

要は、円グラフは人が理解しづらい図であるということです。

ここまで、円グラフを使う時の注意点を述べてきました。
円グラフは使わない方がいいのではないか?と疑問に思われた方がいるかもしれませんが、一概には言えません。

ダッシュボード全体が棒グラフと折れ線グラフで構成されていたらいかがでしょうか?変化があまりなくて見づらいですよね。

ダッシュボード全体のバランスを考えると、円グラフを用いた方が良い場合もあります。
グラフ単体だけでなく、全体構成を考えて適切なグラフを選択するようにしてみてください。

まとめ

・グラフにはそれぞれ特性がある

・特性を無視してグラフを使うと、読み手に誤解を与える可能性がある

・グラフはデータを視覚的に訴えるものだが、円グラフは視覚効果が得にくい場合がある

・全体のバランスをみて円グラフを選択する必要がある


グラフの特性
 円グラフ
 全体を占める構成比を表現するときに使う。
 面積の大きさで全体に対する割合を表現することが出来る。

 棒グラフ
 データを比較するときに使う。
 棒の高さで大小を表現することが出来る。

 折れ線グラフ
 データのトレンドを見るときに使う。
 ある期間のデータの増減を表現することが出来る。

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