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試斬

不定期稽古録第二弾です。日本刀に接したことがない方にはちょっとわかりにくいかもしれないですが…、頑張って書いてみました。

今日は縁あって、大学の部活の先輩のお家にお邪魔しまして、試し斬りをさせていただきました。

思ったこと①:真剣...重い!けど、振りやすい!!

私は普段模擬刀を使って稽古をしています。何気に真剣を振ったのは初めてだったのですが、重い....。模擬刀は刃引きがしてあって物は切れませんが,真剣はガチで切れます。しかも刀身の金属の密度が大きくて、同じ長さのものでも真剣の方が重いし、重心位置を把握しやすいです。

日本刀は(、ていうか物は)、重心位置を利用して振ったり動かしたりしますが、真剣の方が模擬刀より重いのに、真剣の方が振りやすかったです。たぶん重心位置が把握しやすいからでしょうね。自然に体が刀の重心位置を感じ取ってくれる感覚でした。
振りやすいとは人伝てに聞いていましたが、改めて実体験するとまた全然違うもの。

思ったこと②:普段の稽古の課題がモロに出る

普段は型を通して刀の扱いを稽古しています。なので実際に物を斬ることはありません。ですが,普段の稽古の際の切りおろしの課題がモロに出るもんだなぁ、と。

たとえば、

・体と刀の重心移動を利用できているか
・刀を構えた位置からの初動をうまくできているか
・刃筋を通せているか
・刀の落下にブレーキをかけていないか(切りきれているか)

などなど.....
やっぱ、型を通しての稽古の際にできていないことは、実際物を切る際にも課題になるんだなぁ、と。これは個人的には結構大きな発見でした。

実際に物を切らずに、決められた手順の動きを稽古するだけで、実戦(、現代において何が「実戦」と言えるのか、いう必要があるのかはさておき、)において「そんなん使いもんになるんかぁ?」「そんな稽古しても意味ないんじゃないか?」と、思われる方もいると思います。型で稽古するという世界に接したことのない方にとってはむしろそっちが普通の反応かもしれません。

今回の試斬の経験を通して、自分の中で実感を持って,型稽古には意味があると思えました。型稽古を通してできてることがあればそれは物を斬る技術に繋がっているし、型稽古でできていないことがあれば物を斬る際にもそれが足枷になりました。やっぱ改めて,「型って偉大だなぁ」って思いました。

思ったこと③:間合いの大事さ

日本刀は「物打ち」という部分で斬るようになっています。対象物に刃が接する部分を「物打ち」にする必要があるということです。これが案外できてねぇなぁ,と再確認。

日本刀を見たことがない人にこれを説明するのはちょっと難しいのですが、「物打ち」の場所としてはこんな感じ↓

全日本剣道連盟居合(解説)より(一部追記)

よく「日本刀は引き斬り」とか言われますが、すんごい大雑把に言いますと、物打ちを対象物に当てるまでは普通に腕を前に出して、当たった瞬間から自然に腕を下ろすと,結果的に刀身が身側に戻ってきます。対象物に刀身が当たって以降はそのベクトルに刀が落ちていくのに任せる,みたいな感じですかね。個人的な理解の仕方としては「引き斬り」というよりかは「結果的に引き斬り」です。

頭ではわかっていても、対象物がないとこれが意外と難しい。なぜならみんな刃先に意識がいくから。刃先の動きばかりを気にして刀振っちゃうんですよね。それは仮想敵との距離が遠くなることにつながります。そうなっちゃうと、刀にうまく力を伝えにくくなっちゃったりもします。

今回試し斬りして思ったのは、物打ちが対象物が当たってから結構「戻ってくる」ということです。なので対象物にかなり近づかないと、刃が対象物の中に入り込んじゃって途中で刃が止まったりします。

つーことは、普段の型稽古においても、自分と仮想敵との間合いはかなり近いということ。体感、今の私自身の仮想敵との間合いから人間一人分は近いですね。まだまだ間合いが遠かったなぁ,と反省しました。ていうか日本刀ってめっちゃ接近戦で使う武器なんだなぁ、と。普通に相手と膝突き合わせるくらいの距離だと思うので、めっちゃ怖いですよね。昔の人はこんな近距離で命のやり取りをしていたのか....。


そんなこんなで、一日がかりのイベントでしたが、得るものが大変多い有意義な日でした。「また来ていいよ〜」と言っていただけたので(ありがとうございます!)、機会を探してお邪魔しようかと思います。とりあえず真剣の感覚が手の中に残っているうちに稽古したいですね。

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