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数年後に廃止が決まっている、未来のない路線に乗ってきた

正月に中京地方に旅行に行ってきましたが、ズバリ「名鉄蒲郡線に乗る」ことを果たせました。多分、もう乗らないとは思いますが。

観光路線から、箸にも棒にもかからない路線に

名鉄蒲郡線は、西尾温泉など観光地があり、かつては名鉄名古屋から直通の特急が走っているなど栄えている路線でした。それは、当時は競合相手の東海道線が、毎時2本のみの運行(貨物列車の運行が多かったなど、仕方がない一面もあった)で不便だったから、というのもあるでしょう。

しかし、モータリゼーションやJR以降のダイヤ改正により、立場は完全に逆転。


ここから名古屋に行こうという人は、まずいない


東海道線は新快速を追加、車両も新しくなり速達化。新快速・快速が毎時4本となり、圧倒的に豊橋〜名古屋〜岐阜の移動が便利になり、わざわざ時間がかかる蒲郡線を使う人はどんどん減っていくのでありました。蒲郡競艇場にも、JRの駅が出来ましたし、蒲郡線沿線に住んでいる人もJRに乗る、という状況では、利用者が減るのは時間の問題だったのでしょう。直通の特急も廃止され、今では蒲郡〜吉良吉田を往復するだけの路線になりました。

立派な造りの東海道線と比べると、あまりにも…


2026年の初頭までは、沿線の自治体がお金を出しあってなんとか存続が決まっていますが、流行病のせいで鉄道の利用者は減りましたし、どこも自治体は財源に苦労していますし、最悪廃止が早まる可能性も無いわけではない…と思います。

蒲郡線の望めないところ1:線形が悪いため、速達化が望めない


全線単線で、複線で駅施設も立派な東海道線に比べると、明らかに太刀打ちできません。

もはや、竹槍と爆弾くらいの差です。複線化の用地を残している箇所もあったことから、一時期は複線にしようという形跡は見られたのですが、それらはもはや自然に帰りつつあります。

蒲郡線の望めないところ2:周囲の発展性を期待できそうにもない


実は、そこそこ蒲郡から乗ってきてはいました。が、ほぼ全員西浦駅で降りていきました。

このあとそこそこ人は乗ってきますが、ほぼ全員西浦駅で降りました

そう、全線を乗り通して、さらに西尾線も乗って最終的に名古屋まで行った方はほとんどいなかったのです。

実際に、乗り換えアプリで確認したのですが、豊橋〜知立は特急を使えば31分で着きます。一方で、東海道線・蒲郡線・西尾線を使うと、なんと1時間31分。料金も500円高いです。これで、名古屋方面に行くのは、どうかしている鉄道ファンかよほどの物好きしかいないでしょう。

その切符を買ったやつ

沿線周辺を見回してみても、どの家にも車があります。そして、車で移動している人にとっては踏切は邪魔なだけでしょう。いくら、乗って残そう、と周辺自治体に言われたところで、実際に乗るのか?

そして、何か施設が周囲にできたり新たな住居ができる、ということものぞみは薄いです。というのも、蒲郡線周辺の人口は減少傾向にあるそうですから…

蒲郡線の望めないところ3:実は、西尾線末端部分(西尾~吉良吉田)もヤバい


蒲郡線は、西尾線とつながっています。かつては、巨大なカーブがあり、そこから直通していたのですが、もちろん直通運転が廃止となった今では使われていません。そして、実は西尾線の末端部分である、西尾〜吉良吉田も廃止の可能性があるそうなのです。

かつては、三河線も通っていたが、2004年に廃止


西尾線末端部分は、急行だけが毎時2本(各駅停車)と、本数だけでいえば蒲郡線とどっこいどっこいの状態です。車両だけは新しいのですが、周囲に何もなく、2006年には途中の駅が「利用者が少ない」ということで廃止されています。だから、やたらと駅間の距離が長く感じたんですね。

びっくりしたのは、西尾駅が近づくと、いきなり近代的な建物が多く見られるようになったからです。それくらい、西尾〜吉良吉田間には人の形跡が見られなかった。なので、今後は本当にヤバいかもしれないのです。

おわりに


いくら手を打ったところで今までうまくいかなかったのだから、どんどん不便になる一方ですし、それでさらに不便になり利用者が減るというまさに魔のスパイラル。じゃあ、バス転換すればいいのか、といったところで、かつて国鉄でもバスに転換されたエリアは、利用者減少によってバスも廃止されているエリアもあります。

バス会社自体も、常に従業員を募集しているという先細りしかない状態ですし、結局どこをどう取ったところで手詰まりは否めないのではないか…と思います。

そもそも、ICカードに対応させる気がまったく無い(蒲郡駅で切符を買い、有人の改札でチェックをしてもらったあとに、吉良吉田駅の自動改札を通るというスタイルだった)路線を、わざわざ残そうという気が無いんですね。いろいろな意味で、悲しくなってきてしまいましたが、ここだけではなく、むしろ鉄道だけではなく、もっと今後は多方面でも頻発化していくことなのでしょう。(おしまい)

この姿が見られるのも、あと数年かもしれない…

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