Narrative Based Medication

産前に何冊か、妊娠と出産に関する本を読んだのだけれど、その中の一冊が、産婦人科医の池川明さんの「胎内記憶」。最近、映画「かみさまとのやくそく」などが話題になったり、NHKの朝ドラのストーリーに盛り込まれていたりと、認知度が高まっているように思う。(もちろん、ある程度は妊婦の色眼鏡かと)

その中で印象的だったのは、池川先生が「胎内記憶が実在するかどうかを『科学的に』証明することが重要だと思っているのではなく、『赤ちゃんはお腹の中にいるときから、見聞きし感じ、それを覚えている』と意識すると、妊婦さんの精神状態に明らかにポジティブな変化がある。それが重要なのだと考えている。」と述べているところだった。妊婦の精神状態が良いのに越したことはない。よく言われるように「妊婦は病気ではない」から、Medicineではないかもしれないけれど…これもNarrative Based Medication(NBM)の一つだなぁと感じた。NBMが、「その病気と自分についての新しい物語を紡ぐことで、治癒に向かうことである」とすれば、妊娠におけるNBMは「胎児と自分についての新しい物語を紡ぐことで、よりよい出産に向かうことである」のではないか。

自分とともにあるが、言葉を発しないもの…それは自分が罹った病気であり、自分に宿った命である…との物語・関係をどう紡ぐか。どう紡ぎ始めるか。そこに、物語は存在するのだ(できるのだ)と、伝える人がいてこそだと思う。

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