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いよいよ『エリアマネジメント・ケースメソッド』が出版されます!

 エリアマネジメントとは、地域の価値を維持・向上させ、また新たな地域価値を創造するための、市民・事業者・地権者等による絆をもとに行う主体的な取組とその組織、官民連携の仕組みづくりです。
近年、行政だけでなく民間企業や市民が一緒になって、公園、河川敷、まちなかの広場や道路を活用している姿をよく見かけるようになりましたよね。

(写真1)大丸有で実施される路上運動会(2019.5)

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(写真2 愛知県豊田市駅前にあるとよしば)

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 カフェ、マルシェ、屋外ワーキングなどの活用が見られますが、ここには、これまでの都市計画にないイノベーティブな発想が求められます。
こうした取り組みのパートナーとして期待が高まっているのが、エリアマネジメント団体なのです!
こうした取り組みを進める上で一番大事なのは、前例に囚われない取り組みを推進する人材とそれを支える地域の体制づくりです。
最近、不動産、鉄道分野の企業では、採用面接でエリアマネジメントの分野で動いてみたいという学生が増えていると聞きます。
また、まちなかでも既存の地縁団体や商業団体だけでなく、様々な関心を寄せる個人が関わっている様子が見られます。
そんな人たちのエンパワーメントになるような教材ができないか、それが本書の出発点でした。

 都市計画がマネジメント思考になっていることの指摘は長くなされてきましたが、そのマネジメントをどう教育・研修するかについては、まだ発展途上です。
少なくとも、これまでの都市計画の法制度を学べばマネジメントができるようになることはないでしょう。
エリアマネジメントは、建築・都市計画だけでなく、経済開発、社会関係の構築等、分野横断的な知識・経験が求められることが多く、何より自ら考えて動く力が求められます。
本研究会で行ってきた調査によれば、何より大事なのは、地域を愛し、他人とのコミュニケーションを図り、問題に対して自ら考え、動くことのできる人材だということも見えてきました。

 自ら考え、動くことのできる人材を育てるには、どのように行ったらいいか。
そこで参考にしたのが、経営学大学院(MBA)の授業で行われるケースメソッドでした。
経営学大学院では、しばしば、実際に起きたビジネス・ケースを題材にしながら、テキストや授業を通じてそれを追体験し、自分だったらどう考えるか、どう動くかを議論します。
本書は、こうしたスタイルこそエリアマネジメントに求められるのではないかという考えのもとで構成しています。
それぞれのケースにおいて、どのような問題に直面し、どのように対応したかをまとめると共に、自分だったらどう対応するかを検討できるようにディスカッションの論点を提示しています。
読者はこの論点について、後半の総括議論を参照しながら、主体的に考え、仲間と大いに議論してほしいと思います。
自学に使うだけでなく、研究会、授業や研修等でも活用いただければ嬉しいです!

 初のエリアマネジメント・ケースブックです。
これを通じてこれからのエリアマネジメントを牽引する人材が輩出されることを、研究会メンバー全員で願ってやみません。

(文章:保井美樹)

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