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Postscript 〜あとがき〜

2001年の9月、私はこれまで見た事もない光景を、テレビ画面の中に見ました。

それは、世界貿易センターへ突っ込む飛行機。昔の映像ではなく、今、進行形で起こっている映像でした。

この「高校生ぐまの留学日記」の原型は、1998年に、実家のある地元市を中心に無料で配布されていた、フリーペーパーの中に掲載されていたものです。

留学中に書いていた日記を元に、軽い気持ちでイラストを添えてフリーペーパーの編集部へ送ると採用され、約1年間にわたり連載させて頂きました。

飛行機がビルに突っ込む恐ろしい映像を見た後、私はいてもたってもいられなくなり、そしてこの時まとめた簡単な留学日記に、新たな絵と文章を添えて編集し、冊子としてまとめました。

それをまた再編集したものが、今回このnoteで綴ってきた、「(新)高校生ぐまの留学日記」です。

連載した時が、30歳。
冊子にまとめた時が、33歳。
このnoteに再編集したのが、54歳。

綴り始めた時から計算すると、実に24年越し。18歳で体験した1年間を、ここまで引っ張れるとは、コスパ良すぎ♡

自分でまとめた冊子を、開くことはもうないだろうと思っていたのを、今一度紐解いて、今の気持ちも添えたくなったのは、それは、今年2月に始まった、ロシアとウクライナの戦争の様子を、2001年にテレビで見た、ニューヨーク同時多発テロよりも強烈に、テレビやタブレット、そしてスマホで見る羽目になったから。

「裸足のゲン」の映画を観て、眠れなくなった小学2年生だった私にとって、ゴルビー(ゴルバチョフ元書記長)のペレストロイカは、希望の光でした。

アメリカのハイスクールに通っていた頃は、まだドイツは東西に分かれていたので、ドイツ人と言えば、西ドイツを指していたし、ドイツ人留学生の出身国は、「西ドイツ」でした。

それが、大学生になる頃、ベルリンの壁が崩壊し、ソ連邦も解体し、もう少しで天安門事件は成功し、あぁ、世界はこれからどんどん平和へ向かっていくのだ!2年生の時に眠れなくなった私に言ってあげたい、「未来は明るいよ」と。そんな風に思っていました。

だから、2001年のニューヨーク同時多発テロには、またあの暗い「裸足のゲン」の世界へ引き戻されるのではないかと恐怖感を覚え、2022年に始まったロシアの攻撃(本当はそれ以前にクリミアに侵攻していたのだけど)は、暗い予感をまた暗くさせるものでした。

戦争反対!
人類皆、友達!
話し合えばわかる!

ロシアとウクライナが戦争に突入した直後、ポエムを唱えている場合じゃない。専門家と言われる人が、これらの標語を口にした大学生へ向かって、テレビの中で揶揄しました。

え。ポエムの何が悪いの?専門家なら、どうしてこの戦争を予測して、人々に警鐘を鳴らさなかったの?それは、ポエムの力を信じていないからじゃないの?

ポエム(と、専門家が表現する)を口にした若者こそが正しいのではないのか?いつでも若者の感覚と言葉は、純粋で適正だ。

私はそんな風に感じて、20年ぶりに「私のポエム」を紐解こうと思ったのでした。

こんなものを書いても、何もならない。書きながら虚しくなる事もあるけれど、でも、書かずにいられない。そんな気持ちから、「戦争反対」の気持ちを込めて、この日記を再編集しました。

自分とは違う意見の人、違う価値観の人、違う思想を持つ人がいる。でも共通点は、同じ「地球に住ませてもらっている住民」だ。

地球が痛いと言っている。
もう掘ったりかき混ぜたり、
焼いたり、
変なものを埋めたり、飛ばしたり、しないで欲しい。

どの国に生まれた人も、自分の国は大切で、更に言えば国は違えど同じ地球人であるとも気づかせてくれた高校留学と、それを精神的に支えてくれた、ホストファミリーや多くのボランティアの人々と、両親には感謝してもしきれない思いです。


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