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ヴィンテージ フレラコの世界 / 70年代から90年代のラコステ L1212をレビュー

ラコステのポロシャツは、基本的には、肌に直接着るものだけに、リーバイス以上に、ひとつひとつの個体と向き合わざるを得ないことがあります。

フレラコと呼ばれるフランス製ラコステのポロシャツの中でも、ヴィンテージ フレラコL1212は、主にサイズなど、個体差が大きいため、入手前によくチェックすることが必要となっています。

この記事では、ヴィンテージ フレラコの年代別のタグの見方を紹介し、後半部分で、現在所有している70年代から90年代のヴィンテージ フレラコ L1212の各個体の寸法や特徴をとりまとめてみました。


フレラコのポロシャツはヴィンテージなのか

フレラコ(フランス製ラコステ)は、製造年ごとの癖や、古い工場で、ひとりがハンドメイドでつくっているので、ひとつひとつに、その人の好みが出ていて楽しいところがあります。

確かに、ラコステには、トップスのリーバイス501とも言えるL1212という型番はありますが、製作者の個性が型番を越えてしまうような時があるので、個人的には、ラコステの古着は個体ごとの世界と考えています。

リーバイスやチャンピオンやM-65とは少し違いますが、デニムやミリタリーにも合わせられる不思議さがあるので、普遍的なデザインと考えていいかと思います。

フランス製ラコステはヴィンテージなのかという疑問に対しては、古い年代のフレラコについては、経年変化によって味が出るヴィンテージ的特質を備えているため、ヴィンテージとして考えてもよいのではないかと考えています。

個人的には、70年代から80年代のボックスシルエットのフレラコをヴィンテージと考えていましたが、90年代の白ボディも、襟のよれ方とスリムなシルエットのバランスが面白いので、2023年時点では、準ヴィンテージとして考えています。

エイジングの他にも、70年代から80年代の着古されて生地がペラペラになった個体は、風通しもよく、乾きやすいため、日本の真夏に最適で、個人的には珍重しています。

90年代以降や復刻、現行品は、生地の品質がよいため、それほどペラペラにならないのではないかと考えています。

フランス製ラコステの年代別 タグの見方

フランス製ラコステの分類と年代別 タグの見方です。

モデル名はL1212ですが、時代によって、型番名が違っていることもあり、2つボタンのモデルで、タグを見ていくのが、確実だと思います。

年代は、おおまかに分けると、フラレコには、次の5種類があると考えています。

  • 70年代のヴィンテージ(縮む生地)

  • 80年のヴィンテージ・オールド(縮む生地・縮まない生地)

  • 90年代のオールド・レギュラー(縮まない生地)

  • 復刻

  • フランス流通モデル(現行品)

80年代後半以降の縮まない生地も、綿100%なので、洗い後、多少縮む場合がありますが、70年代~80年代前半の生地のように、ワンサイズ近く縮むことはないと思います。

以下、ヴィンテージ(縮む生地)のフレラコです。

70年代初期頃 下赤文字

70年代初期頃のタグは、タグ下に赤文字でMADE IN FRANCEの表記が入ります。

70年代中期頃 Rマークなし

70年代中期頃のタグは、MADE IN FRANCEの表記がタグ上に移動し、緑文字となります。
まだ、この時期は、タグにRマークはついていません。

70年代後期頃 赤Rマーク

70年代後期頃のタグは、70年代中期頃のタグに赤いRマークが入ります。
この時代ぐらいまでは、経年変化で味の出ている個体が多いです。

以下、ヴィンテージ~オールド(縮む生地・縮まない生地)のフレラコです。

80年代初期頃 黒Rマーク、サイズ表記

80年代初期頃のタグは、70年代後期頃のタグの赤Rマークが、黒Rマークになります。

色目や生地が80年代テイストのオールドになっていきます。タグ上のMADE IN FRANCEの表記の横にサイズ表記が入ります。

サイズ3で日本サイズのMという感じですが、大き目に着ることを好む方が多いということもあり、サイズ4以上の人気もあります。

80年代中期頃  赤Rマーク、サイズ表記

80年代中期頃のタグは、80年代初期頃タグの黒Rマークが、赤Rマークとなります。

以下、オールド~レギュラー(縮まない生地)のフレラコです。

80年代後期〜90年代前期頃 2枚タグ

80年代後期〜90年代前期頃のタグは、2枚タグとなります。
この時代になると、それまでの時代とは、だいぶ質感が変わってきます。

90年代の2枚タグは、ちょうちん袖でない個体の出現率が高いことがあり、それほど評価していませんでしたが、襟がかなりねじれる個体があり、白については、評価を上げています。(実際は、ラッパ袖の方が着やすいということはあります。)

白や紺でエイジングしたものについては、生地が厚い個体があるため、見極めが難しい傾向があります。

フランス製 復刻

このタグは、2014年頃に、80年代のイメージでトロワ工場で復刻もののタグです。

デザイン的には、Rマークがないだけで、80年代タグと同じになりますが、ワニの刺繍などが明らかにオリジナルとは違います。

品番はL1212Lで、着やすいので、ユーズドが安く売っていれば、持っていてもよいモデルになります。

その他に、フランス製の復刻はL1212Lの他にもL1212Fがあります。

フランス流通モデル(現行品)

現行品のタグです。(他のデザインもあります。)
デザインがフランスで身幅が広くさらっとして着やすいです。

フランス製ではありませんが、フランスデザイン(フランス企画)ということで、フレラコとして認知されることもあります。

フレラコの選び方 ポイント

フレラコについての一般的事項と、選択時のポイントです。

一般的事項

  • ボロいヴィンテージはジーンズとの相性がいい

  • コンディションのいいオールド以降は軍パンとの相性がいい

  • サイズ的には縮む生地は縮まない生地プラスサイズ+1

  • 90年代でも乾燥機で縮んでいる場合がある

  • ユーズド相場:1000円~7000円程度(2022年時点)

  • フランス流通モデルは色がたくさんある

  • ヴィンテージの個体は年々減少

※2023年時点では、70s~90sのフレラコの価格は、やや上昇中
※2023年時点でも、エイジングした70sや80sを欲しがる人は少なめ
※2024年時点では、白、紺、黒の個体が少なくなり、良い状態は、1万円以上のプライス(エイジングした個体は減少)

選択時のポイント

  • 縮む生地か縮まない生地か

  • ボックスシルエットかスリムフィットか

  • ちょうちん袖かラッパ袖か

  • リサイズされていないか

フレラコ ヴィンテージのエイジング・経年変化

ヴィンテージのフレラコを着ていて、復刻や日本製と違うのは、エイジング・経年変化で出てくる生地のねじれ、歪み、縮み、型崩れ、やれ感です。

一般的に、そうしたエイジングやねじれは、服にとってマイナスのポイントですが、リーバイス501のヴィンテージやジャングルファティーグパンツにあわせる場合は、それがプラスに働きます。

極端なことを言うと、90年代のフレラコでも、着ていて、下品なほと襟がよじれる特徴があり、ヨーロッパ古着でありながら、アメリカ古着にミックスすることができます。

生地の縮み方も個体ごとに違うので、個体ごとに味があります。

復刻や日本製は、逆に、型崩れなく、着ていて、襟が下品にねじれることはないため、上品なイメージになります。

そのため、ホテルや高級なお店などは、復刻や日本製の方がTPO的にはあいます。

また、M-65パンツの場合は、ナイロンが入っているため、エイジングよりもシルエットにプライオリティがあるため、個人的には、コンディションのよいヴィンテージか復刻や日本製をあわせています。一般的に、ミリタリー系のパンツは、トップスをきれいめにした方が感じはよいと思います。

以降は、ヴィンテージ フレラコの個体ごとのレビュー(主な寸法と特徴)です。

フレラコ 白ボディ

まず、白のフレラコです。ラコステのポロシャツは、白が基本となります。
というのも、ラコステが当初、商品を売り出した時、数年程、白しかなかったということです。それは当時のテニスの試合では、白を着ることが慣例となっていたためでした。

そうした事実の他にも、白は人気色なので、相場も高めになります。
個人的には、紺、黒、白を集めていました。他のカラーも買ってみましたが、結局、似合わないことが分かったので、紺、黒、白になりました。

肌があまり焼けていないので、白は、それほど似合わないということがありますが、着ていて白はいいなと思うことが多々あります。
ただ、70年代の白の個体には、生地がやや変色したものがあることが留意点です。

薄いカラーや青や緑など、他のカラーが似合う場合は、似合うカラーを集めるのがよいと思います。

白ボディの個体は、サイズ3が5着、サイズ4が2着あります。

70年代後期 サイズ3

  • サイズ:3

  • 身幅:50.5㎝

  • 着丈:62.5㎝

  • 肩幅:43.8㎝

  • 生地:強いザラ感

70年代らしいザラ感の強い生地です。生地はやや変色しているため、純白という感じではなくなっています。

この生地の薄さのサイズ3は、着るとピタピタになって透けるため、上に何か羽織るか、ワンサイズ上げた方が無難です。

袖のアップです。

  • 袖長(外側):19.2㎝

  • 袖巾(先端):14.1㎝

タグです。

タグもかなりエイジングしています。

タグをめくった状態です。

70年代のタグは、サイズ表記がないため、タグをめくるとサイズのタグがあります。完全に取れている個体もあります。

鹿の子の格子がはっきりと分かります。かなり繊維の長いコットンを使っています。
この個体は、小穴もなく、この薄さまで着ているため、ほぼ、限界レベルではないかと思います。

80年代前期 サイズ3

  • サイズ:3

  • 身幅:53.5㎝

  • 着丈:65.5㎝

  • 肩幅:47.5㎝

  • 生地:ややソフトなザラ感

70年代に近いシルエットですが、シェイプが弱まり、ボックス型となっています。
縮みきっていませんが、身幅が現行モデルのサイズ4以上あります。

タグと生地のアップです。

鹿の子模様もはっきりと出ています。

袖のアップです。

  • 袖長(外側):23.3㎝

  • 袖巾(先端):16.5㎝

袖長が23㎝もあります。袖巾が16㎝以上あるため、ちょうちん感は少なくなります。

80年代中期 サイズ3

  • サイズ:3

  • 身幅:49.5㎝

  • 着丈:61.5㎝

  • 肩幅:42.5㎝

  • 生地:ややソフトなザラ感

80年代中期から、シルエットがスリムになりはじめ、80年代後期から着丈が長くなります。
80年代後期から90年代前期のシルエットに、身幅がアップすると、現行モデルのシルエットになります。

タグと生地のアップです。

80年代前期と比べると、鹿の子模様に毛羽立ちが見られます。

袖のアップです。

  • 袖長(外側):19.3㎝

  • 袖巾(先端):16.5㎝

通常より袖巾が太いため、特徴あるシルエットの個体です。

80年代後期 サイズ3

  • サイズ:3

  • 身幅:49㎝

  • 着丈:68㎝

  • 肩幅:43.5㎝

  • 生地:ソフト

2枚タグでも、80年代と見た目が変わらない個体は、暫定的に80年代後期としています。かたちはよいのですが、着てみると、生地がソフトでふにゃっとしています。
製法よりも、使われる綿自体の性質が変わったと思われます。

袖のアップです。

  • 袖長(外側):20.8㎝

  • 袖巾(先端):13.8㎝

通常のいわゆるちょうちん袖になっています。

タグと生地のアップです。

この時代でも、鹿の子模様に立体感がある個体がありますが、シャリ感やザラ感は弱まっています。

90年代前期 サイズ3

  • サイズ:3

  • 身幅:50㎝

  • 着丈:72㎝

  • 肩幅:42.5㎝

  • 生地:ソフトなザラ感

前のモデルと、サイズもタグも一緒ですが、メーカーとして、ふにゃ感からの反省か、生地が少し厚いです。
襟の素材も厚い感じで、着ていると、下品なほどねじれて、いい感じになります。

パターンも変わって、サイズ3で着丈が70㎝以上あります。
また、イレギュラーですが、袖のディテールが違う個体が時々あります。

袖のアップです。

  • 袖長(外側):20.7㎝

  • 袖巾(先端):15㎝

通常は、袖リブが生地より面落ちして、ちょうちん袖となりますが、この個体では、生地と袖リブが面一となり、開いたようなかたちになっています。

個人的には、これをラッパ袖と呼んでいます。

ちょうちん袖が、L1212のトレードマークのひとつとなっていますが、着てみると、意外と着やすかったりします。

タグと生地のアップです。

70年代とは、鹿の子の模様のパターンんが少し変化して、立体感が少なくなっています。

80年代初期 サイズ4(1)

  • サイズ:4

  • 身幅:52.5㎝

  • 着丈:69.5㎝

  • 生地:シャリ感ある薄め、やや変色

サイズ4の白です。
生地が薄くなっているので、真夏に着ていると、最高に気持ちいいです。

タグです。

タグのエイジングから、かなり着られた個体であることが分かります。生地が見るからに、薄く、風通しもよいです。

こちらも鹿の子の格子がはっきりと出ています。強くてしなやかな極上のコットンでないと、こうはなりません。
鹿の子模様の光沢と美しさから、今のところ、70年から80年代初期が、ヴィンテージ・フレラコのピーク期と考えています。

80年代初期 サイズ4(2)

  • サイズ:4

  • 身幅:52.5㎝

  • 着丈:63.5㎝

  • 生地:白生地のイメージをキープ

前の個体と同タグ、同サイズですが、着丈が短めため、身長に関わらず着やすい個体です。

タグです。

前の個体と比べても、それほど着られていないことが分かります。
生地も多少、厚みを残していますが、80年代前期なので、鹿の子模様もしっかり出ています。

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