謎が解けても真相は見えない?━━『冷たい密室と博士たち』
『冷たい密室と博士たち』(1999、講談社)は、森博嗣の小説『すべてがFになる』(1997)の続編となるシリーズ第二作。前作同様に大学建築学科助教授の犀川創平とその学生、西之園萌絵を主人公としたミステリー小説である。
©️講談社文庫
今回の事件は大学で起こる。
犀川の同僚で土木学科助教授の喜多(きた)に誘われ、低温度実験室の見学のため土木学科棟、通称“極地研”を訪れていた犀川と萌絵。繊細で難しい操作を伴う実験であったが、極地研の学生:丹羽健二郎と服部珠子の活躍により、無