A∩C:デジタルで建設をDXする[073]

 五洋建設は、応用技術、ソフトバンクと協働してBIMモデル上へ建設重機の位置をリアルタイムで投影、表示する技術を確立し、「五洋建設統合施工管理システム」PiCOM (ピーコムス)※へと実装、大型物流施設建設現場へ適用する実証実験を行い、生産性の向上に貢献することを検証した。

建設重機のリアルタイムでの位置と工事進捗状況を組合せてBIMモデル上へ表示・可視化

 建設重機を使用する土工事や杭工事での施工管理では、従来、重機の稼働状況を現場巡回して人力で把握し、配置図へ記入する方法が一般的で、広大な敷地で多くの建設重機が稼働する大型工事現場では多大な手間と時間を要していた。
 今般、PiCOMSに実装した技術では、重機位置を高精度位置測位(RTK測位)で特定し、収集したデータを収納する位置情報サーバーとPiCOMSサーバーを連携させることによって、建設重機のリアルタイムでの位置と工事進捗状況を組合せてBIMモデル上への表示・可視化を行う。加えて重機の稼働時間も算出し、工事期間中の重機の位置情報と稼働時間情報の収集も可能としている。このようにして見える化された情報は、現場事務所や休憩所の大型モニターや各種タブレットなどの多様なデバイスに表示することができる。

大型物流施設建設現場での重機が稼働する杭工事における検証では負担を1/5程度に軽減

 最大20台の重機が稼働する建設現場での杭工事における検証では、関係者間の情報共有のための作業の自動化と現場のリアルな情報に基づいた打合せを実現することで現場負担を1/5程度に軽減できることを確認している。
 今後は、データを蓄積・分析することで重機の配置計画や稼働状況を考慮した効果的な施工計画の立案と、より一層の生産性向上を目指して各現場へ積極的に展開していく。合わせて重機の実稼働時間からCO2排出量を自動算定し、現場でのCO2排出量の見える化にも取り組んでいく。

既にプレキャスト工事版「PiCOMS-PCa」と鉄骨工事版「PiCOMS-PCa」をPiCOMSへ実装済み

 「五洋建設統合施工管理システム(ピーコムス)」PiCOMSの運用に関しては、2019年にはプレキャスト工事版「PiCOMS-PCa」の現場展開を行い、2020年には鉄骨工事版「PiCOMS-S」の現場運用を開始している。
 プレキャスト工事版「PiCOMS-PCa」は、超高層建物でのプレキャスト工事の進捗状況を見える化、製造・取り付けの情報を関係者間でリアルタイムで共有することによって管理業務量を従来の約半分程度に減らし、業務効率を大幅に改善している。
 鉄骨工事版「PiCOMS-S」は、鉄骨製作の進捗を部材単位でBIMモデルとして表現し、進捗状況を見える化、関係者間で共有することで効果的・効率的な工事管理が可能となり、生産性を向上させることができる。
 共にタブレット他からBIMの3次元モデルの部材を選択して取り付け計画や実績を入力することができるなどBIM操作の習熟や専用の機器を不要とし、簡便に操作できるシステムとなっている。
※PiCOMS:Penta-Ocean Integrated Construction Management System: BIMモデルを活用して建築工事を統括管理するシステムで、建築工事管理の生産性向上と働き方改革を目的として開発された。工事の進捗の見える化によって品質や安全管理に関する状況、作業員の配置状況などの情報を一元化、工事関係者間でリアルタイムに共有できる。

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