A∩C:デジタルで建設をDXする[090]

 ACES(文京区)※とJEFエンジニアリング(千代田区)は、共同開発していた自動配筋検査AIシステムのアプリケーション開発及び検証が完了したと公表、現場での実用化に向けて22年11月に国土交通省の東関道武田川橋上部工事での試行を実施した。

自動配筋検査AIシステムの開発をJFEEと共同で行い東関道武田川橋での試行を実施

 ACESでは、多くの⼈員を要する配筋検査における鉄筋径、鉄筋本数、鉄筋間隔、継手長の計測を画像認識技術によって⾃動化するアルゴリズムを開発してきた。今般、それらのアルゴリズムを応用し、現場での実用を目指して自動配筋検査AIシステムの開発をJFEEと共同で行い、東関道武田川橋での試行を実施した。
 具体的には、ドローンと単眼カメラを⽤いて真上から画像を取得、画像認識アルゴリズムを⽤いて鉄筋を認識させ、その後、認識された鉄筋の間隔と本数を測定して帳簿を自動で出力するシステムを設計した。

AIを始めとするデジタル技術とドローン技術を活用した自動配筋検査システムの開発実施

 従来、工事の目的物の完成した部分、工事施工が完了した部分の出来形検査においては、検査作業者に加えて立会人を必要とすると共に、煩雑な撮影作業、帳票の手入力による労力を要し、更には各種データがアナログ管理されているためデータの有効活用や参照が困難であるなど現場への負担が過大となっていた。
 加えて従来方法では、サンプリングした一部区間でのみの検査を実施しており、その他の区間ではより効率的、面的な検査が要求されるなど、検査の品質と効率面に改善余地があったため、出来型検査の自動・省力化と高度化を目的として、橋梁上部工を対象にAIを始めとするデジタル技術とドローン技術を活用した自動配筋検査システムの開発を実施した。

デジタル技術を活用して自動・省力化+検査範囲を橋梁全域に拡張し検査の信頼性高度化

 自動配筋検査AIシステムの採用によって自動・省力化を推進、現場への高い負担を低減し、作業効率化を実現する。検査範囲を橋梁全域にまで拡張することで検査の信頼性の高度化を実現すると同時に、デジタル化によるデータの利活用を促進する。
 自動・省力化においては、ウェアラブルカメラやネットワークカメラなどのデジタル技術を活用し、直接現場に出向かなくとも離れた場所からオンラインで遠隔臨場を行うことで現場作業人数の削減を実現し、ドローンの自動航行とAIによる自動帳票作成によって人的な作業を効率化している。
 検査の信頼性の高度化においては、検査範囲を橋梁全域にまで拡張することで実現している。最も重要なのは、データのデジタル化による利活用範囲の拡張と推進によって検査データのデジタル資産化が実現することだ。

現場での本格適用は23年度から行い更なるアルゴリズムの精度向上とプロダクトの開発実施

 東関道武田川橋の現場での試行では、アプリケーションが正常に作動することを確認している。それらの結果を踏まえて現場での本格適用は23年度から行う計画とし、今後も更なるアルゴリズムの精度向上とプロダクトの開発を進めていく。
※ACES:東京大学松尾研のAIスタートアップとして活動を開始。人の認識・解析を行うヒューマンセンシング技術を始めとした画像・映像解析のAIアルゴリズムを用いて、人の知見を数式化し、リアル領域での産業のDXを推進している。


自動配筋検査AIシステムの流れ

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