A∩C:デジタルで建設をDXする[088]

 大林組は、異なる企業組織間の壁を越えたBIM利用促進を目的にBIMモデリングルールである「Smart BIM Standard(SBS)」を一般公開した。建設業界を横断的に糾合し、DX戦略の推進を目的に結成された「建設RXコンソーシアム」、BIM相互のデータ連携を可能にするクラウド上の共通データ環境=CDE(Common Data Environment)共々、広く建設業界全体のBIM利用を促進し、建設プロセスの生産性向上を目指す動きとして注目できる。

情報の一貫利用をめざして関係者が等しく理解できるデータをつくるための基準を定義

 BIMモデリングルールである「Smart BIM Standard」は、1月16日に開設された公式WEBサイト(https://smartbimstandard.com/)によって一般公開されている。「BIM運用のベストプラクティスを見出すための大きなヒントに」を掲げ、詳細な使い方などは順次公開する予定であると宣している。
 「Smart BIM Standardとは」では、「情報の一貫利用をめざし、関係者が等しく理解できるデータをつくるための基準」と定義している。建設プロセス全体の生産性向上という目的達成のためには、適合+照合+更新しやすく、人が理解・記憶+コンピュータの支援をえやすい条件下で、情報が階層化(構造化)され、データで記述できる手段が求められるとしている。

BIMモデルを構成する要素として階層的に「カテゴリ」「ファミリ」「タイプ」を援用

 「階層的な仕分け方法について」では、システムファミリやビューテンプレートの命名規則について概説している。図にあるように、BIMソフト「Revit」は、モデルを構成する要素として「カテゴリ」「ファミリ」「タイプ」といった分類があり、階層的にデータが生成できる。命名規則を追加することで更なる分類の追加が可能だ。具体的には、「ファミリ」に対しては「製作もの」「規格もの」のような製造方法による分類、「タイプ」に対しては「鋼製」「アルミ製」といった素材による分類を命名規則で追加できる。このようなシステマティックなルール付けによって情報の集積するBIMモデルを整理し、関係者間で情報を共有、合わせて情報管理上のさまざまな恩恵をもたらすとしている。

BIMモデルの運用管理・命名規則・コンポーネントファミリ・プロジェクト設定を定義

 「管理のポイント」では、適切な管理を行うためには「可読性を持ったモデルを入力するための基準」を設ける必要があり、基準には「BIMモデルの運用管理」「命名規則」「コンポーネントファミリ」「プロジェクト設定」の4つがあるとしている。
 「BIMモデルの運用管理」では、入力カテゴリの統一、段階に応じた入力状態の共有、データ構成の管理の3つの観点から基本的なルールをモデリングガイドとしてまとめている。
 「命名規則」では、要素の選択や検索を容易に行うため、各要素の接頭辞は半角英数字にする方針としている。
 「コンポーネントファミリ」では、モデリングに必要なコンポーネントファミリについて標準的なものをライブラリに公開している。「プロジェクト設定」では、関連資料がまとめられている。

丸紅アークログの建築建材の総合検索プラットフォーム「Arch-LOG」からコンテンツ入手可

 「コンテンツ一覧」では、大林組が作成したコンテンツのダウンロードが「Arch-LOG」(https://smartbimstandard.com/contents/)から可能だ。「Arch-LOG」は、丸紅アークログ(港区)が提供している建築建材の総合検索プラットフォーム。検索ワードの入力で、多種多様な建材の中から必要な建材を見つけることができ、複数のメーカー製品を横断的に比較しながら選定することができる。大林組では「Smart BIM Standardの公開に際して」丸紅アークログと提携し、一版公開に踏み切った。


モデルを構成する分類

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