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鹿児島県へ弓を見に行ってきました

鹿児島県埋文センターのお招きにより、出水市の六反ケ丸遺跡から出土した弓を拝見するため、同県霧島市に行ってまいりました。該当する弓に関しては、今年度中に報告書を刊行予定ということもあり、あまり詳しいことは書けませんが、丁寧に削られ磨かれた弓幹に、綺麗に樋が通った丸木弓が数個体出土しており、断片とはいえ保存状態も良好で、日本列島における弓の発達を考察するための貴重な手がかりになることは間違いありません。5世紀代の古墳に副葬された、定型化した原初的和弓が成立するようになる、一つか二つくらい前の段階かな、という感触を得ました。どんな報告書が出るか楽しみです。

さて、鹿児島空港に降り立つと、埋文センターのHさんが出迎えに来てくださっていて、途中せっかくだからと薩摩の弓造り縁の地を案内していただきました。

「薩摩日置流弓道指範師祖東郷重尚代々之墓碑」
上野原の台地から望む錦江湾。霞んで桜島はよく見えませんでしたが、それはそれで趣が。
翌日はよく晴れて、桜島の噴煙も望めました。

翌日、資料を再度観察してメモ写真など撮影させていただいたあと、整理作業にあたっている皆さんに、グローバルな観点から捉えた原初的和弓の成立について、30分ほどお話をさせていただきました。熱心な聴講、鋭い質問、ありがとうございました。

帰途、空港に送っていただく前に、鹿児島神宮の門前(桑幡氏館跡の一角?)に工房を構え、伝統的な技術で薩摩弓を造り続けて居られる弓師、桑幡道長氏の作業場に案内していただき、弓造りについて、広範なお話をうかがいました。とりわけ興味深かったのが、接着剤のニベ(膠)をめぐる話。全く知らないことばかりで、びっくりしました。できれば是非もう何度か、お話をうかがえればと思います。

外竹と内竹となる竹の日干し。少しでも「青み」が残っていると火入れの時に問題が出るという。

最後に空港近くで薩摩式豚骨ラーメンをご馳走になってしまいました。大変美味しゅうございました。お二人のH様、鹿児島県埋文センターの皆様、いろいろありがとうございました。報告書の刊行を楽しみにしております。

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