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アリス・コード Crescent of Zero


雨が降りしきる新宿歌舞伎町
傘もささずに虚ろに歩く1人の男
逆側からガラの悪いチンピラが道を通ろうとするが男の肩が当たり、チンピラ
は少しよろめいた。
チンピラ「てめぇ、どこみて歩いてんだよ?」
虚ろに歩く男は何も言わず歩くがチンピラに
肩を捕まれる。
チンピラ「ちょっとまて、コラ!」
殴られる男、殴られても抵抗がない
口は切れ、血が滴っている。為す術もなく
横たわる虚ろな紅い髪の男は苦しむ。
チンピラがその男の腹を蹴ろうしたその時
チンピラ「うわっ、、、何だ!」
何か強い力がチンピラを襲ったのだ
余りの衝撃にチンピラが持っていた傘が吹き飛ばされる。紅い髪の男はきょとんした顔になり、狐に化かされたような感覚に囚われる。
チンピラ「何もんだ、てめぇ?」
紅い唐傘、片手には煙管を持ち煙を吹かせ
チンピラに言う。
「ただの通りすがりの、、、魑魅魍魎だよ」
チンピラ「魑魅魍魎だと、、、!クソ魔物が!
                 てめーみたいなゴミが人間様の街を
                 出歩いてんじゃねーよ!!」
「弱者を虐めてるあんたこそ、ゴミなんじゃあないかな。人間さんよ。」
チンピラ「なんだとこらぁ!!!」

「こんな奴らの為に命張ったのか、、有珠」
ため息混じりに男は印を組む

「口上略式、強制魔術式【絶力】」
チンピラ「て、てめぇ、、何しやがった!」
「しばらくあんた、全身の力が無くなって立てないから、あー、けど安心して、呼吸する力は残してある。少し気絶するだけだ」
チンピラ「く、、そが、、!」
チンピラは崩れ落ち、その場に倒れる。
紅い髪の男は一体何が起こったのか分からない
顔をしている。そして傘をさす男は目線を合わせ
顔を見つめた。
「なーるほど、、、少し巣食われちまってんな
    仕方ねぇな、これもリハビリってか」
比蘭「立ち上がれるか?
    俺は比蘭っていうんだお前は?」
令夜「、、、令夜です。」

この出会いが比蘭を朧屋という
奪還屋代表に変える最初の一歩だった事は
この時の二人はまだ知らずにいた。

晴れ上がる晴天、高円寺の街
昼は余り店はやっていないが一軒だけ
あいているbarがある。
ここ、龍天というbar。
一人カウンターでは髪がボサっとした
男が昼間から酒を飲んでいる。
barの扉がいきよいよく開き、
腕には捜査一課の腕章
長い髪を束ねた女性が苛立ちながら
「鎬警部!また昼からお酒ですか!?
   もうほんとに警察官の自覚ありますか?!
   しっかりしてくださいよ〜!」
京条警部補は鎬の肩を揺らす
鎬「あ〜、、良いじゃないかい。
       今日も平和平和、反照が頑張ってるから
       良いじゃーないかい」
京条に続けて店に入っていた
露暗が一言、鎬に物申した。
露暗「良くないですよ?警部、今でも
          未解決の事件はたくさんありますし
          魑魅魍魎達により魔がさした事件は
         まだまだ減ってないじゃないですか」
京条「このままじゃ、鎬警部!他の部署へ左遷
           されてしまいますよ!良いんですか!?」
鎬「良いんじゃないの〜、、、別に」
ちょっと不機嫌な鎬は席を立ち、ふらふらになりながらもその場を立ち去ってしまう
鎬「あ、京条さん、お勘定していてね〜」
京条「もう、まただよあの人、、、
          奥さんが亡くなってからあんな感じだ」
露暗「京条さん、それって、、、」
京条「前に巣食われた人間が保育施設を襲った
          事件があっただろ、その時、子供達を庇って
          斬られたのがその保育施設で働いていた
          鎬警部の奥さんだ。」
露暗「そんな、、で、そいつは逮捕したんですか?」
京条「酷い話だよ、、、鎬警部がそいつを逮捕した、本当は殺したい程憎んでいたはず、けどあの人は出来なかった、殺せなかった。そいつを巣食った奴が悪いと思うしかなかったんだな。あれ以来、あんな感じさ」

店員「あのーすいません、お勘定...」

京条「あぁ、いくらだ?」
店員から伝票をもらうと京条の顔が強ばる
京条「露暗、、、」
露暗「なんでしょうか?」
京条「少し貸せ、後で返すから」
露暗「はぁ、、しょうがないですね」
京条「すまんな」

新宿歌舞伎町、夜の街はネオンが光り
夜は夜の顔がある。路地裏に小さな一軒屋
がある。比蘭の自宅だ。
居候として住んでいる令夜は中身が無い冷蔵庫をみてため息をつく
令夜「兄貴ー!もう冷蔵庫空っぽですよー!」
比蘭「ごちゃごちゃうるさいのーそれに
   令夜、こないだのホストのバイトの金どうしたんだよ?」
令夜は冷蔵庫の前で罰が悪そうに比蘭に答えた
令夜「へへ、じつは、、」
比蘭「まーたやったな?お前?」
令夜「だってだって可愛い子が
          いるっているっていうからさー
      いだだだ!兄貴痛い痛い!ほっぺた痛い!」
比蘭「お前よぉ、キャバクラの女の子に貢ぐのは
   あれほどよせっていっただろ?」
令夜「兄貴は、、!女の子に興味ないんすか!?
   いつも煙草ふかして部屋でボケーってしてますし大体、兄貴が憑物落としの仕事あんまりしないから俺だって頑張って働いてるんじゃないですかー?」
比蘭「めんどくさいんだよねぇ、、、誰かと関わりあいをもつのはよぉ」
令夜「じゃあなんであの時!
         兄貴は俺の事、救ってくれたんすか?」
比蘭「子分が欲しかったから〜、、
          なーんちゃってな〜、、、」
令夜「あっ!また兄貴は話をはぐらかす!」


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