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【意匠設計者向け】構造適判が必要な建物はこれです。

 意匠担当者によく聞かれること「この建物は適判になりますか?」

 意匠担当者は設計プロジェクトをまとめる役割であり、設計工程や申請予算が気になり、このような質問をします。

 ネットで調べると以下のように書かれていますが、構造設計が専門でない人だと全く意味が分かりません。



【構造計算適合性判定の対象となる建築物】

①一定規模以上の建築物(高さが60mを超える建築物(超高層建築物)以外の建築物で木造で高さ13m又は軒高9mを超えるもの、鉄骨造で4階以上のもの、鉄筋コンクリート造で高さ20mを超えるものなど、法20条第1項第2号及び令第36条の2第1号から4号までに規定されている建築物のほか、令第36条の2第5号に基づく告示(平成19年国土交通省告示第593号)に定められている建築物)
 ②許容応力度等計算(ルート2)、保有水平耐力計算(ルート3)又は限界耐力計算(これらと同等以上に安全性を確かめることができる構造計算を含む。)を行ったもの
③許容応力度等計算(ルート2)又は許容応力度計算(ルート1)で、大臣認定プログラムによるもの


【ずばり、構造適判が必要な建物はこれ】

 分かりやすく、ざっくりと説明するとこの通りとなります。

●木造は高さ13m又は軒高9mを超えなければ適判が不要

●鉄骨造は全て適判が必要

●RC壁式構造は適判が不要。RCラーメン構造は適判が必要


【構造適判の有無は構造計算方法で決まる】

 上記の「構造計算適合性判定の対象となる建築物」にごちゃごちゃと書いてありますが、ようは建物の規模、構造形式ではなく、構造適判の有無は構造計算方法で決まると言うことです。(上記②、③の条文)

 通常、行われる構造計算方法はルート1、ルート2、ルート3と言う方法になります。ざっくり言うとルート3が一番、複雑で難しい計算を行うことになり、詳細な設計が出来ます。ルート1はざっくりとした計算方法で場合によっては不経済な設計になります。ルート2は、その中間です。

 規模の大きい建物、難しい構造形式な建物はより、高度な構造計算方法が求められます。これが上記①の条文の内容です。

 要約すると、ルート1以外の構造計算方法とした場合は構造適判が必要と言うことです。

 通常はあまり行いませんが、限界耐力計算及びこれらと同等以上に安全性を確かめることができる構造計算(エネルギー法)も適判の対象です。
大臣認定プログラムを行った申請の場合はルート1でも適判が必要となりますが、このような申請を行う人もほぼ居ませんので気にする必要はないでしょう。
 尚、高さが60mを超える建築物(超高層建築物)に求められる時刻歴応答解析と言う構造計算方法の場合は個別大臣認定となるので適判は不要です。

 もちろん、建築基準法で法で定められた以上の構造計算方法をすることも可能ですので、その場合は適判が必要となります。

【構造適判の有無の補足】

 さて、構造適判の有無は構造計算方法で決まると言っても余計わからなくなりますので補足を行います。

(1)木造の場合
 高さ13m又は軒高9mを超えなければルート1による構造計算方法で対応可能です。ルート3の構造計算は対応したソフトも少なく、この計算方法とする人もほとんど居ませんので、まず、適判は不要です。

(2)鉄骨造の場合
 3階であれば、ルート1による構造計算の対応も可能です。ただし、地震力を1.5倍に割りますなど不経済な設計となってしまうため、適判が必要な構造計算とするのが良いでしょう。

(3)RC壁式構造
 5階以下であれば、ルート1による構造計算方法で対応可能です。ルート3の構造計算は対応したソフトも少なく、この計算方法とする人もほとんど居ませんので、まず、適判は不要です。

(4)RCラーメン構造の場合
 多くの耐震壁がある建物でないとルート1による構造計算方法とすることはできません。通常のラーメン構造の建物の場合、この壁量を満足しないものがほとんどです。よって、ルート3による構造計算が必要となります。


【ルート2による構造計算方法の場合】

 平成27年6月の建築基準法改正で高度な審査が可能な確認審査機関に申請する場合、ルート2でも適判不要となりました。(ただし、手数料は上がります。) ただ、このルート2と言う構造計算方法も中途半端であり、あまり、採用されません。


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