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【現場管理者向け】鉄筋、配筋の呼び名│知らないと恥をかく!

 鉄筋、配筋は部位より、呼び名があります。同じ鉄筋でも複数の呼び方があったり、いわゆる現場用語的な呼び名もあります。

 以下に様々な鉄筋、配筋の呼び方を挙げてみます。

【鉄筋、配筋の呼び名の基本】

主筋
 主筋とは、その部材に作用する力を処理する鉄筋です。主筋と呼ばれるのは曲げ応力を処理する柱の縦方向、梁の部材軸方向の上下の鉄筋です。
 スラブでも主筋と呼ぶ鉄筋があります。通常は短辺方向の鉄筋は主筋となり、その鉄筋が効きやすいように外側に配筋します。部位、力のかかり具合によっては短辺、長辺の主筋方向が逆になり、その旨(主筋方向)が構造図に指示されている場合もあります。
 壁、基礎スラブにおいても曲げ応力が主となる場合は主筋と呼ばれる鉄筋が存在することもあります。

配力筋
 主筋に対し、主ではないと言うと語弊がありますが、スラブ、壁において、主筋の直交方向の鉄筋を配力筋と呼びます。字の通り、部材に作用する力を主筋に配る役割です。
 配力筋と言っても主筋よりは少ないですが、応力は負担しますので、適当で良いと言う訳ではありません。

上端筋、下端筋
 字の通り、それぞれ上側の鉄筋、下側の鉄筋を指します。
 梁、スラブのように水平方向の部材で上端、下端に配筋する場合にこのように呼ばれます。
 基礎鉄筋において上側の鉄筋が応力を負担する場合は上端筋、下端筋と呼び場合があります。

縦筋、横筋、斜め筋
 これも字の通り、それぞれ縦方向、横方向、斜め方向の鉄筋を指し、主に壁の鉄筋でこのように呼びます。
 木造の基礎はりで主筋を横筋、スターラップ(あばら筋)を縦筋、横筋と呼び人も居ますが正しくはありません。

あばら筋、スターラップ
 梁に作用するせん断力を処理する部材の外周部を囲むように配筋される鉄筋です。日本語ではあばら筋、英語ではスターラップと呼びます。ST、STRとも表示されます。

帯筋、フープ
 柱に作用するせん断力を処理する部材の外周部を囲むように配筋される鉄筋です。日本語では帯筋、英語ではフープ(HOOP)と呼びます。
 梁のあばら筋、スターラップと同じ役割、同じ形状ですが、柱の場合は帯筋、フープと呼びます。
 杭におけるせん断補強筋もフープと呼びます。

腹筋
 梁の側に部材軸方向にD10、D13で配筋される鉄筋です。
 腹筋は基本的には力を負担するものではなく、一定間隔で鉄筋を配置することでコンクリートを拘束、ひび割れを防ぐ目的の鉄筋です。よって、定着や重ね継手は不要です。
 まれに腹筋が応力を負担する場合がありますが、この場合は構造図に定着長などが指示されます。

幅止め筋
 この鉄筋も力を作用する鉄筋ではなく、コンクリートが硬化するまでの間、鉄筋位置を保持する目的の鉄筋で1m間隔程度で配筋します。柱、梁、壁などに用いられます。

中子筋
 幅止め筋と同じような位置、形状ですが、中子筋はせん断力を処理する鉄筋です。柱の帯筋、梁のあばら筋において、外周部のみの鉄筋で不足する場合、内部の配筋されます。構造図では4-D13@200、日-D13@100などと表記されています。

中子筋

カットオフ筋
 一つの梁、柱の主筋において、端部・中央、柱頭・柱脚なので本数を変える場合、途中で止まる鉄筋のことをカットオフ筋と呼びます。

ベース筋
 基礎の下側に配筋される鉄筋のことをベース筋と呼びます。

ハカマ筋
 基礎において、上部及び側面に配筋される鉄筋です。基本的には梁の腹筋と同様に応力は負担せず、コンクリートを拘束、ひび割れを防ぐ目的の鉄筋です。


【現場、鉄筋屋さんは、このような呼び名も使います。】

バンド、割りバンド
 柱の帯筋、梁のスターラップをバンドと呼ぶ場合があります。SRC造で仕口部のフープは梁ウエブを貫通させるため、二つに分けたコの字型の鉄筋を差し込み、組み合わせますが、これを割りバンド(割りバン)と呼びます。

トップ筋
 カットオフ筋の意味です。なぜ、このように呼ぶかは不明です。

イナズマ筋
 階段において、階段の形状に合わせ、イナズマ型に加工された鉄筋をイナズマ筋と呼びます。

キャップ(タイ)
 梁スターラップなどの加工において、フックを付けた鉄筋を組み合わせる場合、上部にかぶせる側の鉄筋をキャップ、キャップタイと呼びます。

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ステッキ
 片側に180°フックを付けた鉄筋をステッキと呼びます。おすすめはしませんが、柱四隅のフックなどでステッキを重ね継手として使用する場合の鉄筋です。

宙吊り筋
 梁の主筋を2段で配筋する場合、上端筋の2段目は1段目の鉄筋から、S字フックなどで吊る形で配筋します。これを宙吊り筋と呼びます。

段取り筋
 現場で配筋作業を行い際、構造図に記載されている以外で施工上、鉄筋を保持するなどの目的で鉄筋を使う場合があります。これを段取り筋を呼びます。

【他にもこんな呼び方の鉄筋、配筋がある。】

用心鉄筋
 鉄筋は部材断面において、引張力が作用する場所に配筋します。小梁だと、中央下端、端部上端になります。ですが、中央上端、端部下端にも不測の事態のために最低限の鉄筋は配筋するようにします。これを用心鉄筋と言います。

ベント筋
 鉄筋は部材断面において、引張力が作用する場所に配筋すると説明しましたが、効率良く配筋するためにスラブなどで下図のように折り曲げ、必要な部分のみに鉄筋を配筋する方法があります。これをベント筋と呼びます。

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モチアミ配筋
 上記のベント筋に対し、スラブで短辺、長辺方向に餅を焼く網のように鉄筋を組むことをモチアミ配筋と呼びます。尚、ベント筋は配筋に手間が掛り過ぎるため、現在では殆ど、用いられません。

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