読書感想文(273)船山信次『毒と薬の世界史;ソクラテス、錬金術、ドーピング』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回は久々に新書を読みました。
この本を読んだのは、大阪の自然史博物館で開催されている「毒展」に行く予定ができたので、その予習のためです。

感想

読みやすかったです。
毒や薬については全く勉強したことがなかったので、知らないことだらけで勉強になりました。
ただ、起こった事が結構淡々と並べられているので、全体的に面白かったという感じはあまりありませんでした。
中には面白いと感じた話もあったので、後でこのnoteにも残しておくつもりです。
今、メモを見返さずに思い出せるには、アルカロイドという言葉が何度も出てきたことや、ヘビの毒には神経毒と出血毒があるということです。あと1992年に世界で初めて毒を持つ鳥が発見されたという話も、そんな最近まで!?と驚きました。

さて、それでは早速メモを見返してみると、まず先程書いたヘビの毒についてです。コブラやウミヘビは神経毒、マムシやハブは出血毒だそうです。ヘビの毒は恐らく毒展にもあるので、楽しみです。
昔、ハブの毒から血清を作る話をどこかで読んだことがありますが、今回の展示にもあるでしょうか。
そういえば、以前の特別展で世界の植物を展示していた際、食虫植物が大きく取り上げられていましたが、それもまた毒に含まれるのでしょうか?
そういえば、この本では「毒」の定義が明確にされていなかったかもしれません(私の見落としの可能性大ですが)。
毒薬同源という著者の立場は印象に残っています。

以下、気になったところを箇条書きしていきます。

・タバコ一本に含まれるニコチンは児にとって致死量、万が一飲んでしまった時、ニコチンは水溶性なので水を飲ませてはいけない。
・茶は眠気を覚ますという記載は栄西の本にもある
・カカオに含まれるテオブロミンは犬にとっては毒
・トウガラシは鉄砲と一緒に日本に伝来、その後豊臣秀吉の朝鮮出兵で朝鮮へ伝来(目潰しの武器として)、キムチは元々野菜の塩漬けで、トウガラシを使うようになったのは17世紀後半から、中国もインドも16世紀になってから伝来、カレーの辛味は元々胡椒、トウガラシはカプサイシンというアルカロイド
・ワイン製造に使われる低温殺菌法は19世紀にできたが、日本では室町時代から日本酒製造に用いられていた
・野口英世が留学のあてにしたフレクスナー教授は、元々北里研究所の志賀潔(赤痢菌発見)を訪ねてきた
・正露丸は元々陸軍で使われていて「征露丸」という名だった
・津軽藩は元々日本唯一の阿片産地
・栗林公園は元々平賀源内が勤めた薬園
・日本で近代企業として初めてモルヒネの製造を行ったのは、星新一の父である星一
・化学合成による有機化合物に塩素が多いのは、海水から水酸化ナトリウムを製造する時に大量に出る塩素を利用したいという発想から

恐らく他にももっと面白い話もあったと思うのですが、素人の自分が興味を持ったのは以上のような話でした。

おわりに

この本に出てきた化合物や出来事が毒展にも出ているか、楽しみです。
また、そもそも毒といっても色々なものがあるので、著者の別の本も気になりました。

ということで、最後まで読んでくださってありがとうございました。


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