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桃の新品種「こまきゴールド」~発見から13年で初出荷へ

 新聞記者駆け出しの頃、愛知県小牧市に赴任しました。「桃ヶ丘」とか「桃花台」といった桃にまつわる地名で、桃の産地だと知りました。
 小牧赴任から数えると約45年。JAグループ愛知の記者会が2024年5月28日、名古屋市内で開かれ、桃の新品種「こまきゴールド」を知りました。
■新品種の発見
 新品種の発見場所は、小牧市上末の山田利宏さん(57)の果樹園でした。2011年6月、品種「みさか白鳳」からの枝変わりで、大玉で糖度の高い黄桃が実っているのを見つけたのです。
 2012年から芽接ぎによる試験栽培を始め、2018年に農林水産省に品種登録を出願。


こまきゴールド発見から出荷までの道のり(JA尾張中央作成のリリースから)

 一方で2020年に桃農家の多い篠岡の「しのおか共選桃出荷組合のみなさんに試食してもらい、栽培してくれる人を募りました。2021年12月に生産推進協議会を設立し、品種登録も完了し、出荷に向けて準備が本格化しました。
■一枝から初出荷へ
 一枝から始まった「こまきゴールド」。現在、28人が約130本の木を育てています。
 6月下旬には桃の産地である小牧市と隣の春日井市を管轄するJA尾張中央の産地直送の2店舗限定で販売を予定しています。2店舗は、ファーマースマーケットぐぅぴぃひろば(春日井市松本町)とグリーンセンター桃花台店(小牧市高根)です。
■初年度出荷は1200玉の希少価値
 初年度となる今年の出荷数量は約1200玉です。6月下旬から7日~10日ぐらいで完売しそうとか。
 3個入り(1㌔)と6個入り(2㌔)の専用パッケージのほか、多様な形態での販売を検討中です。価格は6玉入りが5000円ほどの予定です。
■桃の味は?
 早生品種ながら約300㌘の大玉が特徴。早生は小ぶりが多いので、6月から大玉に出会えるのは桃好きにとってはうれしいニュースです。
 さらに果肉は「トロッとして、12度から14度の高糖度」だそうです。
 小牧・春日井のエリアは、6月下旬の日川白鳳や7月の白鳳、8月まで出荷が続く愛知白など白系の桃が主流でした。突然変異の黄桃のデビューで産地も活気づいています。
■次年度以降にも期待
 希少な桃のため、個人による出荷はありません。2025年度からは同JA管内の産直4店舗に販売先を広げるといいます。
 山田さんが会長を務めるこまきゴールド生産推進協議会によると、木が生長する2029年には約2万5000玉を生産する計画です。
■山田さんの思い
 「枝変わりから奇跡的にとても果実の特性が良い新品種に出会うことができた」
 山田さんは長い間取り組んだ産地の努力を振り返って、「ぜひ一度食べてみてほしいです」といいます。
 さらに山田さんは、こまきゴールドの販売が終わったあとも、小牧・春日井で出荷が続く桃を味わってほしいとコメントしています。輝く新人だけではなく、産地を支えてきた主力たちにも愛情が注がれています。
(2024年6月7日)
 
 

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