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梅雨時の一日花「沙羅双樹の花」~今年は早くも猛暑ですが

 長野県須坂市にある「豪商の館 田中本家博物館」の田中宏和様から季節の写真が届きました。
 6月から7月の梅雨の風物詩である「沙羅双樹の花」です。梅雨の雨に映える花だそうですが、今年は例年になく早い梅雨明けで、小さな白い花が毎日、中庭の池に舞い降りているそうです。
 和名は夏椿(ナツツバキ)。もともと咲けば、その日のうちに散ってしまう「一日花」です。世の無常の象徴として、平家物語にも詠われています。
 届いた写真は、ナツツバキより小ぶりな「ヒメシャラ」で、6月12日ごろの撮影です。
 田中本家博物館は、名古屋長野県人会(名古屋市中区)を支援いただく法人会員のメンバーです。創業は1733年(享保18年)。初代新八が現在の須坂市で穀物や菜種油、酒造業などの商売を始めました。代々、須坂藩の御用達を勤め、幕末には士分として藩の財政に関わる重責を果たし、その財力は北信濃屈指の豪商となりました。
 約3000坪の敷地があり、20の土蔵が取り囲む豪壮な屋敷構えを残しています。田中家に伝わってきた美術品や生活用品の展示を見ることができます。
 庭園も有名です。樹齢240年の沙羅の花が人気の中庭や、江戸時代に京都から庭師を招いて作庭された池泉回遊式庭園の大庭などがあります。

池に浮かぶ沙羅双樹の白い花(田中本家博物館提供)


 沙羅双樹の花は7月上旬まで咲いているそうです。
 「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす」
 早い梅雨明けに翻弄されたかのような花の世界ですが、猛暑続きの名古屋からみると、水面に浮かんだ白い花々は、まるで別世界の景色です。
(2022年7月1日)
 


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