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終戦の日を前に~全国の地域版にみる戦争を語り継ぐ人々からの「後事之師」

 8月15日を前に新聞紙面に貴重な戦争体験が載っています。14日付の読売新聞地域版を一覧すると、今年はロシアによるウクライナ侵攻と重なり、いつも以上に平和への思いが強く伝わってくる内容でした。
 「後事之師」は、私が前日書いたnoteの記事の見出しです。過去から学びつつ、大事なことは「どのような教訓を得るか」ということです。
 では、「前事不忘、後事之師」を念頭に置きながら、北から順に25道府県の地域版を閲覧していきます。
【北海道】択捉島出身87歳男性は根室空襲(1945年7月14、15日)で被災。択捉占拠したソ連軍の将校はウクライナ人
【山形】80年前の子どもたちが描いた児童画展(1937年日独防共協定締結翌年の日本、ドイツ、イタリアの児童画コンクールの作品)
【福島】102歳の男性のシベリア抑留生活
【茨城】土浦海軍航空隊予科練の指定食堂語り継ぐ6代目
【埼玉】87歳男性語る熊谷空襲(1945年8月14日)
【千葉】広島、長崎で被爆した県内在住者の核兵器廃絶の訴え
【横浜】台湾出身92歳男性は特攻機「桜花」を開発した横須賀の海軍航空技術廠(しょう)で働いた。20年前に生前の開発者の自宅を訪ねたときの思い
【石川】七尾市の76歳元教員が七尾港で働いていた中国人の強制連行の調査内容を出版
【長野】93歳男性らが長野空襲(1945年8月13日)語る。「長野空襲を語り継ぐ会」の証言録12年ぶり増刷
【静岡】89歳医師主催「日米合同慰霊祭」。静岡空襲(1945年6月11日)犠牲者や墜落したB29搭乗者供養
【愛知】知覧特攻平和会館初代館長・故板津忠正さんの半生を描いた漫画「祀る者が祀られる~陸軍特攻隊1036英霊とともに~」。長男が出身地犬山市の小中学校に平和教育用に寄贈
【三重】80歳作家が「熊野びとの戦記」出版
【滋賀】98歳男性がフィリピン出征手記
【京都】昨年死去した97歳イラストレーターがウクライナ東部の収容所生活などを水彩絵の具で描いた記録画(1996年、舞鶴引揚記念館へ寄贈済み)
【大阪】「河内の戦争遺跡を語る会」の81歳代表
【兵庫】長崎で被爆した92歳神戸在住男性が高齢のため最後の証言
【奈良】70歳住職、父が抑留者として関わったウクライナの惨状思う
【鳥取】70歳元高校教師が元米国兵の遺品から見つかった日章旗と地元の出征兵士の調査進める
【徳島】78歳が遺族会の講話会で初の語り部。父はフィリピンで戦死。徳島大空襲(1945年7月4日)で被災
【愛媛】米軍機に攻撃された客船「女神丸」で叔母を亡くした88歳香川県の女性が「女神丸事件」(1945年8月8日)の調査、記録続ける
【高知】広島で被爆した83歳愛媛県女性が原爆忌参列(12日愛媛版も)
【福岡】大刀洗平和記念館でB29搭載とみられる機関銃を常設展示
【長崎】長崎の原爆投下直後、救援列車で運ばれて息絶えた人々の供養。諫早市原爆被災者協議会の88歳会長が後世に伝える決意
【大分】生き残った人間魚雷「回天」の96歳元隊員と、ドキュメンタリーを制作した23歳大学生
【宮崎】宮崎市出身の作家中村地平はマレー半島で陸軍報道班員を務め、師の井伏鱒二「荻窪風土記」にも登場する。敗戦後、県立図書館長として子どもたちに読書の楽しさを伝える。中村を研究する80歳大学名誉教や家族への取材から中村の目線で「文人と戦争」を描く
【鹿児島】満蒙開拓団の引き揚げ者が再入植した薩摩川内市。93歳女性は、88歳で亡くなった夫ら家族と入植した。「王道楽土」の夢破れ、再び荒地を開拓してきた人々の歩みを連載
 一紙だけの、それも1日だけの記事ですが、意外に知らない事例が多かったのではないでしょうか。
 教訓のひとつは、もっと早く終戦を決断できなかったのかという点です。広島、長崎への原爆投下はもちろん、根室、熊谷、長野、静岡、徳島の空襲はいずれも敗戦の2日から2か月前でした。女神丸事件は敗戦1週間前でした。民間人の犠牲を避けられたと思うと残念です。
 表紙の写真は、2022年7月22日からKITTE名古屋(名古屋駅隣接)で始まった「色彩」をテーマにしたアートイベントです。作者はフランス人の建築家・アーティスト・デザイナーのエマニュエル・ムホーさん。100色で構成した空間が東海地方初登場した初日です。「自分へ・人へ・世界へ一層優しい気持ちになれることを願い…」。平和の虹を見つけたいものです。
(2022年8月14日)
 
(注:掲載のない地域版は、全国高校野球大会県代表校の試合日など特殊な事情があったようです。新聞記事・見出しには著作権があるため、項目のみの紹介となっています)

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