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国内初のヘアカラーミュージアム~ホーユーの歴史を一覧

 名古屋市東区の徳川美術館界隈は静かな住宅地です。この場所にヘアカラー大手のホーユー(名古屋市東区)は、創立100周年を記念して「ホーユーヘアカラーミュージアム」を開設しました。
 自社のヘアカラー製品の歴史と文化を次世代に伝えていく目的ですが、ヘアカラー業界全体の流れを知ることができる国内初のヘアカラー特化型ミュージアムでもあります。2023年5月9日の一般公開に先立ち、8日の内覧会で見学しました。

創業者水野増次郎のことばを展示

 揺れる髪をイメージした波のような白いデザインの外観が目をひきます。鉄筋3階建て850平方㍍。1階は企画展示室で、8月まで創業者の水野増次郎(1879~1959年)が刻んできたことばを懸垂幕にして展示。「昨日と同じということは退歩である」など企業理念が読み取れます。
 2階は常設展示室で、ホーユーに限らず業界全体の歴史を写真パネルや年表などで紹介。日本のヘアカラーの歴史は四つの時代に分けて新たな解釈を交えてヘアカラーの歴史をわかりやすく見せています。

AIが六つの髪型や色を提案してくれる「フォトウォール」は楽しくて参考になる

 自分の顔を撮影すると、人工知能(AI)が200パターンの髪型の中からその人にあったパターンを紹介する「フォトウォール」は、女性だけでなく、男性や年配の方にも参考になりそうです。ちなみに私はミドルヘアのシルバーまたはレッドの「ご提案」が気に入りました。年齢を感じさせず新鮮でした。

創業当時の看板や商品の現物が並ぶ3階展示室

 3階はホーユーの商品などを展示しています。これまで愛知県瀬戸市の工場内の資料室にあった創業当時の看板などの現物が並びます。平岩正美館長は「基本は本物を展示していきます」と話していました。
 2014年に取材したホーユーの「ヘアカラーの歴史展」を思い出しました。展示の目玉は同社初の白髪染め「二羽からす」。水野増次郎が設立した「水野甘苦堂(かんくどう)」が1909年(明治42年)頃発売したヒット商品でした。
 その後、第二次世界大戦で製造中止を余儀なくされ、ホーユーの手元に現物がない状態が続いていました。

1909年頃のヒット商品「二羽からす」の現品は、百年後の2011年に入手

 展示会でホーユー史料館の館長、木野光比己さんから、二羽からすを探し求め続け、2011年にネットオークションで見つけた裏話をうかがいました。開発の原点を現在の社員にも現物で伝えていくという思いが伝わってきました。
 ホーユーは創立80周年のイベントをナゴヤドーム(当時)で開いています。自社の歴史を知ってもらいたいという目的からです。当時の社員もいまや半数となり、ミュージアム開設は「若い社員やキャリアも様々な社員に視覚的に歴史を知ってもらう狙い」もあります。
 入場者のターゲットゾーンは、ヘアカラーユーザーの40代から60代としていますが、2階のアミューズメントコーナーもあり、実際の入場者の年齢層は広がりそうです。
 開館時間は10時から17時で入場無料。14時から説明付きの約80分の館内ツアーがあります。休館日は日曜日、月曜日、祝祭日。名古屋独特の車道の真ん中にバス乗降所がある基幹バス「徳川園新出来」から下車3分。
 ちなみに、すぐ近くに名古屋のわらび餅の名店「芳光」もあります。
(2023年5月25日)
 

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