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トリックアート展~ゴッホへのインタビュー

 「トリックアート展」が11月28日まで、旧名古屋ボストン美術館(名古屋市中区金山)で開かれています。
 会場に入ると、好きな絵のひとつ、ゴッホの「夜のカフェテラス」がありました。
 おや?
 作者のゴッホさんが座っています。南フランス・アルルの秋の星空の下、カフェの黄色い壁がガス灯に照らされ、路面のテーブルではお客さんたちがおしゃべりをしています。
 「失礼します」
 手前に腰かけているゴッホさんに挨拶して、私も空いたイスに座りました。そうなると新聞記者という職業柄、いろいろ聞いてみたくなります。
 「ここにはよく来られるんですか」
 「代表作の『ひまわり』の絵とか、黄色が好きなんですか」
 「あなたは自殺したのだと思っていいましたが、このところ他殺説も出ていますが?」
 無言でしたが、しばしトリックアートの世界で、ゴッホさんとの「会話」を楽しんでみました。
 展示会の作品は、エス・デーが提供しており、2フロアに計57点展示されています。ニューヨークやスイス・アルプス、ギリシア神殿などの場面も多彩で、世界を旅するという触れ込みもうなづけます。

 また身近な動物園のトリックアートは、檻の中をのぞくとシロクマ、正面で見ると愛らしいパンダ、右からだと恐ろしいクマが見えるというものでした。世の中も見る位置を変えたら、ずいぶんと違って見えるわけで、この手のトリックは日常茶飯事ということでしょうか。
 この展覧会は作品の前で自由に撮影できるのも特徴です。
 ただし、注意書きがあって、マスクを外してもいいのは、トリックアートの前で写真を撮る時だけという決まり事です。
 ところが、トリックがあまりに巧妙なので、マスクを外したまま次々と作品に向かって歩き、撮影するたびに感動の奇声を発してしまう若者たちも散見しました。
 ところで、ゴッホさん。耳の事情もありますから、マスクはできないのですね。混んできましたから、そろそろ店を出ませんか。
 「夜のカフェテラス」の絵の中のあった星座を探してみたくなりました。
(2021年11月4日)
 
 
 
 
 

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