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パラアスリート支える化学会社~三菱ケミカルグループの体験型授業から

 パラ陸上・日本選手権(第34回日本パラ陸上競技選手権大会)最終日の4月29日、3人の選手が7月にパリで開催される世界選手権の日本代表に内定しました。
 このうち男子走り幅跳び(義足T63)で世界切符を手にしたのは、東京パラリンピック代表だった山本篤選手(新日本住設)です。
 山本さんは2022年11月29日、愛知県豊橋市の市立牛川小学校の「パラ陸上体験型授業」に招かれ、6年生児童85人に義足を実際に体験してもらう出前授業をしていました。主催は牛川小の近くに愛知事業所がある三菱ケミカルグループで、社会貢献活動として開いたものです。
 山本さんは17歳の時のバイク事故で左足を失い、競技用義足ブレードを使っています。素材の炭素繊維を三菱ケミカル愛知事業所で製造している縁もあって開催されました。
 炭素繊維の説明のあと、山本さんが児童の前を勢いよく走ってみせると、みな「速い」など声を挙げて驚いていました。
 山本さんは義足を装着すると、足から簡単に外れない仕組みを説明。実際に児童が思い切り引っ張っていました。
 この後、児童たちは足にブレードを着けて体育館内を走る体験もしました。山本さんは、うまく歩けずにいる児童らの脇で声をかけて見守っていました。
 講義では「さまざまなことにチャレンジしてきたので、楽しい人生を送れています。嫌いなことにもチャレンジして、素晴らしい人生を送ってください」と激励していました。

山本選手が使っているブレード

 化学の力は、パラ選手をサポートしています。炭素繊維は鉄の5分の1の軽さで、鉄の10倍の強さがあります。実際に山本さんが使っているのと同じブレードをさわってみて、軽いのに驚きました。しなって元に戻ろうとする反発が、ばねのようになって選手のジャンプを支えていることも実感できました。
 山本さんは41歳。スポーツ面の記事によると、1か月ほど前に腰を痛めて練習ができなかったそうですが、1回目の跳躍でただ一人6㍍00を跳んで優勝しました。
 三菱ケミカルグループが各地で開いている体験型授業「パラスポーツチャレンジ」。困難を乗り越えていく強さを学んでもらうことが目的です。山本さんは、この精神を日本選手権の場で見せてくれました。
 内定者の女子走り幅跳び(義足T63)の兎沢朋美選手(富士通)、男子やり投げ(視覚障害F12)の若生裕太選手(電通デジタル)とともに次はパリです。
(2023年5月2日)
 
 
 
 

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