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桃の新品種こまきゴールド続編~試食してみました

 愛知県小牧市で発見された桃の新品種「こまきゴールド」。発見から13年目にして初出荷を迎えたという記事を2024年6月7日に書きました。6月26日に試食した感想とともに愛知県の桃栽培について追記します。
■甘さ抜群、口当たりまろやか

こまきゴールドは甘くてまろやか


 試食会場は名古屋市中区のJA愛知ビル。当日のJAグループ愛知の記者会でお披露目です。各記者のテーブルに6月にしては大玉の桃が置かれていました。 
 皮をむき、カットして出されたこまきゴールドは、マンゴーのような黄金色でした。口に含んでみると、果汁があふれ、甘さが広がっていきます。秋口以降の黄桃は硬めの触感ですが、こまきゴールドは口どけもよく、まろやかです。通常、桃の糖度は10度くらいと聞いていますが、生産元のあるJA尾張中央の担当者によると、こまきゴールドは12度から14度あると説明してくれました。
■こまきゴールドの特色

JA記者会で説明するJA尾張中央広報課の河口貴広さん

 JA尾張中央によると、こまきゴールドは特異な特徴を持っています。
 まず大きさ。早生種でありながら1玉約300㌘の大玉の果実です。出荷時期も6月中旬から下旬までで、この時期の黄桃品種はないとのこと。
 栽培もしやすいのが特徴です。早生種は果実の中の種が割れる「核割れ」が起きやすいとされています。説明ではロス率は20%~30%といいます。こまきゴールドは核割れが少なく、ロス率がきわめて低いそうです。
 桃栽培には着色を促すため、白い反射マルチを木の下に敷き詰めるのですが、こまきゴールドは着色が良く、マルチを敷かなくても紅く色づいてくれます。果実にかぶせる袋かけ作業は、梅雨時にかかるという難はありますが、一重の袋で良いため、低コストです。
■初出荷の手ごたえ

化粧箱入り6個で4800円

 収穫は6月18日から始まりました。19日からJA尾張中央管内の産直市場のみで販売を開始していますが、初日は整理券の3倍以上の100人以上が並んだといいます。その後も連日、完売が続き、初出荷を終えます。 
 「こまきゴールド生産推進協議会」は、発見者の山田利宏さんが会長を務め、生産者とJA、愛知県尾張農林水産事務所、小牧市農政課で組織しています。来年は桃の木の生育も進むことから、今年の4倍以上の商品を出荷できそうだといいます。
 価格は6個入り大玉で4800円。ブランドロゴをあしらった化粧箱入りです。同じサイズで白鳳が3000円程といいますから、高級路線を目指しているようです。
■鷹匠の伝統の技でカラス退治
 果実の天敵は鳥類。中でもカラスは実った果実を枝から落とすなどいたずらをするそうです。そこで浜松市に本社を置く株式会社鷹匠に依頼して、鷹を飛ばしてカラスを撃退しています。
 害鳥駆除で鷹を使うこまきゴールド。昔ながらの鷹匠の技も生かしながら、ブランド化に向けて飛翔を始めています。
■愛知の桃

愛知県の桃のラインナップ(JA愛知中央作成)

 桃の出荷量を県別で見ると、愛知県は全国7位です。トップは山梨県で、続いて福島県、長野県、山形県、和歌山県、岡山県の順です。
 愛知県の桃の出荷は6月の「はなよめ」「ちよひめ」の白桃品種で始まり、黄桃品種のこまきゴールドが続きます。この後、定番の「日川白鳳」「白鳳」「愛知白」の白桃品種が続き、9月に黄桃品種の「ゴールデンピーチ」でシーズンを終えます。こまきゴールドの登場で、「選手層」がぐっと厚くなってきました。
■高級ギフトへの期待 
 ここからは期待です。これだけおいしい早生の黄桃品種は、お中元以外にもギフト需要がありそうです。ファン層を拡大していくためにも、こまきゴールド発見から今日までの物語が不可欠です。
 一人の桃農家が見つけ、それを地域に広げ、28農家、150本の本数に増やしていった歩みを小冊子にすることをお勧めします。
 冊子を桃とともに化粧箱に入れてみてください。消費者に桃の味とともに、生産者と地域の想いも伝えてくれるはずですから。
(2024年6月26日)  

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