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スプレーマムの暑さ対策~JAひまわりの新たな取り組み

 「沸騰化の中間点まで来ている」。これは国際連合のアントニオ・グテーレス事務総長が地球の異常な暑さに対する発言です。2024年7月25日の国連広報センターのホームページで紹介されています。
 農家は作物の猛暑対策に取り組まなければならない時代を迎えています。
■愛知県豊川市のJAひまわり

JAグループ愛知記者会に飾られたスプレーマム


 日本三大稲荷で知られる愛知県豊川市は、菊やバラ、大葉などの栽培が盛んです。特に枝状に咲く菊「スプレーマム」は、JAひまわりの主要な品目です。
 菊は仏花と思われがちですが、スプレーマムは色が豊富で、フラワーアレンジメントや最近はブライダルにも使われています。
 出荷のピークは今の時期。8月のお盆はもちろん、9月の重陽の節句、お彼岸に向けて出荷が続きます。
 出荷量は8月1万3810ケース、9月1万1136ケースで、花き生産日本一を続ける愛知県の中でも田原市に続いて2番目に多い33億7000万円の産出額です。
■高温被害
 スプレーマムは高温になりすぎると、生育が停止し、花の品質に重大な影響が出てきます。
 特に親のスプレーマムから葉を取り、挿し芽で育てますが、このときにハウス内が高温になると生長が阻害されてしまうそうです。
■JAひまわりの試行
 この対策がJAあいちグループの記者会(2024年8月27日)で紹介されました。

実際は苗場を覆ってから、冷風機の風を送って冷やす(JAグループ愛知記者会の資料から)

 苗場(苗を保管、生育させる施設)には冷房設備がなく、栽培ハウスには空調設備があっても費用がかかりすぎるという問題点がありました。
 JAひまわりは、試験導入中の方法として、冷風機の冷風をチューブ状にしたビニールで直接、苗を冷やしています。ハウス全体を冷やすよりも効率が良いです。
 また、7月からJAひまわり総合集出荷センターを稼動させています。花き、青果、大葉用の冷蔵設備を備えており、スプレーマムも品質を維持したまま出荷できます。
 QRコードを使って荷受けから検査、梱包、出荷まで一体的にできる設備も稼動しています。菊を自動で選び、結束する「花ロボ」も活躍中です。
■ひまわりの由来
 JAひまわりは、地名を付けるJAがほとんどの中、全国でも珍しい名称です。
 きっかけは1990年(平成2年)4月に旧豊川市と旧宝飯郡五つのJAの合併により設立されました。市町村域を超えたJAの広域合併は例が少なかった頃です。
 名前は組合員や利用者から公募し決定しました。「ひまわりのように太陽(未来)に向かって、明るく大きく伸び、みなさまに愛され、広く知られるように」との願いが込められています。
■ひまわりのように
 JAひまわりの30周年記念広報誌によると、90年の正組合員は7023人でしたが、30周年を前にして7718人(2018年12月)になっています。
 特に「地域農業の応援断」と位置付けてきた准組合員は、3637人から2万7313人(同)と大きく増えています。全国に先駆けた直売所「グリーンセンター」を始めファン作りを進めてきた成果が現れているようです。
(2024年8月29日)

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