大葉たこせん新発売~豊川市のブランド戦略が「止まらない」(#荒玉のコラム参照)
■大葉を食べて
刺身のつまで知られる大葉。1年で最も売れる年末年始を前に生産、出荷が本格化しています。
豊川稲荷のある愛知県豊川市はJAひまわりの管内です。同JAつまもの部会(部会員19人)は、愛知県知多半島の製菓業と連携して大葉の香りを生かした「大葉たこせん」を企画。近々、JAの産直センターや道の駅で発売します。
2023年11月28日のJAグループ愛知記者会で、早速試食をしてみると、なるほど、大葉特有の風味が残った軽いせんべいに仕上がっていました。見た目にもえびせんの赤と対照的な緑の斑点が印象的です。
■6月の台風から立ち直る
愛知県は大葉の主産地です。特に豊川市や豊橋市、田原市の東三河地域を中心に全国の46%を出荷しています。
ところが、2023年6月2日の台風2号の影響で線状降水帯が発生し、豊川市内の多くが浸水。お盆に向けて生育していた大葉のハウスも泥水をかぶり、ヒートポンプも水没という打撃を受けました。生産者は補助を受けながら、11月移行の需要期に向けて植え換えを進め、ようやく出荷準備が整ってきました。
■三重苦、四十苦を乗り越えて
コロナ禍の非常事態宣言が出るたびに、料理店を中心に大葉の需要が激減するピンチ。今年5月のコロナ5類移行後のハウス冠水。引き続く原材料費の高騰。エネルギー価格も上昇中という三重苦、四十苦が続きます。
それでもエネルギーコストを抑えるため、ハウスの皮膜を二重、三重にして熱効率を高めました。農薬を減らすため、害虫が嫌がる赤い光をLEDで葉に当てて食害を防御。環境負荷の少ない納豆菌を使った農薬の活用など奨めています。
■とよかわブランド
豊川市も応援します。11月8日を「いい大葉の日」として日本記念日協会に登録。年末年始の需要期に向けた烽火(のろし)をあげるとともに、11月から需要を伸ばす平準化も狙っていきます。
大葉たこせんも、非需要期にも大葉を食べてもらう作戦です。そう、「食べ出したら止まらない」。
■飾りじゃないよ
ほかにもJAひまわりが愛知淑徳大学の学生と一緒に「もっと大葉を食べてもらう方法」を考えています。ひとつは、JA職員が毎日、大葉を食べる様子をInstagramで発信。「大葉は飾り(つまもの)だけじゃないよ」と食材としてもアピールしていく学生のアイデアを実践中です。
テレビ番組「マツコの部屋」でプロレスラーの豊田真奈美さんが紹介した大葉の美味しい食べ方も記者会に登場。数枚の大葉をちくわで巻いた一品は、お奨めです。
■雨に泣き、猛暑で笑う
線状降水帯に泣いた大葉は、10月以降の猛暑に助けられて植え替えた新葉が大きく育っているそうです。
まさに、「天は助くる者を助く」。
(2023年11月30日)
※メールアドレス変更で「#荒玉」に手を加えることができなくなりました。農業関係の記事を参照いただけるとうれしいです。
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