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トマトの産地・愛知に新ブランド「とまらん♪」~荒玉note改訂

  ミニトマトの人気品種に「アイコ」があります。プラム型でとても甘いのが特徴です。愛知県田原市など渥美半島では、トマトといえば8割がアイコです。愛知みなみ農業協同組合(JA愛知みなみ)の47人の組合員が出荷しています。
 ただ、消費者に人気の品種だけに、競合相手も増えてきているそうです。JAみなみのトマト部会は「ブランド戦略を」とコンサルタント会社との話し合いを経て、お披露目されたのが「とまらん♪」です。10月に商標登録済みです。
 トマト生産部会のひとつ、みなみレッド副代表の岡本直樹さんによると、食べ出すと止まらないというおいしさを、地元の方言で表現しているそうです。
 愛知県はトマト県でもあります。2018年農林水産省統計によると、ミニトマトの出荷量は熊本県、北海道に次いで全国3位。市町村別では田原市が全国4位で、豊橋市も5位でした。
 ブランド品種も多いのです。糖度が高く野菜ソムリエサミットで受賞したこともある「麗」(JA豊橋)も知られています。ほかに愛知の育成種で皮が軟らかい「ルネッサンストマト」(JA愛知東)、「匠トマト」(JAひまわり)もあります。
 JA愛知中央会によれば、愛知のトマト生産が盛んな理由として、冬季でも温暖な気候で、施設園芸が得意なこと。消費地の名古屋のほか、東名、新東名高速道路を生かして東京、大阪への輸送も便利といった地の利もわすれることはできません。
 そういえば、トマトケッチャップやトマトジュースでシェアを伸ばしてきた創業120周年のカゴメは、発祥地が愛知県東海市です。愛知がトマト栽培で底力を見せるのは当然といえば当然です。
 2018年にカゴメ発祥の上野工場にあるカゴメ記念館を取材しました。トマトとカゴメの歴史がわかりやすく紹介されています。
 トマトは戦後になっても青臭くて消費者に好まれなかったのですが、カゴメのケッチャップなどの加工品が次第に受け入れられていきます。カゴメはトマトの品種改良にも力を入れてきました。農家がジュース用のトマトを出荷するときに、ヘタが取りやすい品種を開発しています。世界に約1万種のトマトがあり、カゴメは約7500種の種を保存して研究開発に生かしているのも強みです。
 一方で、愛知県は野菜の消費量が全国最下位です。野菜王国であり、トマトの一大産地でありながら、不思議な現象です。
 「とまらん♪」の登場で、消費者が地元産のトマトや野菜にもう一度、目を向けてもらえる機会にしたいものです。
(初校2020年12月4日)

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