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初のあいち食農教育表彰~意欲的な小中学校のSTEAM実践

 JA愛知中央会主催の第1回あいち食農教育表彰の表彰式が3月4日、名古屋市内のホテルで開かれ、取材に伺いました。
 食農教育表彰は愛知県教育委員会とJAグループ愛知の食育に関する連携協定の一環で、県内から21校22件の応募がありました。最優秀賞(教育委員会賞)には、岡崎市立豊富小学校が選ばれました。
■地域の課題解決へ

食農教育の取り組みを発表する豊富小教諭

 最優秀賞の豊富小は、地域の農家、JAの協力を得ながら、田植え、稲刈り、収穫米の調理を通して、地元米のミネアサヒの知名度を高めようと児童らが工夫しながら実践したことが評価されました。
 地域の課題である「農業の後継者不足」や「米価の下落」などについて学ぶ中で、地元産米のブランド化を模索しました。自分たちで収穫したお米を「とよとみめぐみ米」と名づけ、新しくパッケージデザインを考案。岡崎市農林業祭などのイベントでの販売を通じて結果を分析して、次の活動計画に生かしていく実践的な学習を積み重ねてきました。
 審査員の講評では、「なかでも驚いたのは、児童が米の商品加工に目を付け、オリジナルの米粉クッキーの開発にたどり着いたこと」。こうした成果につながったのは、担当教諭の指導の下、地域の82歳の米作り農家ら現場の話しを聞き、「水路探検」など先祖が守ってきた地域の農業環境を実際に歩いて体験したことが基礎にあるようです。
■優秀賞に2校
 優秀賞(JA愛知中央会長賞)は、蒲郡市立蒲郡西部小学校と安城市立桜林小学校の2校が受賞しました。
 蒲郡西部小は、ミカンで知られる地域にあります。1977年に卒業記念で植樹したミカンを半世紀にわたって後輩に引き継ぎ、ミカンづくりを続けています。
 斬新だったのは、土づくりや引き継ぎ会を開いているほか、ミカン購入者から感想を聞くため、QRコードを活用したアンケートを取り入れたことです。
 桜林小は、安城市のごみ問題を地域課題としてとらえ、生ごみをたい肥化する「段ボールコンパスト」づくりを進めていました。「どんな種類の生ごみをどれだけ投入すれば良い肥料になるか」と五感を使って工夫してきたそうです。
■農業が自分の食になることを実感
 表彰式ではJA愛知中央会の長谷川浩敏会長があいさつ。地域の農業の課題を見つけて、解決に向けた取り組みをしている点を評価していました。「農業が自分の食にかかわることを認識して、どう行動すべきか考えられるようになることは、地域にとっても大変たのもしい」と手ごたえを話していました。
■食農教育はSTEAM教育
 表彰式最後に審査委員長を務めた愛知学芸大学の安達内美子教授が「これからの食農教育に期待すること」と題して講演しました。
 STEAM。つまりサイエンス(科学)、テクノロジー(技術)、エンジニアリング(工学)、アーツ(芸術・リベラルアーツ)、マセマティクス(数学)の頭文字です。5つの領域を対象とした理数教育に創造性教育を加えた教育理念として、食農教育は最適な学びの場となるのです。
 来年度はさらに食農教育の輪が広がることを期待しています。
(2024年年4月4日)

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