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あずきの花~7月1日は「井村屋あずきバーの日」

 この記事は2021年7月にnoteに提稿した記事です。マガジン「農政ジャーナル~長靴をはいた記者」にも収録されています。 

 小豆(あずき)は黄色い花を咲かせます。畑でジャガイモやキュウリ、オクラなどの野菜の花を見る機会はありますが、あずきの花の写真は、初めて見ました。小豆入り冷菓「あずきバー」で知られる井村屋グループ(津市)から提供いただきました。
 7月1日は「井村屋あずきバーの日」。2007年に日本記念日協会の認定です。1896年に創業者の井村和蔵が小豆、砂糖、寒天を煮こみ、四角いお膳に流し込んで固めた「山田膳流しようかん」が、菓子舗「井村屋」のはじまりでした。その後、1962年に「ゆであずき」の缶詰が出し、1973年に「あずきバー」を発売するなど、あずきは「祖業」といえるものです。
 井村屋グループは現在、東京と名古屋の証券取引所市場第1部に上場しています。名証では、企業が株主や投資家に財務状況など投資に必要な材料を提供するため、セミナーを開いています。5月29日には井村屋グループの中島伸子社長がオンラインで登場し、現況や今後の取り組みについて話しました。

毎夏おせわになっています。ベストセラーにしてロングセラー

 なかでも、あずきバーは2020年度、巣ごもり需要もあって、過去最高の2億9200万本を記録したことです。あわせて、消費者の健康志向が追い風となって、ようかん、ゆであずきなど小豆商品が売り上げを伸ばしていました。
 小豆のことを調べていたら、公益財団法人日本豆類協会のことを知りました。小豆やいんげんなど豆類の調査、試験研究をし、食品としての優れていることを消費者に知らせていく組織です。
 協会によると、あずきの名の由来を江戸時代の学者、貝原益軒の「大和本草(やまとほんんぞう)」から引用しています。あずきの「あ」は赤色のこと、「ずき」は溶けるという意味。赤くて煮ると皮が破れて豆が崩れやすいことから、あずきとなったと説明しています。
 心配なのは、国内の小豆の生産量が減少傾向にあることです。最近10年では最も収穫量が多かったのが2014年の7万6800トン。直近の2020年は5万1900トンに減っていました。
 比較的小豆の栽培面積の多い長野県でも、1990年代に800~900ヘクタールあったものが、最近は230ヘクタールまで減少していました。
 縄文時代から古墳時代の遺跡から小豆の炭化した種子が見つかっています。日本豆類協会のホームページには「あずきの赤色に魔除けなどの神秘的な力があると信じられ、行事や儀式などに供されてきました」とあります。 井村屋グループのHPにも「あずきは古くより、縁起の良い食べ物、健康の源として毎月1日と15日に食されています」として、あずき製品を多く扱う井村屋グループが日本記念日協会に申請し、「毎月1日はあずきの日」の認定を受けています。
 古くから日本人の食生活になじんだ小豆だけに、国内での栽培が増えることを期待しています。そのため少しでも消費拡大につながればと、梅雨寒ではありましたが、あずきバーを本日も1本食べました。
 そういえば、2011年の井村屋グループの株主総会では、東日本大震災による防災意識の高まりを受けて、長期保存用のミニようかん「えいようかん」を出席株主に手渡したという記事を書いたことを思い出しました。
 防災での社会貢献はいまも、地域に飲料水を提供できるように準備を進めていると中島社長が説明していました。女性の管理職ひりつもは現在11・3%と高い法ですが、2023年度には15%に上げる目標も示しました。
 食品の輸出にも取り組み、2020年12月には「輸出に取り組む優良事業者」を受賞しています。日本産アイスの米国向けシェアが8割を超えたことが評価されたようです。井村屋グループでは、あずきをはじめとした和の素材を生かして、「和の文化を世界に伝える」と力を入れています。
 「人のやらないことをやる」。これは同社の経営の特色ですが、基本にあずきという古来から日本人に親しまれてきた食材があることが、強みだと感じます。
(2021年7月1日)

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