ゲーム感想(ASTLIBRA ~生きた証~ )

作品名:ASTLIBRA ~生きた証~
作者:KEIZO
ジャンル:アクションRPG
総合評価:A+

非常に楽しませてもらいました!
アクションゲームとしての楽しさ、シナリオの楽しさ、どちらも非常に高いレベルでまとまっていて、プレイにのめり込みました!

このゲームを開始して、まず驚いたのがシナリオの間の取り方。
容赦なく経過する時間、主人公自身の戸惑い、迷い。
オープニングでかなりの時間を取ってここを丁寧に描写しているので、後の物語にも重さが生まれているのだと感じます。
また、シナリオの端々で描写される残酷さ、非情さ。そこを真正面から描いてあるからこそ生まれる、平和な時間への渇望、迷い。主人公の選択肢によっては物語の途中でエンディングを迎えますが、その選択も決して間違いではなく、一つの終わりとして受け止められ、そういうシナリオ全体の雰囲気がとても良いと思います。

アクション部分では、操作が非常にわかりやすく、自分のようなアクションゲームプレイヤーとして下位な人間でも、それなりにテクニカルな動きをさせることができるため、プレイしていてとても楽しかったです。
また、「天秤」や装備でマスターしていくカロンのスキルなどが、RPGとしての「新しいアイテムを手に入れる快感」を助長しており、この点も非常に良かったと思います。
他、完全に自分の好みの話になりますが、シナリオの途中で、その時点で絶対に入るべきでない、敵のレベルが段違いな場所に、自分の判断で挑むことができ、頑張ればクリアできる、というのがすごく好きです。特に火山で入れる、「途中で引き返してセーブしてまた挑むが可能(とても重要)」な戦神のところ。あれを初期の段階で挑んで、力をつけて、クリアして、本編で無双する、というのがとてもとても好きなので。戦神以外の所は一方通行かつボスに勝てなければゲームオーバー、全てが無為、の仕様なので、ちょっと好みからずれるかな。
「ベルセルク」があの時点で手に入るのは、おそらくはそういうプレイを見越してだと思います。グッジョブ!

実を言えばこの作品、評価をSにするかどうかでかなり迷いました。
まぎれもなく、とんでもない出来の作品だと思いますが。
ただ、そこでワンランク落としたのは、本当に細かいところですが、シナリオ端々でのもう一歩感。例えば、シリアスなシーンでの召喚の呪文(火山のやつとか)。アレもう少し雰囲気出すように気を使ってほしかったなぁ、とか。天秤に巻き込まれた際に、戻る時近くにいないと云々、その後の雪山ガウの扱いはどうなるんだろう、とか。あとはラストのエピローグの世界、結局あれはどういう世界なのか、いまいちわかりにくいというか。まぁ、それに関しては想像の余地を残しているとも言えるので、完全な瑕疵とも言えないのですが、みんながどういう状態のみんななのか、どういう記憶をもったみんななのかなぁとか。なんとなくセリフの端々から読み取れるものもあるのですが、やや消化不良感が残ります。

各章の始まりに毎回OPが流れる方式、実は自分はあまり賛成派ではないのですが、この作品に関してはむしろあれでよかったという気はします。OPに、「ああ、このシーンはこういうことだったのか!」というシーンが詰め込まれているため、新しい事実がわかる度にOPが理解できていく楽しみが生まれていたので。
ただ、自分はかなり章ごとやりこんでいたので気になりませんでしたが、シナリオだけみたい、といって低難度でサクサクプレイするプレイヤーにとって、あれはどう感じるだろうか、とは思いました。

とはいえ、本作は、プレイしたことない人に、ぜひに、とお勧めできる名作の一つだと思います!
今後のご活躍も期待しています!

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