ゲーム感想(戦火の山賊)※R-18

作品名:戦火の山賊
サークル:宇宙戦
ジャンル:RPG
総合評価:B−

敗戦の気配濃厚な国で、死刑囚として囚われていたドンは、刑を免れる方法として、悪魔と契約を交わし、敵国で山賊を率いて工作員となることを交換条件として提示され、これを受け入れる。村や町を襲いながら力を蓄え、騎士団と戦え!
――内容が完全にあっち系なので、とてもプレイする人を選ぶゲーム。主人公は悪行・非道をなし、それを省みることは一切ないため、抵抗があるなら手を出すべきではない。

この手のゲームとしては珍しく、徹底してドライでクレバーな主人公像が目を引いた。凌辱ゲームでありがちな性欲に流されまくった上におよそその精神構造が理解できないレベルの破綻者とは真逆であり、情にも流されなければ欲すら見せない。主人公の目的はたった一つ、生き残ること。一貫してそれを崩さなかったところは称賛したいと思う。

製品版をプレイしてみて感じたのは、全般的に詰めが甘い。「もう一歩ほしいもの」が用意されていない。

例えば、このゲームでは村を襲った際や女性の敵を倒した時に「ガチャチケ」が手に入り、拠点でそれを使ってランダムな凌辱イベントを起こすことでステータス上昇及び金銭を手に入れることができるわけだが、ランダムであるが故、同じイベントが繰り返し発生する。ところが、シーンの既読スキップなどはなく、ボタン長押しで文章を早く送ることしかできない。最大で99枚保有できるチケットを消費していく行為がひどく手間である。

また、ガチャチケには通常と上位があり、上位であればレアイベントが発生する、とのことだが、その中身は通常チケットで出てくる内容と全く同じであり、上位でだけ発生するイベントなどはない。上位チケット、という特別感のあるアイテムに対する期待を裏切られた感があった。

レベルやステータスに関しても、レベル上限は99、ステータスは999までだが、割とあっさりとカンストする。武器の数値はステータスの数値を上げる処理であるため、ステータスの時点で999になっていると、武器を装備しても威力が変わらない。最終的に超強敵を倒して手に入る武器よりも、複数回攻撃することができる店売りのボーガンの方が圧倒的に強くなってしまい、とてもがっかりした感じになっている。ステータス上限9999は欲しかった。

シナリオ部分で、人間の枠に収まらない強さだというキャラクターに対し、中盤ではどうにか悪魔の力によって弱体化させてようやく倒す、といった展開であったのに、最後にその相手と戦うにあたって、何の策もなく正面からぶつかっていく主人公の行動には少し疑問が残る。戦争で疲弊していた、という説明はあったものの、とりわけ常識外の強さと言われている相手との最終戦であるのだから、もうひとひねり欲しかったところではある。更には、終盤の騎士団の長たちに勝った後のシーンは5人ともほぼ同じ展開、似たような反応になっており、やっつけ仕事のような印象を受けた。

超強敵戦において、1月の2週目にエミリアを倒したが、テキストはその後にあるシーンの後のようなテキストであり、また、超強敵戦での勝利がその後のメインシナリオのテキストに何ら影響を与えず、倒した時期とメインシナリオが合わない状態になるのも少々残念なところだ。もっとも、その時期にそいつを倒す想定はしていない、というのはゲームでは割とある話ではあるので、これについてだけ言えば、まあしょうがないよね、というレベルではある。

AIイラストの使い方としては、上手い方ではないかと思う。できるだけ破綻がでないようにシーン数を抑え、かつ、ゲームの方向性として同じキャラクターをしつこく嬲るのではなく、色々な相手をとっかえひっかえするという感じにしたうえで、イラストを当てはめた。ただ、やはりシーン数が抑え気味であるため、一つ一つのイベントとしての満足感はうすいだろう。自分は元々そっちのシーン目的で購入してはいないので、それほど気にするところではなかったが。

などなど、他にもあるかもしれないが、つまるところ、全般的にあと少しなんとかならんかな、といった感じである。

シナリオは、読んでいて苦はないが、大きく感情が揺さぶられることもない。大きな破綻はないし、見苦しくもないので、マイナス感情もわかないが、さりとて他に勧められるかというと、それは難しい。

次の作品を買いたいか、というと、今作でかなりがっかり感があったため、余程暇なら手を出さないこともないかもしれない程度。とはいえ、二度と買いたくないというほど楽しめなかったわけでもないので、消極的購入検討のB-。

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